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私はこうして「燃え尽きた」。30代のバーンアウト経験者3人に聞いた

※この記事は2021年10月8日初出の記事の再掲です。

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コロナ禍で働きすぎによる「燃えつき」が注目されるようになっている(写真はイメージです)。

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働きすぎてしまうことで、やる気がなくなってしまったり、うつの症状が出てしまったりするバーンアウト(燃え尽き症候群)。

アメリカでは社員のバーンアウトを防ぐために、ナイキがオレゴン州の本社オフィスを1週間閉鎖するなど、企業も対策に乗り出している

日本でもリモートワークへの移行など、労働環境が激変したことでバーンアウトに陥る人もおり、産業医は「働く側も企業側にもメンタルヘルスを保つための対策が求められている」と警鐘を鳴らす。

バーンアウトはどのように起きてしまうのか?

実際に「燃え尽き」を経験した30代の3人に話を聞いた。

コロナ対応に奔走したのに……

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コロナ対応に忙殺されたことがバーンアウトの一因になる人もいる(写真はイメージです)。2021年8月25日撮影。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon

「コロナ対応で難しい意思決定を連日のように迫られたうえ、1日に7人、8人とオンライン面談が詰まっていました」

ユウジさん(36歳、仮名)は、約100人が働くベンチャー企業で執行役員を務めていたが、コロナ禍で「燃え尽き」を経験したという。

ユウジさんの会社では、2020年2月にフルリモート体制にいち早く移行。しかし、ユウジさんは人事などコーポレート部門の責任者だったこともあり、社員から批判的な意見を投げつけられることも多かった。

「社員に数万円のリモート補助費やインターネットの利用代を支給したのですが、『光熱費も払ってほしい』、『入社時期の違いで補助が出ないのは不公平だ』、『緊急事態宣言の解除期間に補助がなくなるのはおかしい』などと言われてしまって……。

会社の資金も潤沢ではない中で、『社員のために全力でつくしてきたのに、なんで…』という気になりました

「感染時のマニュアルは?」増え続ける業務

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コロナ対策でリモートワークが普及し、オフィスから社員が消えた職場も少なくない。2020年8月7日、都内の企業で撮影。

REUTERS/Tomoshige Akira

2020年夏以降も、「コロナ感染者が出た場合のマニュアルが必要ではないか」、「同じビルに入っている企業からコロナが出た場合の対応は決めた方がいい」などの意見が続々と出され、仕事は山のようにたまっていった。

また人事の責任者として、社員との1on1もこなした。

「社員との信頼関係を築く場として1on1を続けていたのですが、1人約30分間で1日に8人の面談をすることもあり、空き時間の全くない生活でした」

過労働とトラブルで燃え尽き

ストレスの影響は、まず体に出始めた。

ストレス解消法だった飲酒の回数が増えたが、蕁麻疹が出てしまうようになり、息抜きだった酒も飲めなくなった。

それでも会社では気丈にふるまっていたが、ストレスのせいもあり、社員との間でトラブルが発生。過労働だけでなくトラブルへの対処も加わり、仕事への意欲が失われてしまったという。

2021年夏、ユウジさんは執行役員を務めていた会社を辞めた。

現在はフリーランスとしてコンサル事業などを手がけている。

「午後5時以降は仕事をしないと決めています。夕方に子どものお迎えに行くなど、家族と過ごす時間が増え、仕事面でも自分の成長につながる仕事ができている充実感もあります」

バーンアウトにより予期しない形での退職を経験したが、「いまは会社を離れてよかったと思っている」と話す。

当時は辞めるという選択肢は全く頭にありませんでしたが、あれ以上はもう働けなかったと思います。将来的には起業も考えていますが、もう50人を超える組織のマネジメントは、怖くてやりたくないなと思っています」

1日13時間のPC作業

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アヤコさん(仮名)は、コロナ禍でフリーランスとして独立したが、その後、バーンアウトを経験したという(写真はイメージです)。

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「朝起きると、二日酔いのようなだるさが常に抜けなくなってしまいました。あの時は完全にバーンアウトしていたと思います」

インターネット関連企業で広報職を勤め、2020年4月にフリーランスとして独立したアヤコさん(34歳、仮名)はそう振り返る。

コロナ直後の独立だったが、SNSで発表すると、知人らを通じて複数のオファーがあり順調な滑り出しだった。

しかし、コロナが長引く中で、1日13時間はパソコンに向かい、月に2日のオフ以外は仕事ばかりの生活になったという。

コロナ前までは顧客をできるだけ回って、足で稼ぐタイプでした。それがリモートになって人と会えなくなり、雑談の機会がなくなってしまいました。何気ない会話が私にとって息抜きになっていたと、コロナになって改めて感じました」

オフの時間もつねにSNSをチェックするようになったが、オンとオフの境目もなくなっていた。

「SNSを見るのもストレスになっていました。『婚活は30歳を超えると厳しくなる』とか、『こういう社会人はだめだよね』とか。そういう投稿を見て自分に言われているような気になり、ふさぎ込むようになってしまいました」

引っ越しを機に復活

朝起きても体が動かない。そんな状況が続き、胃腸科や婦人科、内科など病院を3つ回ったものの、体調不良の原因は分からず、燃え尽き状態が続いたという。

「環境を変えるしかない」

独立から約1年後、2021年の春にアヤコさんは、それまで住んでいたシェアハウスから引っ越し、1人暮らしを始めた。そして引っ越しを機に、「何で仕事でこんなにも疲れてしまうのか?」について、立ち止まって考えたという。

私にとっては、共感できる企業と仕事をすることが大事だと気が付き、引き受ける仕事の量を減らしました。収入を考えたら、多く仕事を引き受けた方がいいのですが、それで追い込まれてしまったら元も子もないと思いました。

環境を変え、頭を整理できたことで、今は心身ともに復活できましたが、心が弱ってしまうと『やるべきことの優先順位がつけられなくなる』と身をもって感じました」

中間管理職で板挟みに

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コウスケさん(仮名)は、組織の問題を抱えバーンアウトを経験したという(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

「職場があまりに混乱していて不眠になりました。心療内科で適応障害と診断されましたが、『このまま働いたらうつ病になる』といわれました」

物流企業に勤務し、現在は転職活動中のコウスケさん(33歳、仮名)はそう話す。

コウスケさんは数年前に、現在勤める企業に転職。バーンアウトのきっかけは、2021年夏の部署異動だったという。

「メーカーの在庫保管と発送などが主な仕事でしたが、部下が注文をうまくさばけておらず(仕事の)“炎上”が続いていました。契約先からも現場の作業員からも激しいクレームが続き、中間管理職の私にしわ寄せが来ていました。でも上司に相談してもメンバーの増員は認められませんでした

残業は月に60時間ほど。「長時間労働とは感じなかった」というが、コウスケさんひとりの裁量では解決できない状況が続き、すぐに不眠に悩まされるようになった。

「あまりに混沌としている職場で、やる気が消えてしまいました。バーンアウトという状態だったと思います」

「会社は自分を守ってはくれない」

上司に相談し、心療内科を受診。適応障害の診断を受け、それ以降は休職し、現在は転職先を探している。

「休職してからは、脳がクリアになった感じがします。それまでは街の景色を見ても、ふわっと感じてしまっていたのが、しっかりと『景色を見ている』と認識できよう戻ってきました」

コウスケさんは「バーンアウトする前に、転職するのも選択肢。会社は自分を守ってはくれませんから」と話す。

「私の場合は精神状態がもっと悪化していれば、回復までさらに長い時間がかかったと思います。体調を崩してまでも会社に執着する必要はないし、選ばなければ仕事はいくらでもある、と思えるようになりました」

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