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- アメリカは12月6日、北京冬季オリンピックの外交的ボイコットを発表した。
- これは、大統領ら政府関係者が出席しないことを意味し、選手は参加する。
- ホワイトハウスは、このボイコットは、「現在進行中の大量虐殺と人道に対する罪」を理由とするものだと述べた。
アメリカ政府は2021年12月6日、中国政府による「現在進行中の大量虐殺と人道に対する罪」を理由に、北京冬季オリンピックへの外交的ボイコットを行うと発表した。
「我々はアメリカチームの選手たちを全面的にサポートする。我々はアメリカから彼らを100%応援する」とホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は、記者会見で述べた。
「アメリカの外交官は、新疆における中国のひどい人権侵害や残虐行為に直面しながら、通常通りに行われるこの大会に参加することはできない」
ここ数週間、バイデン政権は、外交的ボイコットの可能性を示唆していた。
このボイコットは、アメリカがジョー・バイデン(Joe Biden)大統領や他の政府関係者を大会に派遣しないことを意味し、象徴的な意味合いが強いが、中国が報復につながると警告しているほどの重大な政治的侮辱でもある。
AP通信によると、中国外交部の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は会見で「アメリカの政治家は招かれてもいないのに、北京冬季オリンピックへの外交ボイコットを宣伝しているが、これは人々の歓心を買うためのスタンドプレーだ」と述べた。
「アメリカ側が独断専行するならば、中国は断固とした対抗措置を取るだろう」
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、中国の「進行中の大量虐殺と人道に対する罪」を理由に、2022年の北京オリンピックの外交的ボイコットを発表した。
「我々はアメリカチームの選手たちを全面的にサポートする。我々はアメリカから彼らを100%応援する」と彼女は付け加えた。
バイデン大統領は、世界的な影響力を強める中国に対抗することを重要な外交政策の課題としており、バイデン政権は人権侵害に関して中国政府を頻繁に批判してきた。3月には、新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する「ジェノサイド(大量虐殺)」を理由に中国を制裁している。
人権団体によると中国政府は100万人以上のウイグル人やその他の少数民族を新疆ウイグル自治区の収容所に強制連行したというが、中国は強く否定している。中国は強制収容に加えて、ウイグル人に対する強制不妊手術を行っているとして非難されている。
ホロコースト記念博物館は11月、「中国政府がウイグル人に対してジェノサイドを行っているのではないかという深刻な懸念を抱いている」との報告書を発表している。
報告書では「中国政府は、この犯罪行為を防止する法的義務を怠っている」と述べられている。
「ウイグル人に対する攻撃の深刻さは、国際社会による即時の対応を要求している」
バイデン政権による北京大会のボイコットは、1980年のモスクワ夏季大会で、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由にアメリカがボイコットしたような事態にはならないだろう。モスクワ大会では、アメリカは選手も役員も参加しなかった。
このボイコットに対して、アメリカ議会は民主党・共和党双方の議員がバイデン政権に拍手を送った。
アメリカ上院外交委員会のボブ・メネンデス(Bob Menendez)委員長(ニュージャージー州選出、民主党)は声明で今回のボイコットを歓迎すると述べ、「中国共産党による新疆での大量虐殺に対する強力な非難」だとしている。
下院外交委員会のグレゴリー・ミークス(Gregory Meeks)委員長(ニューヨーク州選出、民主党)は声明で、外交ボイコットを行った政権を評価するとともに、他の国々にもアメリカに倣うよう呼びかけた。
ミークス議員は、「アメリカが明確な立場をとってリードしている今、他の国にもオリンピックへの公式代表団の派遣を拒否することを呼びかける」と述べている。
「いかに強大な国であっても普遍的な人権を著しく損なっているのなら、我々は声を一つにして、沈黙という選択肢はないことを明確にする必要がある」
共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney )上院議員(ユタ州選出)もこれに同調した。
彼は「北京オリンピックでの外交的プレゼンスを拒否する政権は正しい。アメリカは中国の略奪、迫害、虐殺を見て見ぬふりはしない」と12月6日にツイートした。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)