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気鋭の起業家6人に聞く「もし起業する前にこれがあったら…」本当は欲しかったモノや知識、経験とは?

起業に際して、万全に準備を整えて臨むことは現実的ではありません。起業して初めて、必要なモノや知識、経験などが見えてくるからです。「もし起業する前にこれがあったら……、こんな体験をしたら……」と後になって気づくこともまた多いはず。

そしてその気づきは、これから起業しよう、起業したいと思っている人にとってとても貴重で、多くの示唆を与えてくれるものです。

そこで今回、連載「ミライノツクリテ」に登場してくれた起業家6人に、「起業前に本当は欲しかったもの」とその理由を教えてもらいました。「ミライノツクリテ」に登場する起業家は、既存のルールや枠組みを超えて新しく未来の形を作ろうとチャレンジする人たちです。

話を聞いたのは以下の6人です。

  • ビースポーク 社長・綱川明美
  • TOUCH TO GO 社長・阿久津智紀
  • oVice CEO・ジョン・セーヒョン
  • Waffle 共同創業者・田中沙弥果、斎藤明日美
  • フィッシャーマン・シャパン 代表理事・阿部勝太

「強いビジョンやミッション」に惹かれて働く経験

ビースポーク社長・綱川明美さん

綱川明美さん

成田空港や東京駅も導入されている多言語AIチャットボット「Bebot」を開発する、ビースポーク 社長の綱川明美さん。

撮影:伊藤圭

「会社員時代、『強いビジョンやミッション』がある会社で働いたことがなかったため、起業後、仲間に動いてもらうために、ビジョンやミッションがどれだけ大切なのかを理解するのに2年もかかりました。

開発しているプロダクトに問題が発生した際に、『なぜこのサービスを作っているのか』という話をしつこく伝えたことにより、チーム力が劇的に上がる経験をして初めて、重要性を理解できた気がします。

もちろんそれまでも周りからのアドバイスで「ビジョン・ミッション」の重要性は想像できていました。でも実際自分が会社員時代に、それによって自分や周りのパフォーマンスが変わったという体験をしていなかったので、チョコレートを食べたことがない人がチョコレートの味を説明しているようなものでした。

組織というのは個人の力の寄せ集めで、足し算をしても大きく成長させることはできません。かけ算ができてこそ大きく成長できるのですが、その強力なドライバーとなるのが、ビジョンやミッションだと思います」

海外で知見を広める時間と経験があれば

TOUCH TO GO 社長・阿久津智紀さん

TOUCH TO GO社長・阿久津智紀さん

「無人コンビニ」を手がけるTOUCH TO GO 社長の阿久津智紀さん。JR東日本スタートアップからカーブアウトで起業した。

撮影:伊藤圭

「私の場合は、日本の大企業(JR東日本)で実務をしながら、カーブアウトという手法で(新規事業などを親会社から切り分け、親会社から出資を受けつつ別企業として独立させること)起業しました。

起業前に海外の状況やビジネスのレベル感を自分で確認しに行く時間もなかったため、もう少し海外経験を積んでおけばよかったと感じています。世界を見据えたビジネスを展開するうえでも。コロナ禍の今となっては、知見を広めに海外にインプットしに行く機会も時間もありません」

「青春を謳歌しておけばよかった」

oVice CEO・ジョン・セーヒョンさん

oVice CEO・ジョンセーヒョンさん

コロナ禍で急成長。1200社が導入するバーチャルオフィスシステム「oVice」を開発する同社CEOのジョン・セーヒョンさん。

撮影:伊藤圭

「青春を経験しておけばよかったと感じています。理由としては2つです。

1つ目は、青春を謳歌できる時期は限られており、今更経験できるものではないためです。

2つ目は青春を過ごす中に多くの人とつながれるチャンスがあり、そうした友人とのつながりはその後の人生でも生きてくると考えているからです。

私は韓国出身ということもあり、もともと日本に知り合いはいませんでした。なおかつ学生時代にすでに起業しており、忙殺されて友達を作る時間もありませんでした。

これまでに複数社の起業を経験していますが、もし青春時代に友達に恵まれていたら、一緒に働く仲間を友人から引っ張ってくることができたかもしれないと感じることがあります。

仕事で関わらなくてもいい。起業をすると苦しい時期が必ずあります。行きづまった時に一旦仕事から離れてラフに相談することができるという意味でも、友達を作れていたら、と思っています」

体調を万全に整えて

Waffle 共同創業者・田中沙弥果さん

waffle共同創業者の斎藤明日美さん/田中沙弥果さん

テクノロジー分野におけるジェンダーギャップ解消を目指し、女子中高生向けのプログラミング教室やテックコンテストを主催する一般社団法人、Waffleの共同創業者・田中沙弥果さん(写真右)、斎藤明日美さん(写真左)。

撮影:持田薫

「これから起業する方にお伝えしたいのは、体調を万全に整えてして臨んでほしいということです。私自身、起業したばかりの時に、体調を崩して思うように働けないことがありました。起業は想像している以上にストレスで、心身ともに影響を受けていたようです。

今ではすっかり体調は戻っていますが、できる限り3食きちんと、なるべく一汁三菜の食事をとるなど心がけています。ちょっと無理をしているな、と思った時には、思い切って休みをとっています。睡眠をしっかりとることも重要で。まさに、『健全なる精神は健全なる身体に宿る』を実践するようにしています。

ビジネスは短距離走ではなく、持久走です。特に若いと、かつての私のように、自分の体力を過信しているかもしれません。後々のことを考えるとそれでは続かない可能性もあります。

今では、ビジネスを成功させるためには無理をせず、自身の健康をきちんとコントロールすることも、経営者にとって重要なことの一つだと思っています」

リアルオフィスの効果は絶大

Waffle 共同創業者・斎藤明日美さん

「私たちはコロナ禍で起業し、オンラインで完結するサービスを提供していることから、当初はオフィススペースを構えていませんでした。普段はオンラインツールを最大限に活用しながら、場所と時間にとらわれずに働ける環境を実現しています。

ただ、2021年度はWeWorkの非営利団体向けプログラムを活用し、必要に応じて対面で打ち合わせをしました。ホワイトボードを活用し、メンバーと自由に議論したり、コミュニケーションを取れたことは、生産性や創造性の観点から非常に効果があったと思います。

起業したばかりの頃は、固定費をできる限り抑えたいという思いや、効率性を重視するあまり、オフィスを構えるという発想はありませんでした。

しかし今では、メンバーが自由に利用できるリアルなスペースを早めに用意しておけばよかったと感じています。スタートアップや非営利団体向けの施設やプログラムを利用するのも一つの手です。

一方で、オンラインのメリットも十分享受し理解しているので、今後は全てをオフラインに戻すのではなく、ハイブリット型の新しい働き方を模索できればと思っています」

参考になるビジネスモデルを知りたかった

フィッシャーマン・シャパン 代表理事・阿部勝太

フィッシャーマン・シャパン 代表理事・阿部勝太さん

東日本大震災を機に、水産業を「カッコよく、稼げて、革新的=新3Kな仕事にする」を掲げて、若手の漁師などがつながりあうフィッシャーマン・ジャパンを設立した代表理事の阿部勝太さん。宮城県石巻市で3代続くワカメ漁師でもある。

撮影:伊藤圭

「参考になるビジネスモデルが知りたかったです。

2011年の震災当時は、私が従事する水産業において、担い手同士がつながりあって知見をシェアしたり、獲れた魚介類を自分たちでブランド化し、値付けして販路を開拓したりするようなビジネスモデルを見つけることができず、困りました。

今でいう、「食べチョク」や「ポケットマルシェ」などのサービスもまだなかったのです。インターネットで調べたり、セミナーに行ったりしてみても、これは分かりませんでした。

幸い、復興支援ボランティアで宮城に来てくださった方を通じて、農業分野における取り組み『農家のこせがれネットワーク』という活動を教えていただき、代表の方も紹介いただけました。そうして、同じ一次産業かつ、同じく食べ物を扱うモデルなら、漁業でもできるのではと思い、2014年の起業につながりました」

連載「ミライノツクリテ」は、既存のルールや枠組みを超えて、新しい未来の形を作ろうとチャレンジする人たちを取り上げ、その軌跡と、彼らが見据える先を色鮮やかに描き出すノンフィクション連載です。

2019年11月スタート以来、起業家を中心に、NPO代表やアーティスト、大学教授など40名以上を取材しています。この機会にぜひご覧ください。

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