スタンフォード大学の経済学教授、ニコラス・ブルーム。
Elizabeth Viggiano
- 若い人や子どもを持つ女性は、リモートワークが昇進に影響を与える可能性がある。
- スタンフォード大学の経済学の教授、ニコラス・ブルームが、管理職のためのヒントを提供してくれた。
- 彼は、画面共有を多くして、「仕事以外」のチャットも行い、ズーム疲れとうまく付き合うことを学ぶべきだと話している。
リモートワークにはメリットがある反面、デメリットもいくつかある。
ハイブリッドワーク(リモートワークとオフィスワークを組み合わせた働き方)は、うまく管理が行われていない場合、意図せずキャリアアップに影響を与えてしまう可能性がある。働く母親よりも男性を、遠くにいる人よりも近くにいる人を優遇する文化を生み出してしまうからだ。
また、さまざまな調査で、若年層がリモートワークに進歩を阻まれていると感じているという結果が出ている。これはオフィスの休憩所での雑談などでアイデアや経験を共有する機会を逃してしまうからだという。
オミクロン株の出現により、とりわけグーグル(Google)を初めとするいくつかの企業は、今後の働き方を再度見直すことになった。長期にわたるリモートワークは、企業が注意を怠ると、こうした困難を定着させてしまう可能性がある。
スタンフォード(Stanford)大学の経済学教授であるニック・ブルーム(Nick Bloom)は20年前からリモートワークの影響を研究し、大手テック企業に従業員がオフィスに復帰するためのアドバイスをしている。ブルーム教授の調査によると、若年層に関してはリモートで働くことでキャリアアップに影響が出ることが分かっている。
2021年12月6日に開催されたグローバル・トレンド・フェスティバル(Global Trends Festival)で、ブルーム教授はInsiderのエグゼクティブ・エディター、スプリハ・スリバスタバ(Spriha Srivastava)に、在宅勤務の長期的な影響とこの課題を最小限に抑えるためのいくつかのヒントを与えてくれた。
ブルーム教授によると、経営者や企業はリモートで新人研修をする際には「慎重に行動する」必要があるという。
ひとつの方法は画面共有をより多く行うことだとブルーム教授は述べている。上司や同僚がビデオ通話で画面を明示的に共有するのだ。
「実際のオフィスでは、彼らはあなたの肩越しに画面を見ることになるのです」と同教授は言う。
ブルーム教授が提案したもうひとつのヒントは、仕事以外の活動について話し合うために、「仕事以外」のビデオ通話を意図的に多く設定することである。例えば、どこに旅行に行くのが好きか、どのサッカーチームを応援しているかなどオフィスで話すのと同じようなことも含まれている。
特に新入社員は、入社してすぐに積極的に声をかけ、明確に助けが必要になる前に同僚との関係を築いておくべきだという。
「もしそうでないまま、私に問題が起こって、あなたのところに相談に行ったらとしたら、それはとても事務的な感じがするだろう」とブルーム教授は付け加えた。
ブルーム教授は以前、Insiderに対して、リモートワークのプランについて企業は従業員に選択肢を与え過ぎないようにすべきであると述べていた。なぜなら、それが企業のシステムを「崩壊」させる可能性があるからだという。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)