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Better Workplace, Better Culture.

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トヨタがtalentbookと始めた「社員主体の採用ブランディング」の効果とは

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talentbook」は、2014年12月創業のスタートアップ、PR Tableが運営するクラウドサービスだ。採用ブランディングなどの情報発信におけるリソースやデリバリーの課題を解決するツールとメディアを提供している。

新しい事業だが、その顧客には日本経済界の重鎮ともいえる企業も含まれている。トヨタ自動車(以下、トヨタ)もそんな企業のひとつ。トヨタは、どのような背景があってtalentbookを導入したのだろうか

PR Table共同創業者の大堀航氏と、トヨタ人事部から車両系技術人事室の元木洋介氏、人材育成室採用グループの千々岩真志氏が語り合った。

生まれ変わったトヨタを知ってもらうために

左から、大堀さん、元木さん、千々岩さん。

大堀航氏(以下、大堀):トヨタのような歴史のある大きな企業で、スタートアップのサービスであるtalentbookを利用しようと決断されたのには、どういった背景があったのでしょうか。

元木洋介氏(以下、元木): 2018年に弊社社長の豊田章男が「モビリティカンパニーに生まれ変わる」と宣言しました。自動車業界における100年に一度の大変革の時代を生き抜くため、本気で未来のモビリティ社会をつくりたいと考えたからです。それに伴って、これまで以上に多様な人材を求めて、新卒中心の採用から、キャリア・第二新卒採用を強化し始めました。取り組みを始めてみると、キャリア応募者の方から、「トヨタの企業名は知っているが、実際に働いている社員や職場の様子が見えない」という声が多く聞かれ、これまでのやり方ではうまくいかない、という危機感がありました。

千々岩真志氏(以下、千々岩):世間から見るとトヨタのものづくりはハードウエア中心というイメージが強いと思います。自動運転、電動化、コネクティッドなど、さまざまな領域でソフトウエア開発に取り組んでいることはまだまだ知られていないんです。それに、働く職場の雰囲気や開発環境のイメージがわかないという外部の方の声も、しばしば耳にします。実は私、今年キャリア入社したばかりなので、よく分かるのですが。

大堀:確かに、トヨタではたくさんの技術者が働いていらっしゃるイメージはあっても、ソフトウエア方面のエンジニアが必要とされているイメージはあまり広まっていないかもしれませんね。

Cap)talentbook上のトヨタ自動車のページ

talentbook上のトヨタ自動車のページ

提供:talentbook

元木:talentbookに記事を掲載することで、トヨタはソフトウエアもつくっているという認知は徐々に進んでいるように思います。毎回、個々の社員のストーリーを記事にして公開しているわけですが、どういう風に紹介すればいいのか、アドバイスもいただけて助かっています。社員も自分の仕事の魅力を伝えたいと熱が入っています。すでに20人ほど掲載されていますが、若手からベテランまでどの層でもトヨタのなかの共感できるロールモデルを紹介できていると思います。今はソフトウエア開発の現場を中心に掲載していますが、今後はカーボンニュートラルなど、新しい切り口での情報発信も行い、色々な角度からトヨタを見てもらえればと思っています。

千々岩:自社の採用ページには、トヨタをターゲットにしている人しかアクセスされないところがありますが、talentbookであれば、他企業と一緒に掲載されているので偶発的にトヨタにたどり着く人たちもいる。外部メディアとのコラボレーションもあり、そこからアクセスされる可能性がある。そういった意味でもメリットは大きいです。応募を検討する方には、記事に登場する人に共感できるポイントを見つけてもらえるとうれしく思いますね。

社内の採用へのアプローチも変わってきた

大堀:一人ひとり異なるストーリーをもつ社員の方々は、まさに御社の資産なのだと思います。採用候補者の方もさまざまで、共感ポイントは人によっても違い、多様です。ストーリーをどんどん発信し、それがたまっていくことで、採用を増やすための資産にもなっていくはずです。

元木洋介(もとき・ようすけ)氏/トヨタ自動車 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

元木洋介(もとき・ようすけ)氏/トヨタ自動車 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

元木:個のストーリーというのは深いですよね。以前はなかったことなんですが、最近は社内でも「この記事はもっとこう書いてほしい」などと要望が出てくることもあります。「うちの部署のやつが出てないじゃないか」なんてことも言われるんです。前はいくら説得してもなかなか協力してもらえなかったのが、現場から自発的に声があがって、前向きに話ができるようになったのは、大きな変化ですね。

千々岩:たしかに、もっと生の声を発信したいという声は、現場からも出ています。やはりトヨタはものすごく大きい会社なので、いろいろな価値観を持った多様な人材が働いています。それをもっと生々しく、外部の方たちにも届けていきたいですね。

大堀:全員人事採用担当」というような意識があるか否かは、採用の成否を左右する大きな要素の一つですね。

元木:トヨタでキャリア入社の社員が活躍しているところも、もっと紹介していきたいですね。「ああ、キャリア入社されたソフトウエア人材も、現場でこんな感じで活躍しているんだ」という風に身近に感じて頂きたいと思っています。

会社のビジョン、フィロソフィーを伝えていく

大堀:千々岩さんもキャリア採用で入られたのだと、先ほど知って驚きました。それも採用の分野で活躍なさっているとは。

千々岩真志(ちぢいわ・まさし)氏/トヨタ自動車 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

千々岩真志(ちぢいわ・まさし)氏/トヨタ自動車 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

千々岩:実際に入社してみて衝撃もありました。現場のアジャイル的な取り組みが、トヨタの「カイゼン」っていう文化とつながっているのを目の当たりにして、すごくいいなと思いました。ただ一方で、もともとIT・通信業界にいた私から見ると、世の中的なソフトウエア人材の価値観や働き方とトヨタの文化がもっとうまくフィットしたらいいのにと思う部分もあります。その溝を中途入社者の立場でうまく埋めていければいいですね。

大堀:それこそ多様性のメリットですよね。

元木:様々なご経験を積まれているキャリア入社の方にご入社いただけることで、多様な価値観やトヨタにない専門性を活かすことができ、多様性のある組織作りにも繋がると考えています。また、私が思うトヨタと他社の違いはハードとソフトの融合です。トヨタが長年にわたり築きあげてきたお客様との「リアル」な接点、「リアル」なクルマづくりと、ソフトウエアの力を掛け合わせていくことができる。それがトヨタの強みであり、それをいかにうまく効率的にやっていくかというところに、すごく面白みがあるんじゃないかと思います。

千々岩:私がもうひとつ感銘を受けたのは、トヨタの社員って「誰かのために」というマインドがすごくあること。何かをつくるとき、受け取り手がどう思うかとか、社内外のステークホルダーがどう感じるかみたいなことを常に意識して業務に従事しているんですよ。他社から転職してきた身としては新鮮でしたし、すごく好感を持ちました。

元木:トヨタ社員の行動指針を記したトヨタウェイ2020でいちばん最初に書かれているのが「誰かのために」なんです。キャリアで入社された方にそこに好感を持ってもらえるのはすごくうれしいですね。また、トヨタでは「幸せを量産する」というミッションを掲げているんですが、talentbookさんのビジョンである「働く人の笑顔が連鎖する世界をつくる」というのにも通じるものがありますよね。

大堀航(おおほり・こう)氏/大手総合PR会社のオズマピーアールを経て、国内最大のオンライン英会話サービスを運営するレアジョブに入社。PRチームを立ち上げ、2014年6月に東証マザーズ上場に貢献。2014年12月、PR Tableを創業。

大堀航(おおほり・こう)氏/大手総合PR会社のオズマピーアールを経て、国内最大のオンライン英会話サービスを運営するレアジョブに入社。PRチームを立ち上げ、2014年6月に東証マザーズ上場に貢献。2014年12月、PR Tableを創業。

大堀:我々は「笑顔」のために、人が主観的に幸福に働くというのを大事にしているんです。主観的に幸福度が高いと感じている人は、仕事の上でも結果を出すというデータがありまして。人が働く意味を見いだせばパフォーマンスがあがる。働く意味を導いて行けるかどうかがこれからの企業にとって大切になると思います。人の多い大きな会社で成長し続けているトヨタさんは、そこを捉えていらっしゃるのだと思います。

元木:「自動車をつくる会社」から「モビリティカンパニー」へとモデルチェンジする一方で、「誰かのために」などトヨタウェイ2020で挙げている、譲れない、曲げちゃいけないものは絶対あるんですよね。その部分も採用候補者の方々には届けていかなければいけないことですね。

千々岩:入社して確かに、そうしたベースの部分へのこだわりを感じています。そのベースがしっかりとあったうえで、多様な人の目線でアイデアを出していって、新しいものが作られていく。これからは、一人ひとりが自分でキャリアを考えて選択していく時代です。だからこそ企業側も、譲れない価値観のようなものをきちんと応募者に伝えていかなくてはいけないんでしょうね。そこに共感して一緒にがんばりたいという人と働いていきたいですし。

大堀:talentbookでは、そうした共感を生むためのコンテンツの企画・制作の業務効率化を強みとしていますが、今後は「読者」の反応や態度変容を可視化することで、企業や個人が大切にしている想い=ストーリーがもっと伝わるように、より進化させていきたいですね。


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talentbookが目指す「社員がメディアになる世界」は、企業と個人の関係性を変えるのか

“企業ブランディング”の有り様が変わりつつあります。「社員一人ひとりのストーリー」に焦点を当てた発信を通じて、働く人の笑顔が“連鎖する”世界をつくりたい──そう説くのは、PR Tableが提供するサービス「talentbook」。『ニュータイプの時代』や『ビジネスの未来』などの著書を持つ山口周氏と、PR Table創業者で取締役の大堀航氏が対談しました。

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