「日程調整」ほど不毛なものはない。村上臣さんに聞く、ビジネスに集中するためのスケジュール管理法

取材風景

LinkedIn 日本代表の村上臣氏(左)と村上氏のエグゼクティブ・アシスタントの金井由香里氏(右上)、日程調整サービスTocalyプロダクトオーナーの吉本安寿氏(右下)にリモートで話を聞いた。

リモートワークが一気に進んだことにより一部の仕事は効率化したが、一方で「オンライン会議が増えた」「仕事のメリハリを付けにくくなった」という声も聞こえる。どうやらビジネスパーソンの時間の使い方は、ここに来て変革の時を迎えているようだ。限られた時間を有効に使い、自分や組織の成長につなげていくには何が大切になるのだろう——?

LinkedIn(リンクトイン)日本代表の村上臣氏とそのエグゼクティブ・アシスタントの金井由香里氏、クラウド日程調整サービスTocaly(トカリー)プロダクトオーナーの吉本安寿氏に聞いた。

リモートワークで会議が急増。1日に12件入ることも……

世界最大級のビジネスSNS、LinkedInの日本代表である村上氏は、緊急事態宣言下に全従業員がリモートワークをするようになり会議の数が急増したと言う。

「これまではオフィスでの雑談などからメンバーの声を拾っていましたが、リモートワークでそれができなくなりました。

こまめなコミュニケーションが取れなくなると、メンバーも不安が募るのでしょう。1on1のリクエストが増え、大小さまざまなミーティングへの参加依頼が急増。1日に12件のミーティングが入ることもありました」(村上氏)

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当時は「休む暇もなく予定を詰め込んでいた」と村上氏は振り返る。

それでも当初は、より多くのリクエストに答えようとしていた村上氏。しかし、無理がたたって数週間で「バーンアウト(燃え尽き症候群)状態」に陥ってしまったと言う。

「リモートワークでは移動が発生しないので、ついつい予定を詰め込みすぎてしまったんです。けれどそれではメンタルが持ちませんでした。頭の切り替えやリフレッシュなしに頑張り続けることはパフォーマンス低下を招くことを身を持って感じましたね。

実際に、とあるレポートでも会議の詰め込みすぎはパフォーマンスが落ちることが報告されています。また僕自身も頭の中を整理して次の仕事へと切り替えるには、少なくとも10分ほどのリフレッシュタイムが必要だと感じます。

人は『今の仕事』から『次の仕事』に移行する時に強いストレスがかかる。その負荷を和らげられるようにタイムマネジメントをすることが、生産性を上げる働き方やウェルビーイングな状態の維持につながるのではないでしょうか」(村上氏)

タイムマネジメントの難易度は、上がり続けている

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金井氏は、村上氏の「片腕」としてさまざまな業務をサポートしている。

2014年より村上氏のエグゼクティブ・アシスタントとして二人三脚で仕事のサポートを行っている金井氏は、村上氏がよりハイパフォーマンスな状態で働けるよう、タイムマネジメントのあり方を模索してきた。現在もリモート中心で業務を行っているが、最近やっと良いバランスをとれるようになったと話す。

「デスクを並べていたころは、表情や声の調子から村上の気分や疲れ具合を察知してスケジュールを調整していたのですが、リモートワークではそれが叶いません。一口にミーティングと言っても、参加者や議題などによって頭の使い方や疲労度は異なりますから、すべて同じように扱うわけにはいかないんです。

そのため、リモート勤務をスタートした当初から、朝と夕方にオンラインで顔を見て話す事をルーティン化しました。ときには無言でつなぎっぱなしの時もありますが、その間にも小さな変化に気付いたり、業務直接に関係がなさそうな事も拾うようにしながら一日の流れを構築しています」(金井氏)

緊急事態宣言が明けた後はリアルな場での打ち合わせなども再開され、現在はオンラインとオフラインの業務が交じるなどさらに調整すべき事柄が増えた。タイムマネジメントの難易度も増していると言えるだろう。

そんな多忙を極める村上氏のスケジュールは、金井氏と相談しながら決定している。

「私としては村上の時間を預かっている立場として、無駄な時間を生みたくないんです。けれど詰め込みすぎも良くない。話し合いを通じてプライオリティをしっかり確認し、バランスをとりながら全体最適を加味してスケジュールを組んでいます。

その時に気をつけているのは、予定の重要さや内容をいかに汲み取ってスケジュールを組んでいくかということ。例えば、重要な予定の前には打ち合わせを入れず準備の時間にあてる、ハードな内容の会議後は長めの休憩時間をとるなどその時々の考慮が必要です」(金井氏)

パズルをはめるように予定を当て込むのではなく、各プロジェクトの目的に向かってどの道を通っていけばゴールを達成できるのかを考えて組んでいくイメージだ。

「結局のところ、人が持ち得る究極のリソースって『時間とお金』なのかなと思います。それを『何に使うか』がものすごく重要。

特に時間に関しては、1日24時間というみんなに平等に流れるものに対して、どう配分しどう使うかは人生の命題でもあります。つい忙しい日々を送っていると時間に追われる感覚になってしまいがちですが、しっかりと自分でコントロールする意識が大切だと思います」(村上氏)

不毛な「日程調整」の労力をなくす

吉本氏

日程調整に関する課題を解決するサービスを展開している、Tocalyプロダクトオーナーの吉本氏。

とはいえビジネスパーソンには多様なタスクや業務があり、自己完結する予定は優先順位を立ててコントロールを行えるが、相手がいる用事はそれが難しい。特に社外の人とのミーティングは日程の擦り合わせがタイムマネジメントの難所となる。

「多くの打ち合わせや会議をするとなると、まずは仮押さえがスケジュール上に大量に入るため、未確定の要素が増えてコントロールが困難になります。予定が確定すると空き時間がごっそり出てくるなんていうこともありますよね」(村上氏)

さらには日程調整のやりとり自体がビジネスパーソンに負荷を課している実態もある。例えば日程調整をメールで行う場合、予定が確定するまでには、日程調整の合意、候補日の選定・確保、候補日の送付、両者による確認……など、複数回の作業ややりとりが必要だ。もしこの工程を簡略化できれば、間違いなく生産性は向上するだろう。

昨今クラウド上でスケジュール管理をしているビジネスパーソンは多いと思うが、そんな人たちの強い味方となりそうなツールがリリースされている。日程調整に関する課題を解決するサービスTocalyだ。

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TocalyはGoogleカレンダーやOutlookカレンダーなどと連携して、空き時間をカレンダーの形式で相手に提示。①候補日時を作成、②URLを相手に送る、③(調整相手が)候補時間から選んで調整完了といったわずか3アクションで日程調整が完了する。

Tocalyサービスページより

Tocalyを提供するTimeTree社の吉本氏は、このサービスの開発過程で、極力シンプルなユーザー体験を設計し誰でもすぐに使えることを目指したと言う。

「日程調整ツールは簡単で直感的に使えるかどうかが重要です。複雑な設定が多かったり使いこなすまでのハードルが高いと逆に生産性を下げてしまいます。

また日程調整には必ず相手がいます。相手側にもできる限り簡単で直感的に理解できるユーザー体験が求められます。これらの点をTocalyでは意識しています。」(吉本氏)

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スプレッドシートやエクセルでセルを選択するように候補時間を選択できる。重要な予定の前後は空けておくなど柔軟に候補を出すことが可能だ。

提供:Tocaly

「いつどんな予定をいれるか」をマネジメントする

手間のかかる日程調整。Tocalyでは自分以外の同僚などの予定も考慮した複数人数の日程調整もできるようになっているため、関係者はスムーズにスケジュールのすり合わせが行える。

さらにZoomやTeamsなど外部ツールとも連携し調整が確定すると自動でビデオ会議のURLを発行して両社に送信してくれる機能もあるなど、日程調整、会議設定にまつわるかなりの作業を効率化できるツールだ。

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Tocalyでは作成したURLに常に最新状態が反映されるため、複数の日程調整が同時に走ったとしてもダブルブッキングの心配がない。

提供:Tocaly

「私たちはTocalyによって日程調整で発生する摩擦を徹底的になくしていきたいと考えています。業界に関わらず世の中の多くの仕事で日程調整は発生し、そこに費やされるエネルギーや時間は社会の損失です。

これらにまつわる課題を解決できると社会全体の生産性が上がり、生み出す価値も増やすことができると信じています」(吉本氏)


いつ、どこに、どんな予定を入れるのかは日々の重要な意思決定の一つ。その分、労力もかかります。それがTocalyで手軽にできるようになるのはいいですね。空いた時間でリフレッシュしたり、他の目的のために時間を使ったりできれば日々がより充実しそうです。

一方で、予定を詰め込むことも容易になるので使い方には注意が必要かもしれません。テクノロジーには必ず光と闇がある。まずは自分自身のことをよく理解して、どんなタイムマネジメントをしていくべきなのかをそれぞれが一度じっくり考えることをおすすめします」(村上氏)

ハイパフォーマンスな仕事をしてプライベートも充実させていくには、仕事だけではなく食事や運動、そして睡眠の時間も大切だ。長い目でみた自己管理ができるよう、できることはデジタルサービスに頼ってみるのがこれからのかしこい働き方かもしれない。


Tocalyについて、詳しくはこちら。

村上臣(むらかみ・しん)
大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)がある。

金井由香里(かない・ゆかり)
カナダNB州の大学を卒業後、大手商業施設のコンシェルジュ、東証一部上場企業監査役の秘書などを務めた後、2014年10月より村上氏の役員秘書としてヤフーに入社。2018年3月よりLinkedInエグゼクティブ・アシスタント。村上氏の「片腕」としてさまざまなステークホルダーの意思と意図を汲み取るプロフェッショナルとして活躍中。

吉本安寿(よしもと・やすとし)
Tocaly プロダクトオーナー / TimeTree, Inc. プロダクトマネージャー兼マーケティング責任者。新卒でヤフージャパンへ入社して新規広告プロダクト企画や広告商品企画業務に従事した後、2013年にカカオジャパンに出向しサービス企画業務を担当。2015年にJUBILEE WORKS(現 TimeTree, Inc.)に入社し、TimeTreeのプロダクトマネジメントとマーケティングを担当。
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