ビバリーヒルズの丘の上に広がる地所「エンチャンテッド・ヒル」は、ロサンゼルス中心部を一望できる。
Simon Berlin, Hilton & Hyland
- グーグルで最高経営責任者(CEO)や会長を歴任したエリック・シュミットが、ビバリーヒルズの地所を購入した。かつてマイクロソフトの共同創業者のポール・アレンが所有していた土地だ。
- 総面積120エーカー(約48.6ヘクタール)のこの地所は、2018年に1億5000万ドル(当時のレートで約165億円。以下同じ)で売りに出されていた。最終的にシュミットが支払った金額は6500万ドル(約75億円)だったと報じられている。
- 報道によると、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが購入する計画もあったが、この話はご破算になったという。以下では、このロサンゼルスの広大な地所について、写真とともに紹介する。
1975年にビル・ゲイツとともにマイクロソフトを創業したポール・アレンが、エンチャンテッド・ヒル(Enchanted Hill)と呼ばれる地所を購入したのは1997年のことだ。2000万ドル(当時のレートで約24億円。以下同じ)でこの土地を手に入れたアレンは、もともとここにあった家を取り壊して更地にした。ここに個人用の邸宅を建てる計画もあった
マイクロソフトの共同創業者、ポール・アレン。
Steve Dykes / Getty Images
Source: Los Angeles Times
この地所があるビバリーヒルズは、ロサンゼルスでも屈指の高級住宅地だ。外国人のビリオネアに加え、ジェニファー・アニストン、ブラッド・ピット、シェール、エレン・デジェネレスなどのセレブリティが自宅を構えてきたことで知られる。ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』(原題「Beverly Hills 90210」、90210は郵便番号)でも有名になった。ビバリーヒルズ地域では、現在売りに出されている住宅価格の中央値は650万ドル(約7億4300万円)に上っている
Visions of America LLC / Getty Images
Source: Realtor.com
バラエティ誌によると、1920年代のエンチャンテッド・ヒルは、著名な映画脚本家フランシス・マリオンと、その夫でサイレント映画のスターだったフレッド・トムソンによって所有されていた。また、ロサンゼルス・タイムスによると、「魅惑の丘」を意味するこの名前は、当時近くに住んでいた女優グレタ・ガルボにちなんでつけられたものだという。この地所の売買を担当した不動産会社の動画は、1920年代の様子を伝えている
Source: Variety, Los Angeles Times
現在のエンチャンテッド・ヒルは、5つの区画で構成されている。そのひとつであるメインの邸宅用土地は、4エーカー(約1.6ヘクタール)という広大なものだ。物件情報によれば、個人の邸宅に加え、複数のゲストハウス、スポーツ用のアリーナ、スパおよびウェルネスセンター、エンターテインメント施設、乗馬クラブ、ワイナリーを設けることが可能な場所があるという
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Source: Hilton & Hyland
小高い丘の上にあるエンチャンテッド・ヒルからは、12マイル(約19キロ)先のロサンゼルスの市街地のほか、周囲の海や山々、ベネディクト・キャニオンが一望できる
丘の上に広がるこの地所は、ロサンゼルス市街地を眺めるのに絶好の場所だ。
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Source: Hilton & Hyland
邸宅を建てるという計画は実現しなかったものの、アレンは、この地所を所有しているあいだに電気やガス、水道を引き、1マイル(約1.6キロ)の私道を新たに建設し、ゲートつきの門を2基設けた。現状では、ビバリーヒルズ内のビバリークレスト地区にある未開発の土地としては、最大級のもののひとつだ
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Source: Los Angeles Times
アレンが2018年10月に亡くなったのち、この地所は売りに出された。ロサンゼルス・タイムスによれば、当初の売値は1億5000万ドル(約165億円)だったという
Simon Berlin, Hilton & Hyland
Source: Los Angeles Times
この地所は、アレンの死後に、遺産を管理する財団によって売りに出された莫大な資産のひとつだ。アレンのほかの資産としては、旧ソ連の戦闘機MiG-29や、全長414フィート(約126メートル)の巨大なヨット「オクトパス号」などが有名だ
アレンが所有していたヨット「オクトパス号」。
Ki Price/Reuters
2020年2月にはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスがこの地所を9000万ドル(約96億円)で買う見込みだと報じた
Alex Wong/Getty Images
Source: The Wall Street Journal
当時この計画は、ベゾスによるワーナー・エステート(Warner Estate)購入に続くものだと伝えられた。ベゾスは2020年にこの広大な地所を、カリフォルニア州で売買された個人向け邸宅としては史上最高値となる1億6500万ドル(約176億円)で手に入れていた。ワーナー・エステートはエンチャンテッド・ヒルのすぐ先にあり、2つの地所は2マイル(約3.2キロ)も離れていない
ワーナー・エステート。
Los Angeles County/Pictometry
Source: Business Insider
しかし、翌月の2020年3月には、エンチャンテッド・ヒルの売買交渉からベゾスが手を引いたとロサンゼルス・タイムスが報じた。その後、この物件は1億1000万ドル(約117億5000万円)で再び売りに出され、不動産会社ヒルトン&ハイランドがエージェントを務めた
Simon Berlin
Source: Los Angeles Times, Hilton & Hyland
2022年1月に入り、グーグルの元CEOエリック・シュミットが、当初の売値よりもかなり安い6500万ドル(約75億円)でこの地所を手に入れたとWSJが報じた。売買契約は2021年9月に結ばれたという
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Source: The Wall Street Journal
2001年から2011年までグーグルのCEOを、その後は会長を務めたシュミットは、ほかにもカリフォルニア州に2つ、数千万ドルの不動産を所有している。WSJによると、2021年にベルエアの邸宅を6150万ドル(約67億5000万円)で、2020年にはメンドシノの地所を3080万ドル(約32億9000万円)で購入したという
グーグルの元CEOエリック・シュミット。
Alex Wong/Getty Images
Source: The Wall Street Journal
(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)