仕事熱心な社員を失う可能性もある…「燃え尽き」を防ぐために企業ができること

仕事が好きでも、疲れを感じないということにはならない。

仕事が好きでも、疲れを感じないということにはならない。

urbazon/Getty

  • 仕事に懸命に取り組むエンゲージメントが高い従業員も、仕事で疲弊することがある。特にパンデミックの際にはそうなりがちだ。
  • その疲弊が燃え尽き症候群につながり、最終的には退職に至るケースもある。
  • 雇用主は、優秀な人材が仕事をこなすのに必要なリソースを確保する必要がある。

心理学者で『The Burnout Fix』の著者でもあるヤシンタ・ヒメネス(Jacinta Jiménez)は、企業のトップと会うたびに、最もエンゲージメントの高い社員が仕事を辞めてしまわないように手を尽くすべきだとアドバイスしている。

彼らは仕事が好きで、組織に貢献し、概してパフォーマンスも高いため、辞める可能性が最も低いと思われるかもしれない。しかし、ヒメネスは「自分の仕事が好きで、心を躍らせながら情熱的に取り組んでいるときは、それに没頭するあまり、自分自身のケアや仕事に区切りをつけることを怠ってしまうことがある」とInsiderに語っている。その結果、エンゲージメントの高い社員は疲れ果て、さらには燃え尽き、仕事を辞めてしまうこともあるという。

これは、雇用主が今、特に注意を払うべき問題だ。2021年6月にMonster.comがアメリカの被雇用者649人を対象に行った調査によると、95%が退職を考えていると答え、その3分の1が退職の理由として燃え尽き症候群を挙げている。この問題を解決しようと、多くの企業が健康増進プログラムに取り組んできた。しかし、燃え尽き症候群のコンサルタント、ポーラ・デイビス(Paula Davis)は、その代わりに週末に手厚くサポートしたり、疑問や懸念が生じたときに気軽に相談できるようにするなど、対応困難な量の仕事をこなすために必要なリソースを従業員に与えるべきだとInsiderに語っている。

ストレス&レジリエンス研究所の創設者であり、『Beating Burnout at Work』の著者でもあるデイビスによると、雇用主は社員が「本当に持続不可能なペースで走っているのか」を確認する必要があるという。

仕事を愛するだけでは救われない

エンゲージメントの高さと燃え尽き症候群の関連性を探る研究が増えている。世界保健機関(WHO)によると、燃え尽き症候群は「うまく管理できていない職場のストレス」が原因となって発生し、それには疲労、シニシズム、パフォーマンスの低下という3つの原因があるという。

イェール大学のCenter for Emotional IntelligenceとChild Study Centerが2018年に発表した研究論文によると、調査した労働者の20%近くが高いエンゲージメントと燃え尽き症候群の兆候を示していた。キャリアコーチングプラットフォームのBetterUpが行った同様の調査では、この数値は31%といっそう高い結果だった。さらに、イェール大学の論文では、調査対象となった労働者のうち、エンゲージメントが高く、燃え尽き症候群の兆候を示す労働者が、退職の意思を最も強く示していた。

この論文の筆頭著者であるジュリア・モーラー(Julia Moeller)とスタンフォード大学の心理学者エマ・セパラ(Emma Seppälä)は2018年にHarvard Business Reviewで次のように警鐘を鳴らした

「企業は最も意欲的で勤勉な社員を失う危険性がある。彼らのエンゲージメントが欠如しているからではなく、高いストレスと燃え尽き症候群の症状を同時に体験しているからだ」

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