「リコー」「東芝」物流子会社を次々M&A。SBSグループが挑むロジスティクス革命

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新型コロナウイルスによる社会変容の影響を大きく受けた物流業界。EC市場の拡大、顧客ニーズの多様化、慢性的な人材不足など、さまざまな問題が浮き彫りになり、パラダイムシフトは待ったなしの状況だ。

そんな中で今、急成長を遂げている「物流業界のメガベンチャー」がある。1987年創業、ワンストップの物流サービスを提供するSBSホールディングス(東京都墨田区)だ。ファウンダー・グループ代表の鎌田正彦氏に、急成長を続ける理由や物流業界の課題に対する戦略を聞いた。

「戦略的M&A」で急成長

鎌田正彦氏

SBSホールディングス代表の鎌田正彦(かまた・まさひこ)氏。

「物流」はメーカーのものづくりや消費者向けの小売りを支える、重要な基幹産業だ。これまで業界のおおまかな構図は、長年の間、売上高1兆円超えの大手物流企業数社とその他企業というものになっていた。しかし、そこに切り込もうとしているのがSBSホールディングスだ。

2019年度に売上高2500億円を突破し、2021年度の業績予想では売上高約4000億円を見込む。そんなSBSホールディングスが大きく成長している理由の一つが「戦略的なM&A」だ。2018年にはリコーロジスティクス(現SBSリコーロジスティクス)、2020年11月には東芝ロジスティクス(現SBS東芝ロジスティクス)の株式を取得。大手メーカーの物流子会社を次々と自社グループに引き込みながら、規模や取り扱い業種を拡大している。

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2021年10月にはSBSリコーロジスティクスによる最先端物流拠点「物流センター横浜金沢」をオープン。

提供:SBSホールディングス

SBSホールディングスは、鎌田氏が1987年に即日配送業「関東即配」(当時)として創業。起業当初は苦労が絶えなかったが、同氏の持ち前の発想力、営業力で会社を発展させていく。とはいえ、あくまで物流業界に数多くいる中小企業の一社だった。事業規模を拡大したいと考えた鎌田氏が目を向けたのがM&Aだった。

「近い将来『日本の大企業の物流子会社であっても資本離脱がおきる時代が来る』と予想していました」(鎌田氏)

鎌田氏の読み通り、大企業の物流子会社切り離しの潮流が起こり始めた。そして2004年、雪印乳業の物流子会社のM&Aに成功。当時SBSは年商200億円規模の会社で、M&Aを狙うライバル社の中にはSBSより大きな金額を提示したところもあった。

「親会社としては、万が一物流への理解がないところに株式が渡ったら、自分たちのビジネスのサプライチェーンに重大なリスクが発生するかもしれません。

当然我々は物流への思いや造詣が深いですし『一緒になって改革しましょう、(御社の物流子会社を)もっと成長させましょう』と提案しました。最終的には『社員を大事にしてくれる』譲渡先ということで選んでいただきました。その時に、大事なのはお金ではなく『人と人の関係性』だと気づいたのです」(鎌田氏)

当時からM&Aをしてグループ入りした会社に対しては、「親と子」の関係になってもらうことを強いるのではなく、あくまでも「企業固有の社風や組織力を尊重し、シナジーを生み出す関係」でありたいと考えてきた鎌田氏。現場に足を運び、自らの目で確認して経営改革を行い、大きく売り上げを伸ばしてきた。こういった実績と経験が、その後リコー、東芝、古河電工といった大企業の物流子会社のM&A成功へとつながっていった。

グループ会社とは「物理的距離」を縮めることが大切

ただし、M&Aは「その後」が難しい。企業カルチャーの異なる従業員をいかに融和させていくかが大切とされている。鎌田氏は、物理的な距離の近さが重要だと話す。

「家族もそうですが、同じ家に住むと考え方の根本も近しくなってきます。現在はリモート勤務なども進んでいますが、グループ会社が同じ屋根の下に存在していることが大事だと思っているんです。

例えば、(2018年にグループ入りした)リコーロジスティクスはもともと本社が東京・五反田にありましたが、SBSの本社ビルに移ってきてもらいました。同じフロアで席を隣にして人材が混ざり合うことで、自然と対話が生まれ、考えが共有されていきます。そうして文化を醸成・発展させていくのです」(鎌田氏)

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一方、鎌田氏は急拡大する配送ニーズにも対応する。コロナ禍は、あらゆる業界でパラダイムシフトを起こした。物流業界では、巣ごもり需要によってEC需要が急増。それに伴い、配送網や倉庫の増強は喫緊の課題となっている。

鎌田氏は「今後は、物販系分野のEC化率が今の8%くらいから、15%ぐらいまで伸びると見ています。ネット通販に対する物流の需要はさらに伸びていく」と予見する。

(※経済産業省が2021年7月に公表した「電子商取引に関する市場調査の結果」より。2020年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は19.3兆円でEC化率(BtoC-EC)は8.08%)

「今後あらゆる産業がEC進出を行うでしょう。物流の需要はますます増え、さらに事業が伸びるポテンシャルがある。そのためにはEC専用の物流施設と庫内のオペレーション能力、デジタル技術の活用などが必須です。倉庫から配送まで含めた一気通貫のビジネスを担っていきたいと考えています」(鎌田氏)

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2021年10月には、グループ全体でラストワンマイル輸送を担う全車両をEV(電気自動車)トラック化することを発表。「収益を確保しながら環境対応を推進する」方針だ。

提供:SBSホールディングス

目先の利益優先ではなく、「人の力」を信じる

創業から35年目を迎えたが、鎌田氏はSBSホールディングスを「メガベンチャー」と自認する。ベンチャー企業のように常に新たなことにスピード感を持って挑戦していく姿勢を大切にしてここまで来た。売上高4000億円が見えた今、こう宣言する。

鎌田社長

「(物流企業の)順位を鯉の滝登りのように上がってきて、もしかしたら長年不動であった上位企業を抜き、順位を変えることができるのではと思い始めています。

日本の物流業界の歴史を振り返ると、M&Aによる成長が中心でした。私たちはこれまで30社を超えるM&Aを手掛け、人的なリストラクチャリングを一切せずに個々の会社を成長させてきた。その経験がノウハウとして社内に蓄積されています。

SBSの基本方針は組織を形づくる細胞である「人」を大事にすること。お客様からのさまざまな要望に、多様性を持って柔軟に対応できるのは、M&Aで異なる文化や知見を取り入れ、変化を恐れず成長してきたからです。これからも目先の利益ではなく人の力や価値を信じて改革を進めていきます」(鎌田氏)


SBSグループについて詳しくはこちら。

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