初心者向けの表にはなるが、2021年末時点でのカンタンな携帯料金の低価格化の考え方をまとめた。
作成:Business Insider Japan
2021年は、NTTドコモの「ahamo(アハモ)」に代表される大手キャリアのオンライン専用格安プランの登場もあり、携帯業界は激動の1年だった。
混乱はあったものの、以前に比べてプランの種類や料金の幅、キャリア間の移行のしやすさは多少改善されたところがある。
年末年始で帰省する場合など、家族の料金プラン相談を受ける場合も多い。その時に必要な6つのポイントを解説する。
1. キャリアメールは移行後も有料で使える
2021年12月下旬、3キャリアはメールアドレスの持ち運び(解約後の継続利用オプション)サービスを開始した。
撮影:小林優多郎
2021年末に各キャリアが発表したのが「メール持ち運び」のオプションだ。
これはNTTドコモなら「@docomo.ne.jp」、auなら「@au.com」や「@ezweb.ne.jp」、ソフトバンクなら「@softbank.ne.jp」などを、オンライン専用ブランドや他社に乗り換えた後も使えるというものだ。
ただし、NTTドコモとKDDIの場合は月額330円(税込)、ソフトバンクの場合は年額3300円(税込)の利用料が発生する。また、それぞれ回線解約後31日以内に申し込む必要がある。
スマホを使う人の世代などによっては、すでにキャリアメールを中心としたコミュニケーションが定着しているケースがある。
このように、メールアドレスの変更やLINEなどへの移行が難しい場合には、コストを抑えた回線に契約を変え、「メール持ち運び」でメールアドレスを維持するというのは一考の価値がある。
2. 新しいショートメッセージ「+メッセージ」は一部のMVNOでも使える
+メッセージはNTTドコモ回線のMVNOやKDDI回線の全事業者の契約で利用できる。
撮影:小林優多郎
電話番号だけでメッセージのやり取りができる「SMS(ショートメッセージサービス)」も、比較的上の世代の間では利便性のあるツールだ。
MNP(携帯電話番号ポータビリティー)をすればSMSでのコミュニケーションも継続できる。が、日本でSMSは送信者側に課金が発生する仕組みなので、例えば筆者の場合、親や祖父母とSMSでやり取りするのは躊躇することがある。
テキストや写真、動画を送れる+メッセージ。既読の確認もできる。
撮影:小林優多郎
お互いがiPhoneを使っていれば、「iMessage」で無料でやり取りができるが、OSがバラバラの場合はキャリアの提供する次世代ツール「+メッセージ」の利用を検討してみるのも良い。
+メッセージはSMS同様に電話番号がわかり、お互いにアプリを入れていれば、やり取りできる。テキストであれば最大2730字、写真や動画も100MBまでのものなら無料で送受信できる。
サービス開始当初はNTTドコモ、au、ソフトバンクでのみで利用できたが、2021年12月30日現在では、NTTドコモ回線とKDDI回線のMVNO、およびUQ mobileでも利用できるようになっている。
ただし、ソフトバンク回線のMVNOとLINEMO、ワイモバイルは2022年春まで利用できない。また、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT VI)はいまだに対応していない。
3. 解約に伴う違約金は今後なくなる
NTTドコモが9月27日に出したプレスリリース。
撮影:小林優多郎
「プランを解約すると、違約金が発生するのでは」と思う人もいるだろう。実際、まだ解約するタイミングやプランによっては違約金が発生する。
ただし、NTTドコモは2021年10月1日から旧プランを含む解約金や解約金留保を撤廃。直近で展開している「5Gギガホ/ギガライト」に関してはそもそも期間の縛りがない。
なお、auおよびUQ mobileも2022年3月末で撤廃、ソフトバンクおよびワイモバイルでも1月末で撤廃となる(すでに設定されていないプランもある)。
プランやキャリアによっては、撤廃のタイミングまで待った方が良いが、移行前と移行後のこれから支払う料金の差額と違約金のバランスをみて判断した方がいいだろう。
なお、キャリアによっては自宅の光回線や電気料金と合算してお得になっているケースもある。特に光回線の場合は携帯通信と違って解約金は「ある」状態なので注意したい。
また、解約金ではないが、端末を「割賦購入購入」(分割払いでの購入)している場合は、解約時に残高の支払いも必要になる。
4. オンライン専用プランは、店頭サポートのニーズで判断
オンラン専用プランは便利だが、原則手続きはアプリかWebで行う(写真はpovo 2.0のアプリ)。)
撮影:小林優多郎
2021年に本格始動したNTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo 2.0」、ソフトバンクの「LINEMO」。
いずれもオンラインで契約が完結し、20GBの大容量プランながらも月額3000円前後で済むお得なプランになっている。
一方で、いずれのプランも「店頭サポート」はほぼない。基本はチャットやサポートページを参照しながら、問題を解決したり、手続きする必要がある。
契約者自らオンラインの手続きができる場合や、手続きを手伝える家族がいる場合はこれらのオンライン専用プランは一考の価値ありだ。
一方、家族と離れて暮らしている場合など、店頭でのサポートが必要な場合は以下のプランの検討するべきだろう。
5. 店頭サポートありで、価格を下げられるプランは?
生活圏にある実店舗を利用する機会があるかどうかも、キャリアを選ぶ重要な指標となる。
撮影:小林優多郎
月並みではあるがKDDIなら「UQ mobile」、ソフトバンクなら「ワイモバイル」がおすすめだ。
UQ mobileなら月額1628円〜、ワイモバイルなら月額2178円〜で月間3GB・30秒ごとに22円の従量制通話が利用できる(それぞれ税込)。ショップも多数あり、ほとんどの店舗ではメインであるau/ソフトバンクの店舗でも取り扱われている。
NTTドコモ回線を使いたい場合は、「ドコモのエコノミーMVNO」である「OCN モバイル ONE」と「トーンモバイル for docomo」に注目だ。
OCN モバイル ONEならNTTコミュニケーションズ、トーンモバイルならフリービットがそれぞれ契約先になるため、UQ mobileやワイモバイルと違って「サブプラン」ではない。
ただし、この2社のプランは全国のドコモショップで取り扱われるため、プランの相談や店頭での手続きが可能だ。
OCN モバイル ONEは月間550MBで月額550円〜、トーンモバイルは月額1100円で動画視聴以外データ使い放題(速度は比較的低速)+30秒ごとに11円の従量制通話が利用できる。
6. ゼロ円運用も可能な楽天モバイルを選ぶには
あまりデータを使わない人で、通信エリアなどの条件がある程度あうのであれば、楽天モバイルも検討しよう。
撮影:小林優多郎
最後に、第4のキャリア「楽天モバイル」のプラン「Rakuten UN-LIMIT VI」にも触れておきたい。
Rakuten UN-LIMIT VIは、月間1GBまでなら0円、3GBで1078円、20GBまで2178円、20GB以降は3278円で利用できる段階制プランだ。
ほとんどデータを使わないという人なら、0円+通話料など程度で済むお得さがある。
ただし、上記のデータ容量はあくまで楽天回線エリア内の話であるため、一部のパートナーエリア(KDDI回線のローミング)は5GBまでで制限がかかる。
都内など、場所によってはローミングを終了しているエリアもある(=電波をつかめなければ圏外になる)ため、生活圏内がきちんとエリア化されているかは確認が必要だ。
緊急地震速報なども含めフル機能が使える端末も限られているため、あまり万人にオススメとは言えないが、端末やエリアが問題ないのであれば、検討してみてもいいだろう。
(文、撮影・小林優多郎)