『ウエスト・サイド・ストーリー』より。
20th Century Studios
- アメリカで12月10日に公開された映画『ウエスト・サイド・ストーリー』の公開初週末の北米市場での興行収入は、1050万ドル(約12億円)と市場予測を下回った。
- 同作は21世紀フォックスを買収したウォルト・ディズニーが引き継いでいる。
- フォックスとワーナーメディアとの契約で、ディズニーは同作をまだストリーミング配信できない。
- 同作は、日本では2022年2月11日に公開予定だ。
2021年はおとなのドラマやミュージカル映画が興行収入で伸び悩んでいる。スティーブン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』ですら、この流れを変えることはできなかったようだ。
『ウエスト・サイド・ストーリー』は先週末、アメリカなどで劇場公開され、公開初週末の北米市場での興行収入は1050万ドルだった。製作費(マーケティングの費用を除く)が1億ドルだったことを考えると、この数字は2019年に21世紀フォックスを買収、本作を引き継いだディズニーにとっては残念な結果だ。ホリデーシーズンや授賞式シーズンを前にまだ希望はあるものの、厳しい戦いになりそうだ。
業界がパンデミックからの回復を目指す中、2021年はおとなのドラマやミュージカル映画が興行収入で伸び悩んでいる。
- 『ハウス・オブ・グッチ』 —— 公開初週末 1400万ドル ※日本では2022年1月14日公開予定
- 『イン・ザ・ハイツ』 —— 公開初週末 1150万ドル(HBO Maxでも配信)
- 『ディア・エヴァン・ハンセン』 —— 公開初週末 740万ドル
- 『ドリームプラン』 —— 公開初週末 540万ドル(HBO Maxでも配信) ※日本では2022年2月23日公開予定
- 『最後の決闘裁判』 —— 公開初週末 470万ドル
アメリカでは、年齢層の高い観客の劇場への戻りが鈍く、先週末『ウエスト・サイド・ストーリー』を観た観客のうち、55歳以上は26%だった。一方、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』や『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のように、2021年に興行的に最も成功した映画はより若い観客に支えられている。
一部の関係者は、これが市場における長期的な変化を反映したものだと感じている。IMAXのCEOリチャード・ゲルフォント(Richard Gelfond)氏は先月、パンデミックが「大ヒット作(例えば『シャン・チー』や『ヴェノム』のようなシリーズもの)への動きを加速させた」とInsiderに語っていた。
『シャン・チー』の成功を受け、ディズニーは2021年に公開予定の今後の作品について、30~45日間は劇場のみで公開すると発表した。
ディズニーは興行的にスロースタートだった場合、その作品を同社のストリーミング・サービス「ディズニープラス(Disney+)」または「Hulu」に早く移さざるを得ないと感じているのかもしれない。ただ、『ウエスト・サイド・ストーリー』の場合は、ワーナーメディアとフォックス(現在は20世紀スタジオと呼ばれている)との契約上、『ブラック・ウィドウ』や『ジャングル・クルーズ』といった作品のように劇場公開と同時にストリーミング配信することはできない。
2022年に終わるこの契約によって、ワーナーメディアには20世紀スタジオの映画を"1つの窓口"に絞る権利が与えられている —— つまり劇場公開とVOD(ビデオ・オン・デマンド)の後、ワーナーメディアのHBO Maxで配信するということだ。
自社のストリーミング・サービスに投じる代わりに、ディズニーは『ウエスト・サイド・ストーリー』のVODプラットフォームでのレンタルを早めることはできる。そのためには、自らが約束した"45日間の劇場公開"を撤回すればいいだけだ。
そして、ディズニーとワーナーメディアは最近、両者の合意を修正し、HBO Maxの"1つの窓口"に絞る期間が始まる前であれば、20世紀スタジオの特定の作品を配信する権利をディズニープラスまたはHuluとHBO Maxとで共有することができるようになったと、Varietyが11月に報じた。ただ、実際にそれが適用されている作品は今のところ、アニメ『ロン 僕のポンコツ・ボット』のみで、Varietyによると12月15日からディズニープラスとHBO Maxで配信される。この新たなルールが他のどのような作品に適用されるかは分からない。
Insiderはディズニーにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
[原文:'West Side Story' disappointed at the box office, as adult dramas and musicals continue to struggle]
(翻訳、編集:山口佳美)