韓国の現代自動車はラスベガスで開催中(1月5〜7日)の「CES 2022」で、同社の描くモビリティの「限りなく実現の日が近い」未来予想図を公表した。上画像はコンセプトムービーからのキャプチャ画像。
Hyundai Motor Company
韓国の現代自動車グループが1月4日(現地時間)にラスベガスで発表した、モビリティの「あまりに明確な未来像」に驚きを禁じ得ない。
会場で公開されたコンセプトムービーから読みとれる同社からの一貫したメッセージを、キャプチャ画像をもとに端的に紹介しよう。
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高層ビルの立ち並ぶ都市のマンションに暮らす高齢の女性が、ひとり朝目覚めるところから映像は始まる。
姿鏡の前で身だしなみを整えた女性は(近未来らしく薄い透過型の)スマートフォンを取り出し、孫から届いた「おばあちゃん、もうすぐ会えるね!」のメッセージに微笑みを浮かべる。
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女性はおもむろに画面をフリック、表示された杖(つえ)のアイコンをクリックする。
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すぐさま複数の杖を載せた室内モビリティがやってきて、女性はそのうち1本を手に取り、静かに歩き出す。離れて暮らす孫と会いに出かけるようだ。
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テロップには「プラグ・アンド・ドライブ(Plug & Drive、PnD)」モジュールとの紹介。杖を運んできたモビリティ(上画像は駆動部分、この下に車輪が付いている)は「あらゆるモノに無限のモビリティをもたらす人工知能(AI)搭載の一輪ユニット」をいくつか組み合わせたものと分かる。
杖を頼りに女性が大きなガラス窓の前まで歩くと、ベランダに待機していたカプセル型の「パーソナルモビリティ(Personal Mobility)」が起動する。
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女性が座席に腰を落ちつけると、カプセルは車輪による水平移動でマンションの外壁まで移動、そこに取りつけられたレールを伝って垂直に地上へと降りていく。外壁には他の部屋のものと思われるモビリティもいくつか見える。
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地上に降り立ったカプセルはそのまま四輪の自動運転モビリティとなり、公道を颯爽(さっそう)と駆け抜けていく。
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大通りまでやってきたカプセルは高速移動向けの「マザーシャトル(Mother Shuttle)」とドッキング。
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大通りには複数のマザーシャトルが行き交う。
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歩道側のレーン(上画像の公道に塗装してある部分)は個人向けのモビリティ専用とされ、マザーシャトルとカプセルモビリティが並走する通りもあるようだ。
冒頭の女性はこうやってさまざまなモビリティの助けを借りて、道中に不安を感じることなく孫の住む家を訪ねていくのだろう。
なお、マザーシャトルの走る大通りは、ときに救急用の「ホスピタルモビリティ(Hospital Mobility)」が駆け抜けることもある。
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空からは救急用ドローンも救急の現場に駆けつける。
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ホスピタルモビリティは災害など救急医療が必要となる現場で、駆けつけた他の複数のホスピタルモビリティとドッキングして「パビリオン(Pavilion)」を形成し、拡張可能なモバイル医療施設として機能する。
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高齢者や障がい者の日常支援から被災地での緊急医療まで、このようにモビリティをフル活用した変革の取り組みを、現代自動車グループは「エクスパンディング・ヒューマン・リーチ(人類の射程を拡張する)」と名づけている。
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「高齢化先進国」「災害大国」と言われる日本から、現代自動車が今回示したようなモビリティを柱とするグランドビジョンが出てこないのはなぜなのだろうか。
なお、現代自動車はこのコンセプトムービーに登場するモジュールやそれを組み合わせたプラットフォーム(車台)などの詳細イメージも自社サイト(英語)で公開しているので、ぜひご覧いただきたい。
(文:川村力)