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動物にとって"心が落ち着く音楽"とは? ペットのための作曲家に聞いた

ジャネット・マーロウ

ジャネット・マーロウさん。

Courtesy of Janet Marlow

  • ジャネット・マーロウ(Janet Marlow)さんは、ちょっと変わった聴衆のための演奏者で作曲家だ。
  • マーロウさんは20年前から動物のための音楽を作り始めた。自身のペットを音楽で落ち着かせることができると気付いたのがきっかけだった。
  • 動物のための音楽を作ることで、マーロウさんは動物への愛と「わたしの頭に詰まっている音楽の知識全て」を結びつけることができるという。

音楽は演奏家の家庭に育ったジャネット・マーロウさんのからだの中を流れている。クラシックとジャズのギタリストであるマーロウさんは、自身のキャリアの最初の35年間を作曲、録音、世界中の舞台での演奏に費やしてきた。

その後、20年前から新たな聴衆のために音楽を作り始めた。ペットだ。

マーロウさんがペットのための音楽を作り始めたのは、自身のペットが練習中、彼女のそばに座って音楽を楽しんでいることに気付いたのがきっかけだった。マーロウさんは音が動物の行動にどのような影響を与えるか勉強し始め、音楽家としての自身の専門性を生かしてペットのストレスを軽減するための楽曲150曲を作曲し、自身が運営する「Pet Acoustics」を通じてリリースしている。

"もふもふのお友達"の不安を和らげるのは、ペットの飼い主にとって、精神的な負担になったり、金額的に高くつくこともある。アメリカペット製品協会(APPA)の最新の「ペットの飼い主調査」によると、 犬やねこを飼っている人の約51%がペットを落ち着かせるために何らかの製品を使っているという。薬からおもちゃ、ご褒美、首輪、シャツまで、その種類は多岐にわたる。

新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウン(都市封鎖)が終わり、日常生活が戻りつつある中、飼い主たちはあまりにも長い時間をともに過ごしてきたペットの分離不安症を心配している。これがペットの気持ちを落ち着かせるもの、そしてマーロウさんの音楽によるアプローチをこれまで以上に重要なものにした。

ジャネット・マーロウ

マーロウさん。

Courtesy of Janet Marlow

「音楽は振動を通じて生体細胞に大きな影響を与えるものです」とマーロウさんは語った。

「音楽についてわたしが持っている全ての知識を使って、生物のニーズにぴったり合うよう音楽を構成し、健康に良い影響を与えられるところが、わたしがワクワクするところです」

自身を「音の行動学者」と呼ぶマーロウさんは、1997年に音とそれが動物の行動に与える影響について研究し始めた。中でも、音が動物に与える影響の仕組みと音によって生じる振動に対する行動反応について、マーロウさんは熱心に調べた。彼女の論文は査読を受け、獣医学誌にも掲載された。その研究結果は、それぞれの種に合った音楽を演奏することのポジティブな効果を強調するものだった。

マーロウさんは動物の可聴範囲の情報を使って、それぞれの種にとって聞きやすい音の範囲内で作曲、デジタル処理をした。彼女の最新作『Equine Relax Trax』は馬のために作られた曲だ。馬は驚くほどストレスに弱く、ストレスは治療にかなりの費用を要する胃腸障害につながる。この曲は、馬にとって心地の良い音の範囲内にしっかり収まっているという。

「競馬場にいる馬の90%に、ホースパフォーマンスで活躍する馬の75~80%に潰瘍があり、その診断と治療には1000~2000ドル(約11万~23万円)かかります」と、ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルスのウマ科のテクニカル・マネジャーで獣医師のサラ・ルイス(Sarah Ruess)さんは話している。

「パフォーマンスの低下は、ここには含まれません。ストレスはパフォーマンスに大きな影響を与えます。音楽を使ってより良い環境を作ることで、その影響を最小限にできます」

ペットのための曲作りは、人間のために作るのとは大きく異なる。その理由の1つが、人間の脳は音を取り込んで、それを空間的に分析、ドラムやギター、その他の楽器とボーカルを別々に認識することだ。こうしたことは、動物では見られない。動物は音楽を全体として聞き、一瞬で行動反応を決めるのだとマーロウさんは話している。

「わたしたちは分析的で、動物たちは身体的なのです」とマーロウさんは言う。

ジャネット・マーロウ

マーロウさん。

Courtesy of Janet Marlow

曲作りはチョコレートのレイヤーケーキを焼くのと似ていると、マーロウさんは言う。選ばれた1つ1つの音は、それぞれの動物の可聴範囲内に収まっている。曲をアレンジする時も細心の注意を払っているという。

アレンジが終わったら、曲をデジタル化する。マーロウさんはさらに研究を進め、今ではどの楽器がどの種にとって特に心地良く聞こえるかを調べているという。

「クラシック音楽はつまらないから、動物にとって落ち着く音楽だと思い込んでいる人もいますが、それは事実ではありません」とマーロウさんは語った。

「それぞれの動物にとって心地良い範囲に収まる音楽を作ることが、動物たちの気持ちを落ち着かせ、ストレスを減らす助けになっています」

子どもの頃、マーロウさんはペットを飼うことができなかった。おとなになって、できるだけ多くの動物を助けることでマーロウさんはその埋め合わせをしているのだという。

「都会に住んでいたので子どもの頃は動物のそばにいられず、そのことが常にわたしの人生の中でくすぶっていました。そのこととわたしの頭に詰まっている音楽の知識全てを結び付けることに、わたしは情熱を注いでいます」

[原文:This composer makes music to calm pets — and says that even if you find a song soothing, they probably don't

(翻訳、編集:山口佳美)

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