CESに合わせて動きだした2022年の「フードテック」…キノコテック、代替肉フライドチキン、自動宅配ロボも

米ラスベガスで先週、リアル開催された世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2022」。会場でソニーのEV参入が発表されたことが記憶に新しいが、CES 2022では初めて「フードテック」が新カテゴリーとして誕生した。

フードテックブースに出展した企業だけでなく、同時期に発表をしている企業を含めて、2022年初のフードテック業界の動きをまとめてみた。

「Impossible Burger」などに続く「代替プロテイン」が登場

代替タンパク食品スタートアップ米インポッシブルフーズ(Impossible Foods)。CES 2019には代替牛肉の「Impossible Burger 2.0」、CES 2020では代替豚肉の「Impossible Pork」を発表して話題となった。

CES 2022のフードテック食品関連の出展では「エンドウ豆と米のタンパク質をキノコを使って発酵させた代替肉」や、植物性ミルクを使った「代替チーズ」などが出展された。

「Impossible Pork」

米Impossible FoodsがCES 2020で発表した「Impossible Pork」を使ったハンバーガー。

撮影:安蔵靖志

“Mushroom Tech(キノコテック)”をうたう米MycoTechnologyは、エンドウ豆と米のタンパク質をシイタケの根(菌糸体)で発酵させたものを主成分とした代替肉を出展した。同社は元々、業務用食材を手がけており、コーシャ(ユダヤ教の食事規定)、非遺伝子組み換え、ハラール認証(イスラム教の食事規定)を取得している。

CES2022に合わせて、大豆、人工香料、着色料、保存料を一切使用しない消費者向けブランド「Goodside Foods」を立ち上げ、常温保存できる代替肉「Meatless Crumbles(ミートレスクランブル)」を発売した。

「Goodside Foods」ブランドで展開する「Meatless Crumbles(ミートレスクランブル)」。

米MycoTechnologyが「Goodside Foods」ブランドで展開する「Meatless Crumbles(ミートレスクランブル)」。

出展:MycoTechnology

ミートレスクランブルの原材料は、エンドウ豆と米を椎茸菌糸で発酵させたプロテイン、エンドウ豆の食物繊維で、水を加えるだけでひき肉や冷蔵の植物性タンパク質の代わりに使える。8.95(約265mL)オンス袋(11食分)は10.99ドルで、1食分(約24mL)に17gのタンパク質と90kcalの植物性食品を含んでいるとのことだ。

食の多様性が広がる米国において、「大豆を一切使用しない」とうたうのが興味深いところだ。

日本では2020年ごろからようやく「大豆ミート」を前面に打ち出した代替肉商品が市場に出回るようになってきたが、欧米では「Soy Free(大豆不使用)」の流れが進み始めている。

世界的に見ると、大豆は遺伝子組み換えが多く、アレルギーに対する不安や、大豆イソフラボンの過剰摂取に対する懸念などを背景に、大豆を避けようとする流れは以前からある。そこで、大豆の代わりにエンドウ豆が注目されている。

KFCも「代替フライドチキン」を期間限定で開始

CES開幕日の1月5日、米ケンタッキーフライドチキン(KFC)は植物性代替肉を製造販売する米Beyond Meatが開発した「Beyond Fried Chicken」を、1月10日から全米で発売すると発表した。CESとは直接関連しないが、米アトランタなどでのテスト販売を重ねてきた上での全国販売は、米外食業界における明確な流行を感じる出来事だ。

「Beyond Fried Chicken」

米ケンタッキーフライドチキンが1月10日から、期間限定ながら全米で発売した「Beyond Fried Chicken」。

出典:KFC

ヴィーガンチーズをうたう韓国Yangyooの代替チーズ

CES 2022に話を戻そう。ほかにもフードテック分野の食品では、韓国Yangyooは米国の子会社である「Armored Fresh」がヴィーガンチーズを出展した。

Armored Freshのヴィーガンチーズ

韓国Yangyooの米子会社「Armored Fresh」が開発したヴィーガンチーズ。

出典:Armored Fresh

同社のプレスリリースによると、植物性タンパク質の乳をナチュラルチーズと同じように発酵させることで、通常の牛乳ベースのチーズと同等の風味と味わいを実現したとのこと。通常のチーズと同様のタンパク質が最大で20%含まれているという。

ラインアップは形がスライス、シュレッド、キューブ、カマンベール、ブッラータの6種類で、味はプレーン、ストロベリー、ブルーベリー、シトロン、ガーリックハーブ、ハラペーニョ、インジョルミ、塩キャラメル&チョコの8種類をそろえる。

2022年初頭には自社ブランドの「Young Man dduk」と「Spaceman Pizza」でヴィーガンチーズを使用した製品を発売すると発表している。

CESらしい「AIバーテンダー」なども登場

テクノロジーの祭典とはいえ、食品が発表・展示されたのは米Impossible Foodsの「Impossible Burger 2.0」からの新たな流れだったが、CESの“華”といえばやはりAI(人工知能)やロボット、ガジェットなどのテクノロジーだろう。フードテック関連でも注目の製品やサービスが登場した。

1つめは、イスラエルのGKIグループが開発した「Cecilia.ai」。音声認識とコミュニケーションが可能な対話型会話AIを搭載するインタラクティブバーテンダーだ。

05_cecilia

イスラエルのGKIグループが開発した「Cecilia.ai」。

出典:Cecilia.aiの公式Webサイトより

3Dアニメーションのバーテンダーが、客と会話をしながら1時間に最高約120杯の飲み物を作れるという。ホテルや空港、VIPラウンジ、スタジアム、カジノ、クルーズ船、オフィス、CESをはじめとする大規模イベントで1日に何千杯ものカクテルを提供できる。

出典:GKIグループ公式YouTubeページより

会話の台本やバーテンダーのデザイン、カクテルメニューは顧客のニーズに合わせてカスタマイズが可能だという。

自動的にカクテルを作ってくれるロボットは、以前からCESと同時期に開催される、併催イベント「FoodTech Live!」などでは出展されていた。しかし、Cecilia.aiのように3Dキャラクター自身が接客するというのは、筆者が知る限りこれまでになかった。日本での展開も期待したいところだ。

食品ロスを防ぐフードストッカー

UveraHousehold

サウジアラビアのUveraが開発したフードストッカー。

出典:Uvera

サウジアラビアのスタートアップUveraは、食品ロスを減らすフードストッカーを出展した。食品をプラスチックケースに入れて本体内にセットし、ボタンを押すとUV-C(紫外線)ライトを約30秒照射し、ケース内を殺菌するとともに、ケース内の空気を吸引することで酸化も防ぐという。

2022年3月にKickstarterでクラウドファンディングを実施する予定とのことだ。どこまで実効性があるかなど未確認の部分は多いが、こういうテック商品がフードテックとして出てくるのがいかにも「CESっぽい」。

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