フロリダ州マイアミで開かれたビットコイン・コンベンションに登壇したジャック・ドーシー。(2021年6月4日)
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- 株式公開後も創業者がCEOに居座ると、企業の資産価値を損なう可能性があることが最新の分析でわかった。
- その研究によると、創業者は一般的に上場企業の経営に必要なスキルを持っていないという。
- この研究はツイッターの創業者、ジャック・ドーシーが投資家の介入でCEOの座を退いた後に発表された。
創業者はいつまで会社にとどまるべきなのか。
投資家と幹部では、この質問に対する意見が分かれることもあるが、この報告を行った研究者は、株式公開後3年以内に退くべきだと考えている。
ノースカロライナ大学とカリフォルニア大学の研究者が行った予備調査によると、創業者は株式公開から3年以内にCEOを退任すべきであるだけでなく、CEOの役職に長くとどまると企業価値を損ねる可能性がある。
「The Founder Premium revisited」と名付けられた研究の報告書では、1900社の財務状況を分析しており、研究の開始時点ではその半数を創業者が経営していた。
調査と分析は現在も続けられているが、創業者は株式公開前とその最中には企業価値によい影響を与える一方で、長くとどまりすぎると、企業の資産価値を損ないかねないことがわかった。
「創業者によって上がった価値は、株式公開からおよそ3年でゼロまで下がり、長期的には企業価値を下げていく」と 著者のブラッドリー・ヘンドリックス(Bradley Hendricks)、トラビス・ハウエル(Travis Howell)、クリストファー・ビンガム(Christopher Bingham)はハーバード・ビジネス・レビューで述べている。
CEOは、株式公開した後は、CEO以外の役職や役員として企業の価値を上げることができるという。
これは企業の設立と成長に必要な創造的な力やスキルは、株式公開後の企業を経営していくために必要なものと大きく異なることによると、研究者は述べている。
株式公開後にCEOは、より多くの従業員の管理に加えて、投資家から業務の合理化や新しい市場への進出などのより複雑な要求を受ける。これをこなすスキルを持つ人は少ないと研究者は指摘している。
これは最終的な結論ではなく、傾向を表したものだと研究者は述べている。CEO個人の人間性と、各企業の特性によっても変わってくる。
アマゾンは、株式公開後に創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)が4年間CEOに就いていたが、同社の長期にわたる成功は今回の結果に反するものだ。だが、株式上場前に退任したWeWorkのアダム・ニューマン(Adam Neumann)や、派閥闘争の末に退いたウーバーのトラビス・カラニック(Travis Kalanick)、株式上場の18カ月後に更迭されたグルーポンのアンドリュー・メイソン(Andrew Mason)など、ベゾスのように長続きしない創業者もいる。
2021年11月にツイッターのジャック・ドーシー(Jack Dorsey)が辞任したのは、創業者がCEOから退任した最新の注目すべき事例だ。ドーシーは、彼の所有する別の会社であるスクエア(Square、現在はブロックに社名変更)の経営に集中したいと語っている。
[原文:Founder-CEOs stop adding value 3 years after IPO, research suggests]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)