「チャレンジするから面白い」電通デジタル社員が語る「伸び続ける」ために必要なこと
コロナ禍で生活者の暮らしが変化し、デジタル購買が浸透した。SNS経由のソーシャルコマースも広がっている。こうした変化に対応すべく企業支援をしているのが、電通デジタルのコマース部門だ。コマース部門ではどのような社員が、どのように働いているのか。大手ECプラットフォームを担当する同社のコマースメディア第1事業部の3人に話を聞いた。
「○○経済圏」を開拓する
消費者がECサイトで買い物をしたり、店舗購入時にポイントカードなどを利用すると、購買履歴が残る。こうして蓄積されたビッグデータは「21世紀の資源」とも呼ばれ、その活用次第では広告や販売、商品開発などの幅広い分野に革新を起こす可能性を秘めている。市場ではECプラットフォームを基軸にした「○○経済圏」が形成されており、圧倒的な存在感を持つ。電通デジタルはこうしたプラットフォーマーとタッグを組んで、彼らが持つビッグデータの活用を模索している。これを担当するのが、コマースメディア第1事業部だ。
事業部長の千葉健司氏は語る。
「2つの大きなプロジェクトが動いています。ひとつは、2020年から代理店向けの機能開発を進めてきたECモール内の検索連動型広告です。そして、もうひとつはECプラットフォームが持つ膨大なデータを活用した、新しいソリューションを開発するプロジェクトです。特に後者は、『○○経済圏』と呼ばれる市場において、生活者や広告主にとって価値があるソリューションをゼロから構築する、大規模なプロジェクトです」(千葉氏)
新領域だから「誰もがその道の専門家になれる」
ECモール内の検索連動型広告のプロジェクトで活躍しているのは、新卒で入社2年目の筒井優太氏だ。プロダクト開発からセールス、広告運用、さらにはこのプロダクトを活用する際に、クライアントが望む成果を上げるためにはどんなプロセスが必要なのか、運用のフローチャートを作成したり、社外向けのセミナーにも登壇し、電通デジタルのソリューションを社内外に伝える広報役も担っている。
「ECモール内の広告はまだ浸透しきっていません。特に新規プロダクトになると、そのプロダクトをどのように使っていくのかを分かりやすく翻訳する必要があります。そのために、このプロダクトを活用するクライアントが今どの段階にいるのかをYES/NOで答えていくと可視化される運用のフローチャートを作りました」(筒井氏)
上司でグループマネージャーの松下健太郎氏は言う。
「筒井は入社2年目にして、この道の専門家になっています。コマース部門自体が2021年1月に立ち上がった新しい組織で、扱っているプロダクトも、前例のない新しいものが多いです。だからこそ年次に関わらず、誰もが専門家になれる可能性を持っています。事業全体を統括するのが事業部長の千葉で、グループメンバーを見るのは私――という大まかな役割分担はありますが、実際は非常にフラットな関係性で動いています。やる気次第で自分の専門性を獲得でき、活躍できるのが電通デジタルの魅力だと感じています」(松下氏)
世の中を俯瞰する視野の広さが必要
千葉健司氏(ちば・けんじ)。コマース部門 コマースメディア第1事業部 事業部長。新卒で教育業界に特化した代理店へ入社。自社メディアの責任者・クライアント運用型広告コンサルを行った後にDAサーチ&リンク(現:電通ダイレクト)へ転職。デジタル広告全般のコンサルタントに従事しつつ、チームマネジメントを経験。2019年に電通デジタル入社。現在はECプラットフォームが持つデータの価値を正しく、有意義に活用するためのプロジェクトを推進中。
同社が扱うのは、ビッグデータを活用する最先端のデータサイエンスにもとづくプロダクトだ。活躍するには数学など理系の知識が不可欠なのかと思いきや、意外にも全員が文系出身者という答えが返ってきた。
事業部長の千葉氏は大学院で哲学を、グループマネージャーの松下氏は大学で法学、そして筒井氏は「文学部で古代~近代の日本文学を研究していた」のだとか。では、電通デジタルのコマース部門で働くには、どんな能力が求められるのだろうか。
「新しい知識については常に収集する必要があります。ただし、新しいテクノロジーによって何ができるかを把握して、これまでのサービスとの違いが分かれば、正確な仕組みの理解まで出来なくても問題ありません。電通デジタルにはその道の専門家がたくさんいるので、その人たちと協働できれば、自身が理解できなかった部分まで補完されます。むしろ求められるのは、事象を俯瞰して共通点を見つけられる力、物事を抽象化する力ともいえます。視野の広さと柔らかさが必要なので、新しいサービスや製品を見つけたら、とりあえず試してみてから考えるタイプの人が向いていると思いますね」(千葉氏)
松下氏も「俯瞰力、体系化が大切だ」と同意する。
「新しいプロダクトをゼロから開発し、販売基盤を整備していく、そんな仕事には、掘り下げるだけではなくて、俯瞰する力が必要です。そして、さらに重要なのが、どれほど多くの仲間をプロジェクトに巻き込んでいけるか、という点です。その際にも、全体を俯瞰しつつ、それをどれだけ体系的に整理して伝えられるか、が鍵だと感じています。」
ナレッジシェアの文化がある
松下健太郎氏(まつした・けんたろう)。コマース部門 コマースメディア第1事業部 グループマネージャー。 2019年電通から電通デジタルへ出向。以来、ECプラットフォーマーとのプロダクト開発、幅広い業種におけるプランニングに従事。現在は、経済圏データに基づく新たなマーケティング基盤構築と拡大を推進。
日々アップデートされるテクノロジーの世界。コマース部門の皆さんは、具体的にどのようにキャッチアップしているのだろうか。
千葉氏はこの仕事に携わるようになってから、勉強の仕方が変わったと語る。
「変化のスピードが速く、知らないといけない領域が広いので、ひとつの内容に深く入りすぎないようにしています。さきほどの話にも通じますが、抽象度をあげた概念として理解し、社内で誰がその専門性を持っているのかを把握する。餅は餅屋で、専門家に預けていくことが新領域に挑戦するときには必要なことだと感じています。1人で仕事を完遂するこだわりにとらわれることなく、会社として持っている”専門力”×”統合力”で仕事を推進することを大切にしています」(千葉氏)
社員個々人の勉強に加えて、同社には「ナレッジシェア(知見共有)」のカルチャーがあると松下氏は説明する。
「毎週全社員が参加可能なウェビナー形式のミーティングがあるのですが、そこでは最新テクノロジーに関する知識やTipsから、各領域のベストプラクティスまで、あらゆる知見が飛び交います。そして、そこで共有された知見は、日々の業務の中でもどんどん取り入れられ、それが次の知見を生んでいく。
また、仕事の進め方や仕組みそのもののアップデートのスピードも、電通デジタルの良さだと感じます。」(松下氏)
変化を楽しめる人が強い
筒井優太氏(つつい・ゆうた)。コマース部門 コマースメディア第1事業部。2020年、電通デジタルに入社。入社以来、大手ECモールの広告プロダクトを中心としたECメディアの活用に従事。ECモールにおける広告プロダクトの開発黎明期から運用及び販促拡大に貢献。認知獲得から刈取、オフラインへの販促までサポート。日用品/耐久消費財/酒類等幅広い業種を担当。
変化のスピードが速い。だからこそ、社員一人ひとりのやりたいことを支援する仕組みが整っているという。
「電通デジタルではメンバーと1on1を行う文化が根付いており、メンバーが何に困っているのか、自身が今後どうしていきたいのかについて把握できるようになっています。私としては本人がやりたいことに挑戦してもらう機会を作ることを意識しています。その方が成長は早いし、組織の発展・活性化に寄与すると考えているためです。従来のトップダウン形式の組織運営では変化のスピードについていけないと感じています」(千葉氏)
千葉氏や松下氏に「現場でチャレンジを続けながら成長してきた」といわれる筒井氏だが、肩の力は抜けている印象だ。
「チャレンジ、チャレンジと言われるとたじろぐ人もいるかもしれないのですが、各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら、業務の中で自然とステップアップできたと感じています。だから、チャレンジが心から楽しいと言える。文学部出身の僕でも胸を張って、デジタルを推進することができるんです」(筒井さん)
フラットでチャレンジングな電通デジタルの企業カルチャーは、変化を楽しめる人にはこの上ない環境といえるだろう。