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「脱プラ」に舵を切るマクドナルド。木製スプーンなどで「年間900トン削減」へ…背景にプラ資源新法

木素材のカトラリー

マクドナルドは脱プラスチック戦略の一貫として、木製のカトラリーや紙製のストローを導入する。

撮影:三ツ村崇志

国内ハンバーガーチェーン最大手の日本マクドナルドが、脱プラスチックの取り組みに大きな一歩を踏み出した。

12月22日、2022年2月より横浜エリアの一部店舗でプラスチックでできたスプーンなどの代わりに、木製のカトラリーと紙ストローの導入を始めることを発表、実物を報道陣に公開した。

全国導入時にはプラスチック約900トン削減

木素材のフォークを手に持っている様子

木でできたフォーク、大人でも子どもでも使いやすいように設計されたという。

撮影:三ツ村崇志

マクドナルドが公開したのは、木製のカトラリー(スプーン、フォーク、ナイフ、マドラー)と、紙製のストローだ。

木製のカトラリーについては、木でできた製品によく見られる「トゲ」や「割れ」などが生じないよう、厳しい検査のほか、硬さを重視した原料選定がなされている。また、炭酸飲料からシェイクまで、マクドナルドのどの飲料メニューでも飲みやすいよう、紙製のストローは太めに設計し、時間が経過してもふやけにくくなるような改良も施されているという。

ストロー

紙ストローは思った以上にしっかりしていた。

撮影:三ツ村崇志

ストローの原料やカトラリーの木材、個包装の紙なども、すべて森林環境に配慮して作られたことが証明されている「FSC認証材」を使用している。

これらの製品は、2022年2月より横浜エリアの一部店舗で導入を開始。消費者からの反応を踏まえて提供店舗数を増やしていく方針だ。

なお、開発の難しさなどから子ども用の曲がるスプーンはプラスチックを継続利用。ストロー付きスプーンについては代替素材を検討している。また、紙パックの飲料などにあらかじめ備え付けられているプラスチックストローなどもそのまま利用することになる。

現時点で横浜エリア以外への展開目処や、全国展開する時期について言及はされなかったものの、日本マクドナルドサプライチェーン本部の大塚翔氏は、

「2020年の出荷数量を前提とした場合、全国導入時には年間約900トン相当のプラスチック削減効果を見込んでいます

とプラスチックの削減効果を語った。

日本マクドナルドのCSRレポートによると、2020年に店舗で廃棄されたプラスチックは約5700トン。テイクアウトなどで持ち帰られたプラスチックはこのカウントには含まれていないものの、全国に木製カトラリーや紙ストローが導入された場合の削減効果は大きそうだ。

マクドナルドではこのほか、持ち帰り用のバッグなども含めて消費者向けに提供されるすべてのパッケージを、2025年までに「再生可能な素材」「リサイクル素材」または「認証された素材」に変更することを目標として掲げている。今回発表された取り組みは、その一環だ。

なお、安く加工性にも優れたプラスチックから、紙や木材を原料に変更したことで懸念されるのは「コスト」だ。大塚氏は、

「現時点において、プラスチックを原料としたストローやカトラリーに比べると、紙製のものや木製のものにはコストがかかることは事実です。しかしながら、環境問題は非常に重要な課題と認識しており、多くのお客様をお迎えする企業として、当面無料のままで進めたいと考えております

と、現時点ではレジ袋のように有料化することは考えていないとしている。

「プラ資源循環促進法」で何が変わる?

日本マクドナルドホールディングスの宮下建治 取締役執行役員。

日本マクドナルドホールディングス取締役執行役員の宮下建治氏。

撮影:三ツ村崇志

日本国内では、2020年10月に菅義偉元首相が2050年にカーボンニュートラルを目指すと宣言してから、脱炭素化に向けた取り組みが注目されている。一方で、世界を見渡せば、脱炭素と同様に、海洋プラスチック問題や、石油製品の使用削減(カーボンニュートラルの一貫)を目的として、脱プラスチックの取り組みも加速している。

日本では、プラスチックの使用量削減や、環境問題への意識づけを狙い、2020年6月からレジ袋(買い物袋)の有料化などがスタート。これに続いて、2021年6月には新たに「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ資源循環促進法)」が成立。2022年4月から施行される予定だ。

マクドナルドの取り組みは、この新しい規制に対応する側面もある。

日本マクドナルドホールディングスの宮下建治取締役は、記者会見でプラスチック削減を加速する理由について3つの背景があると語った。

「1つ目は食品・消費財産業のプラスチック排出量が全世界の25%を占めること。それだけ生態系や生物多様性に対するインパクトがあります。2つ目は、弊社の最近の調査によって、日本の消費者は食品企業が取り組むべき課題として、パッケージの削減をとても重要視されていることがわかったこと。そして3つ目は、2022年の4月よりプラスチック資源循環促進法が施行されることです」

記者会見に参加した佐藤泉弁護士は、2022年4月から施行されるプラ資源循環促進法について、

「今までの(リサイクルなどに関する)法律は、自動車や家電など『製品』ごとに対応を求めているものでした。しかし、プラスチック資源循環促進法では、プラスチックという『素材』に注目して、全ての国民に協力を求めるまったく新しい法律です」(佐藤弁護士)

と指摘する。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の資料。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の資料。

出典:環境省プラスチック資源循環法関連一般消費者向け概要資料

プラ資源循環促進法では、製品の設計・製造する事業者に対してプラスチック製品の設計を簡素化したり、単一素材にしたりといった「環境配慮型」に転換することが求められている。

また、販売・提供段階に携わる事業者には、プラスチックを極力使用しない販売・提供方法の検討のほか、使い捨てプラスチックを使用する場合はその合理化によって、消費者のライフサイクルの変革の加速が望まれている。それにともない、市区町村による分別回収の徹底・促進も必須だ。

脱プラスチックを本格的に進めていくには、各領域のプレイヤーがそれぞれ努力しなければならないわけだ。

佐藤弁護士は、企業の取り組みについて

「企業間の競争原理も必要です。本日のマクドナルドの記者会見のように、業界に先駆けた新しい取り組みを情報発信することも、私は非常に有意義なことではないかと思います」

と今回のマクドナルドの取り組みについて語った。

世界で生産されているプラスチック量は、年間で約4億トン。このうち日本で生産されているのは約1000万トン(プラスチック基礎知識2021より)。マクドナルド一社だけが努力したとしても、社会全体のプラスチック問題を解決できるわけではない。

しかしそれでも、業界のリーディングカンパニーが「食事の風景を変える」取り組みを加速させることには、社会的には大きな意味があると言える。

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