10月に登場した「Kindle Paperwhite(第11世代)」を使っていると、電子ペーパーの進化に驚く。
撮影:小林優多郎
「これは本当に自分が知っているKindleなのか……?」
これは、Amazonが10月に出荷を開始した「Kindle Paperwhite(第11世代)」を触った筆者の率直な感想だ。
KindleはAmazonの展開する電子書籍サービスおよびそのリーダー端末。Kindle Paperwhiteとは3種類あるKindle端末の中では中価格帯のモデルだ。
価格は1万4980円。画面ロック時に広告が表示されない「広告なし」モデルだと+2000円となる。
大画面&USB Type-C搭載、上位モデルに肉薄する性能に進化
今回の進化ポイントはなんといっても“画面”にある。
撮影:小林優多郎
第11世代の新型Kindle Paperwhiteは、さまざまな点で進化を遂げているが、最たるものは本体の“顔”でもあるディスプレイだ。
電子ペーパーの画面はKindleシリーズでは初めて6.8インチサイズのものを搭載する。
この影響で、前期種から13gほど重くなってはいるが、実際に持った感覚は非常に軽い。厚さも8.1mmほどしかなく、カバンに1台忍ばせていても苦にならない。
「色調調整ライト」機能で、画面の色味を変えられる。
撮影:小林優多郎
内蔵のフロントライト(LED)が5個から17個に増えたところも大きなポイントで、前機種より最大輝度設定で10%明るくなった。
また、上位モデルの「Kindle Oasis」には搭載されていた「色調調整ライト」機能が搭載されたので、明るさだけではなくライトの色味(暖色〜寒色)が好みに調整できる。
いわゆる「ナイトモード」のような、日の入や日の出、指定した時間に自動的に色が変わる設定も可能。
撮影:小林優多郎
さらに、Oasisは現行では2019年発売モデルのため、2021年モデルと比較するのは少し憚られるが、第11世代Kindle PaperwhiteはOasisにも載っていない「USB Type-C」端子を搭載する。
Kindle Paperwhiteの充電端子はUSB Type-C。隣のボタンは電源ボタンだ。
撮影:小林優多郎
日本市場で出回るほとんどのAndroidスマートフォンや一部のiPad、PC/Macなど、最近ではUSB Type-Cで充電できる機種が増えている。
そういった既に持っている充電器を使いまわせるので、家での充電だけではなく、出先でモバイルバッテリーなどで充電したい際などに役に立つだろう。
「電子書籍はタブレット派」も見直した電子ペーパーの進化
写真左からiPad mini(第6世代)とKindle Paperwhite(第11世代)。
撮影:小林優多郎
カタログスペックでの主な進化点はここまで述べたとおりだが、筆者が感心したのは「読書体験の快適さ」だ。
筆者はこれまで、電子ペーパー搭載機=表示は紙のように読みやすいが、体験があまりよくない端末という印象があった。
Kindleを含めさまざまな実機を職業柄触っていたが、価格が安い製品は、処理性能の低さや電子ペーパーの性能の影響からか、動作のもたつきや電子ペーパー特有の「残像」が気になるものが多かった。結果的に、「電子書籍はiPadなどのタブレットで読む派」だった。
しかし、第11世代Kindle Paperwhiteはその印象を覆した。何よりページめくりのスピードが圧倒的に自然だ。残像もほとんど気にならない。
Amazonによると、第11世代は前モデル(第10世代)に比べて、電子ペーパーの反応速度が約20%向上しているという。
これは読書以外のところでも効いてくる。如実に性能向上を感じるのは文字入力のタイミングだ。前述の動画をご参照いただきたいが、ほとんどスマホのようなタッチパネルのように打てる。
キーボード入力がスムーズになった印象がある。
撮影:小林優多郎
KindleではWi-Fi接続から、端末内や購入済みのライブラリ、ストアでの新規購入の際まで意外に文字入力をする機会がある。そうした際のストレスがなくなるのは個人的に大歓迎だ。
読み放題サービス活用で年末年始の空き時間に読書を
年末年始に集中して読書がしたい時、すぐに本が読めるKindle端末はオススメできる。
撮影:小林優多郎
とはいえ、筆者はサービスとしてのKindleを普段からあまり使っていない。別の電子書籍サービスで購入することが多いからだ。それでも、Kindleをこれから積極的に使ってみようと考えている。
理由は2つ。1つは「他のサービスの通知がない」からだ。タブレットにはSNSやメール、チャットのアプリを入れている。そういった通知が特別な設定をしなくても読書中に届かないので、Kindleの方が集中できる。
もう1つの理由は「Prime Reading」と「Kindle Unlimited」の存在だ。
Prime Readingは、Amazonプライム(月額500円/年額4900円)会員向けの特典だ。後述のKindle Unlimitedの内の数百冊を対象にした読み放題サービスになる。
筆者の感覚ではPrime Readingの中身は、読みたい本が揃っているという印象ではなかったが、自分が普段は手に取らない本があり、試し読みにはぴったりだと感じた。
実際、コミックスなどは最初の1、2巻が無料で、それ以降の巻はKindle Unlimited契約もしくは単品購入、となるケースが多い。
Prime ReadingとKindle Unlimitedの比較。
出典:Amazon
一方で、Kindle Unlimitedは月額980円の読み放題サービスで、Amazonによると「200万冊以上が読み放題」だという。最大10冊までライブラリーに追加でき、読み終わった本は削除すれば、また違う本を読める。
記事執筆時点の12月14日時点だと、Kindle Paperwhite(第11世代)を購入時に3カ月分のKindle Unlimited利用権を無料で付与できる。
年末年始の空き時間にゆっくり読書をしようといった用途にピッタリだろう(自動更新のため、不要になった際の契約解除を忘れずに)。
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(文、撮影・小林優多郎)