アメリカは2030年までに右翼独裁者に支配される可能性がある —— "暴力的紛争の研究者"が警鐘

議事堂

Brent Stirton/Getty

  • カナダの政治学者トーマス・ホーマー・ディクソン(Thomas Homer-Dixon)氏は、2030年までにアメリカが右翼独裁者に支配される可能性があると警鐘を鳴らしている。
  • ホーマー・ディクソン氏は、2024年の大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、アメリカの民主主義は崩壊するかもしれないと指摘している。
  • トランプ主義の「ファシストに近い個人崇拝」が「広範囲に及ぶ市民の暴動」につながると同氏は言う。

アメリカは早ければ2030年にも右翼独裁者に支配される可能性があると、カナダの政治学者が警鐘を鳴らしている。

ブリティッシュ・コロンビア州にあるロイヤル・ローズ大学カスケード研究所(Cascade Institute)のファウンディング・ダイレクターで、ウォータールー大学環境学部のユニバーシティ・リサーチ・チェアでもあるトーマス・ホーマー・ディクソン氏は、『The American polity is cracked, and might collapse. Canada must prepare』(アメリカの国体に亀裂、崩壊する可能性も。カナダは備えなければならない)と題した論説をグローブ・アンド・メール紙に寄せた。

自らを「暴力的紛争の研究者」と称するホーマー・ディクソン氏は、アメリカが「ますます統治できない」状態になっているとした上で、この傾向が続くようなら「内戦に陥る」可能性があると警鐘を鳴らした。

同氏は論説の中で、2025年までにアメリカの民主主義が崩壊し、「広範囲に及ぶ市民の暴力を含む極度の政情不安」をもたらすことを暗示する「危険信号」を取り上げた。

ホーマー・ディクソン氏は、トランプ前大統領が政権を取り戻せば、前大統領は「(自身の)正当性の主張と報復の2つだけを目的とするだろう」と予想した。そして、カナダはこれまで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や気候変動といった別の問題に集中していて、トランプ再選によってアメリカからもたらされる「恐ろしい嵐」への「備えができていない」と警告した。

「人々の恐怖や怒りを武器にトランプ氏と、FOXニュースのタッカー・カールソンやジョージア州選出の下院議員マージョリー・テイラー・グリーンといった同氏の信奉者や熱狂的なファンは名高い共和党を攻略し、これを民主主義を破壊するのに申し分のないファシストに近い個人崇拝へと変えた」と同氏は書いている。

その上で、トランプ前大統領はこれから起ころうとしていることに「ただ備えているだけ」のつもりかもしれないが、トランプ主義が「法の支配の軽視と暴力の美化」という点でヨーロッパのファシズムにかなり似てきていると付け加えた。

トランプ前大統領が2024年の大統領選に立候補し、再選されれば、「(トランプ前大統領は)民主主義を破壊する鉄球となり、その過程で政治的、社会的な修羅場が生まれるだろう」とホーマー・ディクソン氏は書いている。同氏は「ターゲットを絞った嫌がらせや解任を通じて、(トランプ前大統領は)自身のやり方に反対する者を、重要な制度を党派に属さず監督し、法の支配に従う官僚や政府当局の職員、実務家らの中から間引くことができるだろう」としている。

「そうすると、トランプ氏のあとには同氏が作り出した混乱に秩序をもたらすべく、より管理の面で有能な支配者にとっての舞台が整うだろう」 とホーマー・ディクソン氏は書いた。

同氏の論説は、スウェーデンの首都ストックホルムに拠点を置くシンクタンク「民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)」の報告書と意見を同じくするものだ。IDEAが2021年11月に公表した『民主主義の世界的状況レポート2021(Global State of Democracy Report 2021)』は、アメリカを「民主主義が後退している国」に分類していた。

[原文:A noted political scientist warned that the US could be under the rule of a right-wing dictator by 2030

(翻訳、編集:山口佳美)

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