撮影:Business Insider Japan
現在さまざまな翻訳サービスが提供されているが、精度が高く、自然な文章に翻訳できると評価が高いのが「DeepL翻訳」だ。
対応言語数では100以上のGoogle翻訳と比べると、DeepLは現在26言語と少ないが、日本語はもちろん英語(アメリカ・イギリス)やフランス語、ドイツ語など欧州言語や中国語(簡体字)に対応しているので、一般的な翻訳には十分だ。
またDeepLは、翻訳にCNN(畳み込みニューラルネットワーク)と呼ばれる深層学習を使用し、原文と翻訳文の単語を複数のレベルで比較し、原文にあった翻訳をしているか判断しているという。
その使い方を、基本編から強化された機能や、工夫して使う応用編まで解説していこう。
基本編:テキストを貼り付けるだけでOK
使い方は簡単で、パソコンからならウェブブラウザーからDeepLのサイトにアクセスし、「テキストの翻訳」を選んで、翻訳したいテキストを貼り付けるだけ。あとは翻訳したい言語を選べば、自動で翻訳される。
右側のフォームに翻訳したいテキストを貼り付ければ、右側のフォームに翻訳されたテキストが表示される。
出典:DeepLの画面キャプチャ
翻訳されたテキストは、その場で編集もできる。
翻訳前、翻訳後それぞれ文章内の単語を選択すると、その下に単語の意味や別の訳語が表示されるので、翻訳が文章に合わないような場合は、意味や別の訳語をチェックしつつ修正できる。
単語を選択すると、単語の意味や別の訳語が表示される。
出典:DeepLの画面キャプチャ
DeepLには、会社名や個人名といった固有名詞や、決まった訳語にしたい場合に指定できる「用語集」という機能が用意されている。ただし、現状日本語向けにはその機能がない。今後の対応に期待したい機能だ。
応用編:PDFなど「ファイルごと翻訳」の高い実用性
DeepLでは、ファイルをアップロードして、そのファイルに記載されているテキストをまるごと翻訳することもできる※。対応するファイルは「PDF」と「Word(.docx)」、「PowerPoint(.pptx)」の3つ。
※無料版の場合、1カ月に翻訳できるファイルは3つまで
使い方は「ファイルの翻訳」を選択して、翻訳したいファイルをドラッグ・アンド・ドロップするか、「文書ファイルを選択」から選ぶ。あとは翻訳したい言語を選択すれば、自動でファイル内の文章が翻訳された別のファイルが生成されるので、ダウンロードする。
翻訳したいファイルごとドラッグ・アンド・ドロップ。
出典:DeepLの画面キャプチャ
ファイルを開くと基本的には元のファイルのレイアウトに会わせて、翻訳されたテキストに差し替わっている。
左が元のファイルで、右が翻訳後のファイル。
出典:DeepLの画面キャプチャ
ただし「画像としてテキストが貼り付けてある状態」のファイル(PDF形式ではしばしばこのタイプがある)は、翻訳できないので注意したい。
見分け方は、それぞれのファイルを編集できるアプリで開いたときに、「テキストを画像ではなく文字としてコピーできる状態」のファイルなら、そのテキストを翻訳してくれる。
海外論文やドキュメントを下読みしたり、調査機関の公開レポートを読む際などにかなり「使える」機能だ。
PCアプリ編:アプリ版DeepLならではの「便利さ」とは
ブラウザーからでも翻訳はできるが、各種機能をよく使う人にはアプリ版をオススメしたい。
Windows版なら、ショートカットキーが利用でき、翻訳したい文章を選択して、「Ctrl+C+C」(Ctrlキーを押しながら、Cキーを2回)を押すと、自動でアプリ版のDeepLが起動して翻訳してくれる。
DeepL起動のショートカットは「Ctrl+C+C」以外の組み合わせにもカスタマイズできる。
出典:DeepLの画面キャプチャ
そのほかウェブブラウザーやテキストエディターなどで翻訳したい文章を選択して「Ctrl+F9」を押すと、ポップアップウィンドウで翻訳を表示するといった機能も用意されている。
「別のアプリケーション内でテキストを直接訳す」をオンにすると、ショートッとからポップアップで翻訳表示可能に。
出典:DeepLの画面キャプチャ
PCアプリ応用編:PCを「リアルタイム翻訳マシン」化できる
ちょっとした工夫で、音声入力による「リアルタイム翻訳」もできる。ポイントは、PCの音声認識と、DeepLを上手に組み合わせることだ。
Windows 11では、まずは外国語での音声入力を有効にするため、設定から「時刻と言語」→「言語と地域」にアクセス。「言語の追加」から、音声入力したい言語をインストールする。
マイクのアイコンが付いている言語は、音声入力に対応している。
出典:DeepLの画面キャプチャ
言語のインストールが完了したら、通知領域にある入力切り替えボタンから、入力したい言語を選択。最後にDeepLアプリの原文入力フォームをクリックしておいて、「Windowsキー+H」を押すと音声入力に切り替わる。
これで、マイクで集音している音声を自動でテキスト化し(これはWindows 11の機能)、それに合わせて翻訳も自動(DeepLの機能)で行われる。
英語の音声を拾って自動でテキストが入力されていき、翻訳もリアルタイムで表示。
出典:DeepLの画面キャプチャ
文字起こしの精度はマイクの性能や、騒音など回りの環境にも左右されるが、これでリアルタイムの文字起こしと翻訳が可能となる。
スマホアプリ編:PC版と似ているが制限アリ
DeepLにはスマートフォン版のアプリも用意されており、ウェブ版やPC版と同じく入力したテキストの翻訳ができる。PDFファイルから文章の読み込みにも対応しているのも、同様だ。
PDFファイルの読み込みにも対応し、ファイル内のテキストを自動で抽出してくれる。
出典:DeepLの画面キャプチャ
スマートフォン版ではそのほか、カメラで撮影した文章をテキストとして抽出して翻訳する機能や、音声入力にも対応。
ただし、カメラを向けてリアルタイムで翻訳することはできない(前出のとおり、撮影済みのファイルをテキスト認識して、翻訳することは可能)。
スマートフォン版も音声入力が可能だが、リアルタイムでの翻訳はできず、音声入力を止めると翻訳される。
出典:DeepLの画面キャプチャ
撮影した写真を選択して、映っている文字を抽出し翻訳できる。
出典:DeepLの画面キャプチャ
有料版と無料版の違いは?
無料版では最大5000文字の翻訳ができる。
5000文字以上の場合は、有料版の「DeepL Pro」を契約するか、細かく区切って翻訳する必要がある。
無料版と有料版の違いとしては、文書ファイルのまるごと翻訳にも差がある。無料版は同じく文字数制限のほか、ファイルサイズ(最大5MB)や、作成した翻訳文の編集ができないなど制限がある。DeepL Proの利用料金は、最も安いプランの「Starter」で月額1200円となっている。
プランは無料も含めて4つ用意されている。
出典:DeepLの画面キャプチャ
(文・中山智)