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- 陪審員による1週間の審議の結果、エリザベス・ホームズは4つの詐欺関連の罪状で有罪になった。
- 陪審員は他の4つの訴因で彼女を無罪とし、3つの訴因では評決に至らなかった。
- 4カ月にわたる裁判では、投資家、元従業員、そしてセラノスの創業者自身による証言が行われた。
エリザベス・ホームズ(Elizabeth Holmes)は、数カ月に及ぶ詐欺に関する裁判の結果、多数の訴因で有罪判決を受けた。
セラノス(Theranos)の創業者は1月3日、3件の通信詐欺と1件の通信詐欺の共謀で有罪判決を受けた。他の4つの訴因については無罪となり、残りの3つの訴因については陪審員が全員一致で評決に達することができなかった。
ホームズが有罪判決を受けた4つの訴因は、ヘッジファンド・マネージャーのブライアン・グロスマン(Brian Grossman)、デボス家(DeVos family)、クラバスの弁護士のダニエル・モズレー(Daniel Mosley)が行った投資に関連した3件の電信詐欺と、投資家を欺こうとした詐欺共謀の1件だった。
ホームズはセラノス社の検査を受けた患者に関するすべての訴因で無罪だった。
ブラック・ダイアモンド・ベンチャーズの創業者のクリス・ルーカス(Chris Lucas)、ファイナンシャルプランナーのアラン・アイゼンマン(Alan Eisenman)、投資会社ホール・グループの財務担当バイスプレジデントのブライアン・トルバート(Bryan Tolbert)が行った投資に関する電信詐欺の3件では、陪審員の評決は一致しなかった。
これらの評決は、陪審員による7日目の審議で下された。そのわずか数時間前、陪審員たちが3つの訴因で行き詰まっていると告げた時、裁判官は審議を続けるように指示したという。
ホームズは、9件の通信詐欺と2件の通信詐欺共謀の罪で起訴されていた。司法省は、ホームズとセラノスの元社長兼最高執行責任者のラメシュ・バルワニ(Ramesh Balwani)が、セラノスの技術力と財務に関する虚偽の主張を行い、同社の血液検査機器の問題に関する情報を隠して、投資家や医師、患者を欺こうと企てたと主張した。
それぞれの罪には、最高で20年の懲役、25万ドルの罰金、および賠償金の支払いが課される。
この数週間、投資家、患者、医師、そしてセラノスの元従業員が、かつてシリコンバレーのスーパースターであったこの人物を証言台から批判した。
この事件で検察は、11週間にわたって29人の証人を呼んで証言させた。その中には、検査の問題点について警告しても無駄だったという元セラノス社員、今では虚偽だとわかっている主張に丸め込まれたという元投資家や元役員、不正確な検査結果について語った患者などがいた。
弁護側はというと、証人はわずか3人で、しかも最後の証人であるホームズの証言に大きく依存していた。
7日間証言台に立ったホームズは、セラノスに関する情報をバルワニや検査員などに頼っており、彼らがセラノス社に関するよいニュースを報告しても疑う理由がなかったと非難をかわした。
それでも、ホームズはいくつかの重要な告白をしている。
彼女は、ファイザー(Pfizer)、GSK、シェリング・プラウ(Schering-Plough)のロゴを報告書に無断で追加したことを認めたが、その後、各製薬会社からロゴを削除するよう異議を唱えられたりしたことはなかったと述べている。ホームズはまた、セラノスが第三者の検査装置を改造して使用していることを隠していたことを認めたが、改造は企業秘密として保護されるべきと考えたからだと述べている。また、ウォール・ストリート・ジャーナルによるセラノスに関する暴露記事をもみ消そうとしたことも認め、再び企業秘密保護が理由だとした。
また、内部告発者に対する会社としての対応や、ホームズを一躍有名にしたが不正確な情報を含んでいたフォーチュン誌の記事に対するアプローチなど、いくつかの行動についても後悔の念を表明した。
ホームズは19歳でスタンフォード大学を中退し、セラノスを設立した。同社はピーク時に90億ドルの評価を受けており、ホームズは2015年、世界最年少の起業による女性億万長者として有名になった。ヘルスケアにおける革命的な力として歓迎され、投資家や役員には元上院議員、アメリカ国防長官、億万長者のCEOらが名を連ねた。
セラノスの没落も2015年に始まった。ウォール・ストリート・ジャーナルの調査報道により、セラノスは宣伝されているほど多くの検査を行うことができず、独自の装置ではなく第三者が製造した検査装置に大きく依存していることが判明したのだ。同社は2018年に事業を停止した。
セラノス事件は、シリコンバレーの「fake it till you make it(できるまでは、できるフリをしろ)」という文化の最も極端なものであり、従来のデューデリジェンスのプロセスの穴を明らかにし、ホームズが申し子だったガールボスフェミニズムに異議を唱えることになった。
バルワニの裁判は2月に始まる予定だ。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)