dodaが発表した2021年平均年収の調査では、2020年よりも平均年収が4万円減少していた(写真はイメージです)。
撮影:今村拓馬
「コロナの影響で週に3日はリモート勤務になりました。リモートの日は営業先への移動時間がないので、残業時間も1日2時間くらいは減っています。その分、月収も数万円は減ってしまい、これまで月に3~4回はゴルフに行っていたのを、1~2回に減らしています」
物流関連の企業で営業職として働く35歳の男性はそう話す。
転職サービスdodaを運営するパーソルキャリアは、2021年のdoda利用者の平均年収を発表した。
発表によると2021年の平均年収は、2020年と比べて6万円も減って403万円。同じ方法で調査を始めた2017年の平均年収418万円で、過去4年間で15万円も安くなっている。
この結果についてdodaは「テレワークの普及や営業時間の短縮による残業代の減ったことが一つの要因」と分析している。
2021年の平均年収の減少は、コロナによる影響も大きいとみられる。
出典:doda「平均年収ランキング2021」
金融とコンサルが年収上位独占
dodaによる2021年の平均年収調査は、2020年9月から2021年8月、dodaに登録したユーザーデータから算出した。20歳~65歳の正社員が対象で、有効回答数は約45万件。
この調査では、業界や業種ごとの平均年収をランキング形式で発表している。
最新の2021年調査では、平均年収の上位3位は次の職種だった。
1位、投資銀行業務…平均年収903万円
2位、運用(ファンドマネジャー/ディーラー)…平均年収744万円
3位、MR…平均年収713万円
トップ10には他にも、4位にリスクコンサルタント(704万円)、7位に業務改革コンサルタント(667万円)、9位に戦略/経営コンサルタント(664万円)などがラインクインしている。
金融とコンサルがランキング上位を占めたが、ここ数年、傾向に大きな変化はないという。
出典:doda「平均年収ランキング2021」
「ゲーム業界」が年収上昇1位
コロナ禍でも好調だったゲーム業界。
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一方、コロナを追い風に平均年収が急伸した業界もある。
2021年の調査で、平均年収が最も増えたのは「ゲーム/アミューズメント機器メーカー」だった。平均年収は490万円で、2020年に比べ57万円も増加した。
コロナによる巣ごもり需要を受け、ゲームメーカーの業績は好調だ。
任天堂は、「あつまれ どうぶつの森」のヒットなどを受け、2021年3月期決算で過去最高益を記録。またスマートフォンアプリでは、サイバーエージェント傘下のサイゲームスが2021年2月に配信した「ウマ娘 プリティーダービー」が大ヒットし話題を集めた。
40歳代のゲーム制作会社の関係者は、次のように話す。
「ヒット作があるかどうかで各社の給与レンジは左右されると思いますが、コロナ禍で成長している企業も多いと感じます。業界内では優秀な人材の取り合いも続いており、これから数年は、給与水準が上がっていくのではないかと期待しています」
コラム執筆の副業で「月10万円」
ゲーム業界の活況はあったものの、dodaの調査によると多くの業界で平均年収が下がっている。そんなコロナ禍で注目されているのが「副業」だ。
人材関連企業で営業職として働く20代後半の男性はこう話す。
「コロナ直後からリモートワークに切り替わったので、1日の残業は1~2時間は減りました。週末や減った残業時間を使ってコラムを書く副業を始め、いまでは単価も少し上がって、月に10万円ほど稼げるようになってきました」
副業やフリーランスのプラットフォーム、ランサーズが発表した「新・フリーランス実態調査2021年-2022年版」によると、コロナ禍以降、副業は急増している。
コロナ後には、特に「副業系パラレルワーカー」が急増している。
出典:ランサーズ「新・フリーランス実態調査2021年-2022年版」
ランサーズでは、本業の傍らすきま時間を利用する副業を「副業系すきまワーカー」、2社以上で契約ベースで働くケースを「複業系パラレルワーカー」と定義。
コロナ前の2020年2月と、直近の2021年9月・10月を比較すると、「副業系すきまワーカー」は420万人から424万人に増え、「複業パラレルワーカー」は288万人から356万人に大幅に増加した。
「副業系すきまワーカー」は週に平均5.7時間働き、平均の年間報酬は62万3000円。「副業業パラレルワーカー」は週に平均9.9時間働き、平均の年間報酬は102万8000円だった。
「本業の勤務時間が減ったことで、まずはお試し副業として取り組む人が増え、そこから副業の時間を増やす人もでてきている。2022年はより副業の比重が大きい、パラレルワーカー的な働き方が広まっていくと予想している」(ランサーズ広報・廣濱舞氏)
コロナ禍では、リモートワークが増えた一方で、残業時間が減っている人も多い。本業で浮いた時間で副業に挑戦する流れは、2022年も続きそうだ。
(文・横山耕太郎)