オランダのマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相。
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- オミクロン株による患者が急増する中、オランダはEU諸国で初めて、厳格なロックダウンを再び行っている。
- レストラン、美容院などを含む生活必需品以外の店舗は、少なくとも1月14日まで閉鎖されることになった。
- オランダは他のヨーロッパ諸国に比べ、ブースター導入が遅れている。
オランダは2021年12月19日、オミクロン感染者の急増に対抗するため、EU諸国で初めて全国的なロックダウンに入った。
オランダのマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は12月18日、レストラン、バー、必需品以外を扱う店、美容院、コンサート会場や映画館を翌19日からすべて閉鎖すると発表した。
ほとんどの屋内スポーツ施設は閉鎖され、スーパーマーケットや薬局は制限された時間での営業を行う。各種学校と大学も1月9日までは閉鎖される。葬儀も参列者が100人以下に制限される。
クリスマス期間中に屋内で迎える来客は4人までとし、それ以外は1人に制限している。オランダ政府は、この措置は少なくとも1月22日まで続くと発表している。
ルッテ首相は記者団に対し、ロックダウンは「避けられないことだ」と述べた。
BBCによると、ルッテ首相は19日、「オランダ全土からため息が聞こえてきそうだ。クリスマスまでちょうど1週間となったが、我々が望むものとはまったく異なるクリスマスがまたやってきた」と語った。
ルッテ政権はこれまで、COVID-19への対応で批判を浴びてきた。
パンデミックの初期段階において、オランダは「インテリジェント・ロックダウン」を実施し、高リスクの人々を隔離することに重点を置きつつ、集団免疫獲得を目指した。
そしてオランダは、他のヨーロッパ諸国に比べてブースタープログラムの開始が遅れている。国民の85%がワクチン接種を受けている一方で、ブースター接種を受けたのは9%だ。
オミクロン株の患者が急増しているイギリスでは、12歳以上の人口の約半数がブースター接種を受けたという。
オランダの国立公衆衛生研究所は18日、パンデミック開始以来、同国には合計290万件以上のCOVID-19症例が発生し、2万420人の死亡が報告されていると発表した。
直近で1日に報告された確定症例は1万4616件で、11月下旬のピーク時の約2万3000件から減少している。ロイターによると、オランダの感染症専門家、ヤープ・ヴァン・ディッセル(Jaap van Dissel)は、12月、1月までにはオミクロン株がオランダで支配的になる可能性が高いと述べている。
その他、ドイツはイギリスへの渡航制限を課している。19日午前0時以降、イギリスから入国できるのはドイツ国民と居住者のみで、COVID-19検査で陰性であることを証明する必要がある。また、到着後は14日間検疫を受けなければならない。
イギリス政府は、可能な限り自宅で仕事をするよう指導しているが、コロナウイルス感染者が1日200万人に達すると予測されているにもかかわらず、さらなる規制を行うには至っていない。
しかし、イギリス政府は今後、屋内での会合を2週間禁止し、冠婚葬祭での出席者を制限し、レストランやバーでのサービスのみ屋外に戻すことを検討していると伝えられている。タイムズは18日、この制限が12月27日から実施される可能性があると報じている。
オーストリアは11月にロックダウンしたが、ワクチン接種者についてはほとんどの制限を解除している。17日、同国保健省は、同国への旅行者は12月20日から、予防接種を受けていない場合、COVID-19の検査で陰性であることを証明する必要があると発表した。
[原文:The Netherlands has just gone into a month-long nationwide lockdown in response to the Omicron surge]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)