クローガ-はVeeveと提携し、一部の店舗にKrogoというスマートカートを導入している。
Courtesy of Veeve
- スーパーマーケット大手のクローガーは、スマートショッピングカート企業のVeeveと提携した。
- インディアナ州のクローガーで、Veeveのシャリク・シッディーキーCEOとともにこのスマートカートをテストした。
- 「我々が実際にやっているのは、顧客の買い物を見ることだ」とシッディーキーはInsiderに語った。
非接触型ショッピングの普及に伴い、スマートショッピングカートはもはや未来的なものではなくなっている。この技術は今や全米の店舗で見ることができる。
非接触型ショッピングの分野では、アマゾン(Amazon)のダッシュカート(Dash Carts)が最も注目を集めている。しかし、アマゾン出身のシャリク・シッディーキー(Shariq Siddiqui)とウマル・サディク(Umer Sadiq)によって設立されたVeeveも、一部の小売業者から支持を得ている。
スタートアップのVeeveは、ダッシュカートが必要とする高価なカメラの設置を不要にすることで、非接触型ショッピングをより身近なものにしたいと考えている。同社はバーコードのスキャンやコンピュータビジョン技術などをすべてショッピングカートに組み込んでいる。2021年初めにはインスタカート(Instacart)もスマートカートを製造するケイパー(Caper)を買収してこの分野に参入している。
Veeveは現在、スーパーマーケットチェーン大手のアルバートソンズ(Albertsons)やクローガ-(Kroger)と提携し、一部店舗で試験運用を行っている。シッディーキーCEOはInsiderに、新型コロナウイルスの大流行がスマートカートの需要を「加速」させたと話している。
「小売業者は、『顧客を店舗に呼び戻す最善の方法』を見つけようとしている。一方、顧客は『店に入り、私の買う物に誰にも触れないように、すばやく支払いを済ませて、そのまま店を出るにはどうしたらいいか』を見極めようとしている」
シッディーキーは、アマゾンのダッシュカートによって、クローガー、アルバートソンズ、ウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)といった小売業者の関心が高まったと評価している。
「それは『我々がこの需要を加速させることができるのではないか』と気付いた瞬間だった」
スマートカートの技術についてもっと知るために、私はインディアナ州エイボンにあるクローガーを訪れ、VeeveのシッディーキーCEOとともにVeeveのスマートカート「Krogo」を試すために、店内をぐるりと回り、さまざまな商品を手に取ってみた。
Veeveを使ってみると一般的なショッピングカートよりもやや重いものの、高い操作性を実現していることが分かった
インディアナ州エイボンにあるクローガーでVeeveのスマートカートを試してみた。
Áine Cain/Insider
Source: Insider
画面表示の開始時に電話番号を入力するオプションがあり、ゲストとしてカートを利用することも可能
Veeveのスマートカートのディスプレイ。
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シッディーキーによると、買い物客がクーポンやショッピングリストを利用するときにもシームレスな体験を提供することがVeeveの目標であり、店内にいる時間を短縮するためのナビゲーション機能を組み込みたいと考えているという
クローガーでVeeveのカートを使う2人の買い物客。
Courtesy of Veeve
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「将来の計画はパーソナライズすること。ショッピングリストが自動的に表示されるようになる予定だ」とシッディーキーは言う
クローガーでVeeveのカートを使い買い物をする男性。
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Veeveはカートのソフトウェアや全体のデザインのアップデートも行っている。シッディーキーによると、より軽量なカートの導入を検討しているという
クローガーでVeeveのカートを見る人々。
Courtesy of Veeve
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Veeveのカートはバーコードスキャンとコンピュータービジョン技術で動作する。客は商品を手に取り、スキャンしてカートに入れていく
私もクローガ-でVeeveのカートを試してみた。
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将来的にはバーコードスキャンをなくして、よりシームレスな体験を実現する計画だとシッディーキーは話している
Veeveカートのディスプレイ。
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商品をカートに入れると各商品はパネル上で認識済みのリストに追加されていく
クローガーでVeeveのカートを使い買い物をする男性。
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このシステムには野菜や果物の重さを量り、価格を計算する機能もある
Veeveのカートは野菜や果物の重さを測ってくれる。
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盗難防止のため、Veeveのカートは重量を追跡し、多数のカメラやスキャナーを搭載している。「我々が実際にやっているのは、顧客の買い物を見ることだ」とシッディーキーは話している
Veeveのカートは盗難防止機能を搭載している。
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シッディーキーによると、盗難対策などが施されているものの、カートは「寛容」に設計されているという
Veeveのカートのディスプレイ。
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買い物客の気が変わったり、子どもが勝手にいろいろなお菓子をカートに放り込んだりすることに対し、ペナルティを与えるようなものにはしたくなかったとシッディーキーは話している
Veeveのカートで買い物するときは、途中で気持ちが変わっても問題ない。
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カートの中の商品が正しくスキャンされていないと、「認識されません(unrecognized)」と表示される
Veeveのカート。
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アラームが鳴ることはないが、客は商品を再度スキャンするか、取り除かなければいけない
クローガーでVeeveのカート「Krogo」を使って買い物をする男性。
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シッディーキーによると、クローガーの従業員(通常はセルフレジを監視する人)にはカートを操作する権限が与えられているという。カートの利用中にトラブルが発生した場合、タッチスクリーンを使って従業員に知らせることができる
Krogoで買い物をする男性と話すクローガーの従業員。
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各カートの前面にはライトがあり、カートの状態によって点灯するライトの色が決まっている。緑色のライトはすべて正常であることを示し、オレンジ色はワインなど年齢確認が必要な商品がカートに入っていることを意味する。赤色はカートの中に認識できない商品があるか確認中であること、青色のライトはすべて支払済みであることを意味している
このカートは緑色のライトが点灯している。
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買い物客が青いライトが光るカートでチェックアウト場所まで来ると、そのまま商品を持って店を出ることができる。カートの中には大きな紙袋が入っているので、カートに商品を入れたときに袋詰めはできている
クローガーで客を待つVeeveのスマートカート。
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一部の店舗では、ベビーブーマー世代が最も熱心なアーリーアダプターで、「セルフレジよりもカートの方がずっと簡単で少し楽しい」と述べているとシッディーキーは教えてくれた
クローガーのVeeveのカート。
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私は買い物をしている間、他にも多くの客がVeeveのカートを使っていることに気付いた。スマートカートを押している野球帽をかぶった男性が「このカートすごいですよね」と声をかけてくれたこともあった
Veeveのカートを押しているのは私だけではなかった。
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シッディーキーによると、Veeveの今後の展開として、お気に入りのスターの買い物リストをダウンロードして買い物ができるようにセレブとの提携を検討しているという
クローガ-でVeeveのKrogoを使って買い物中の男性。
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シッディーキーはまた、Veeveに買い物客同士がショッピングリストを共有できるようなソーシャル機能を追加することも考えているという
スマートカートのKrogoと普通のショッピングカート。
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「個人的には、楽しさとソーシャルの要素、ゲーミフィケーションに期待している。それはショッピングに新たな一面を加えるものになる」とシッディーキーCEOは話している
VeeveのKrogoカートを使って買い物中の男性。
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Source: Veeve
[原文:I tried shopping with AI shopping carts at Kroger with the CEO of Veeve]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)