ハイテク工場で昆虫からタンパク質を生産…環境に優しい飼料として

プロティックスの施設では、アメリカミズアブ(左)を養殖し、タンパク質ミールを生産している。

プロティックスの施設では、アメリカミズアブ(左)を養殖し、タンパク質ミールを生産している。

Protix/Emilie Filou

  • Insiderは、持続可能なタンパク質源としてアブの幼虫を「生産」して「収穫」する世界最大の養殖場を訪ねた。
  • 昆虫タンパク質は、大豆や魚粉の代わりに動物の飼料として使用されることが多くなっている。
  • オランダのプロティックス社は、ハイテク農場でこの事業を行っており、今後は10カ所に拡大する予定だという。

「昆虫農場」というと、畑や納屋、泥だらけの長靴を想像するかもしれない。工業団地の倉庫にある完全自動化されたハイテク施設だとはとても思わないだろう。

オランダ南部のベルヘン・オプ・ゾームで2019年から稼働しているこの施設は、「プロティックス(Protix)」という名称を掲げていることで、ようやく何をしている施設なのか知ることができる。

広さ1.5ヘクタールのこの倉庫は、世界最大のアメリカミズアブの養殖場だ。食用昆虫やこのような施設に対する需要は増加傾向にある。

現在、プロティックスの生産物の約80%はペットフードに使用され、残りは魚や家禽などの飼料として使用されている。

だがこの状況は、魚の養殖業者や家禽や豚の畜産農家が魚粉や大豆に代わるタンパク源を求めているため、変わろうとしている。EUは2021年、家禽や豚の飼料として昆虫タンパク質を使用することを承認し、さらにイエコオロギ、イエローミールワーム、トノサマバッタを食用にすることを許可した。

プロティックスは、ヨーロッパと北米での事業拡大に伴い、さらに10拠点に展開する準備を進めている。

同社の施設は、10年にわたる研究開発の集大成であり、昆虫タンパク質が食品の環境フットプリントを改善できるという確信のもとに作られた。

この施設では過去2年間にわたって毎年1万5000トンの幼虫を生産しており、これは広さ1ヘクタールあたり年間1万トンのタンパク質に相当する。一方、大豆は1ヘクタールあたり年間1トンのタンパク質しか生産できない。

これは自然の産物であるとともに、養殖でもある。自然はバイオ変換のチャンピオンといえるアメリカミズアブを与えてくれた。そしてプロティックスはその養殖技術を10年かけて完成させた。

施設に入ってまず気付く、そしてここが昆虫農場だとわかる唯一の証拠は、昆虫の餌から出るハムスターのケージのような匂いだ。

施設は、プロセスの各ステージに対応するためにいくつかのセクションに分かれているが、その中で最も重要なのが垂直飼育場だ。

そこには、高さ約4メートル、奥行き約16メートルにわたって箱が並ぶ。箱の温度は暖かな摂氏30度に保たれ、その中で幼虫が養殖されている。

高さ約4メートル、奥行き約16メートルにわたって並ぶ箱の中で、幼虫が養殖されている。

高さ約4メートル、奥行き約16メートルにわたって並ぶ箱の中で、幼虫が養殖されている。

Emilie Filou

このような専用倉庫が3カ所あり、給餌と収穫を行う中央コンベアシステムの周りに配置されている。技術者は中央のコンソールからすべての工程をコントロールする。ここでは、箱の形状から企業秘密のソフトウェアに至るまで、すべてが特注で作られたものだ。

プロティックスの創業者兼CEOのキース・アーツ(Kees Aarts)は施設を案内しながら、「既製品ではだめなんだ」と筆者に言った。

中央コンソール。

中央コンソール。

Emilie Filou

幼虫の餌は、フライドポテト工場から出るジャガイモの廃棄物や穀物の廃棄物など、食品・飲料産業から出る副産物だ。

餌の材料は毎日運ばれてきて、工場奥のサイロに保管される。その後、巨大なミキサーにかけられ、特殊なピューレにされる。

餌をピューレにするための巨大なミキサー。

餌をピューレにするための巨大なミキサー。

Emilie Filou

幼虫には2、3日おきに餌が与えられる。スタッカークレーンで持ち上げられた箱がベルトコンベアで運ばれて餌が投入され、専用倉庫に戻される。

ベルトコンベアに載せられた箱に、餌が充填される。

ベルトコンベアに載せられた箱に、餌が充填される。

Courtesy of Protix

幼虫はわずか6日から8日で「収穫」される。幼虫の1%は、訪問者が立ち入れない特別の部屋で成虫になるまで育てられ、繁殖に使われる。

幼虫。

幼虫。

Emilie Filou

収穫の際には、箱が中央コンベアシステムに戻され、中身が巨大なふるいに入れられて食べ残しの餌が取り除かれ、残った幼虫が洗浄される。

その後、幼虫は隣の部屋に運ばれて処理される。遠心分離機でタンパク質ミールとオイルに分離され、それがプロティックスの主要製品になる。その後、タンパク質は大きな袋に、オイルはタンクに入れられる。

社員が手にしているのが、タンパク質ミール。

社員が手にしているのが、タンパク質ミール。

Emilie Filou

「種苗会社、農家、製粉会社、包装会社が一緒になってタンパク質ミールを生産しているようなものだ」とアーツCEOは述べた。

[原文:Look inside this high-tech farm growing fly larvae for protein, as demand for insects surges across the world

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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