大退職に至る理由は、仕事を減らしたいという思いだけではない。
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- ドーリン・フォードは、ほとんどの仕事が無意味で屈辱的だと述べた。
- 彼女は、2020年以降、140万人のユーザーを増やしたレディットの「アンチワーク」スレッドのモデレーターだ。
- 「とにかく何の意味もないポジションが山ほどある」とフォードはファイナンシャル・タイムズに語った。
アメリカ最大の掲示板サイト、レディット(Reddit)で話題となった「アンチワーク(antiwork)」スレッドのモデレーターは、ほとんどの仕事が「卑劣で屈辱的で、搾取的」だったために辞めることになったと述べた。
「r/antiwork」のメンバーは約160万人で、「9時から5時」という従来の考え方や搾取的な雇用主を否定する「アンチワーク」運動の一部を成している。
「何の意味もないポジション、不要なポジションが多すぎると思う」とチャンネルのモデレーター、ドーリン・フォード(Doreen Ford)さんはファイナンシャル・タイムズに語った。
「意味もなく書類の回しているだけだ。誰のためにもならない」と述べた。
フォードさん(30歳)は10年間、小売業で働いていた。だが、犬が好きという情熱に従うべきという祖母のアドバイスを受けて2017年に退職した。
現在は、パートで犬の散歩の代行をしており、最高に幸せ、とファイナンシャル・タイムズに語った。
「(働くことは)良く言えば無意味だった」とフォードさん。「最悪の場合は、品位を傷つける、屈辱的で搾取的なものだった」
加えて、「我々のほとんどは普通の人。嫌な仕事をしている。それが、この運動に参加する理由だ」という。
このスレッド 、正式名称は「アンチワーク:働かないことは、お金持ちだけの特権ではない!(Antiwork: Unemployment for all, not just the rich!)」、が立ったのは、2013年のことだ。
数年前まで数千人程度だったメンバーが、パンデミックが起こったあとで飛躍的に増え、働くこととその価値の再評価、そして「大退職(Great Resignation)」につながった。
スレッドには現在、1日平均1500件の投稿があり、メンバー、通称アイドラー(Idler)はそこで嫌な上司の話を共有し、互いに辞めようと励まし合っており、中国の躺平(タンピン)運動にも似ている。
Insiderのヒラリー・ホフォワー(Hillary Hoffower)は、Z世代とミレニアル世代の労働者が先頭に立って嫌な仕事を辞め、よりやりがいのある仕事へと転職しており、一方でその上の世代の多くは、自営業か早期退職への切り替えを選択していると報じた。
2021年11月、アメリカでは退職者が450万人を記録した。
大退職に至る理由は、仕事を減らしたいという思いだけではない。
アメリカの大退職の中心地、ケンタッキー州の人々は、オミクロン株、保育施設の空き不足、社会的不平等といったことが退職の理由だと、Insiderに語っている。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)