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- この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「保険会社によるIT支出予測(Insurance Technology Spend Forecast)」のプレビュー版。
新型コロナウイルスの流行により、世界中の保険会社が予想外かつ多額の支払いを求められ、収益の減少に悩まされてきた。にも関わらず、主要市場の損害保険会社や生命保険会社は今後数年間、技術投資を増やし、デジタルトランスフォーメーションを加速させていくだろう。
アメリカ、イギリス、カナダの「損害保険会社」と「生命保険会社」によるIT投資の変遷と今後の予想についての概要を以下に記す。
※この記事は、2021年3月12日に公開した記事を一部編集して再掲載しています
アメリカ
アメリカの「損害保険会社」と「生命保険会社」による2020年のIT支出の伸び率予測は、それぞれ9.6ポイント及び10ポイント減少した。アメリカの保険会社は、英国やカナダの同業者と比較して、デジタル化のための支出を大きく削減している。これまでの投資額が多かったことと、2020年に損失を出したことが要因だ。
イギリス
イギリスの「生命保険会社」は2019年にIT投資を前年比で11.4%増やしていた(同時期の「損害保険会社」によるIT投資の伸び率の約2倍)。このように「生命保険会社」はコロナ前の投資額が多かった分、パンデミックの影響により「損害保険会社」よりも大きくIT支出を減らした。
コロナ禍で多額の支払いを求められた「生命保険会社」はIT支出の伸び率予測を、2019年第1四半期から2020年第4四半期にかけて、8.3%ポイント減少させた。同期間に4.7%ポイント減らした「損害保険会社」よりも大きな落ち込みとなっている。
カナダ
2019年第1四半期から2020年第4四半期にかけて、カナダの「損害保険会社」のIT支出の伸び率予測は急落し、8.3ポイント減となった。だが、同期間の「生命保険会社」のIT支出の伸び率予測を見ると、世界的な傾向に反し、2019年のマイナス4.9%から2020年にはプラス3.8%へと7.0ポイントも増加している。「生命保険会社」は数年前に増やしていたIT投資を2019年以降、計画的に抑制していたが、パンデミック下の新常態に適応するため方針を転換。2020年には再び増加させたことが要因と考えられる。
保険会社のIT支出の今後
アメリカ、イギリス、カナダの損害保険会社による、IT支出の伸び率の推移予測。
Insider Intelligence
6兆3千億ドル(約675兆円)規模の世界の保険業界はデジタル化を加速させている。アメリカ、イギリス、カナダの大手保険会社は分野を問わず、デジタルトランスフォーメーションを推進するためIT支出を増やしている。
これらの企業はデジタル技術を活用することで、顧客の期待に応えコストを削減し、未加入者や無保険期間を減らそうとしている。また「便利なデジタル・サービスを求める顧客の期待」や「気候変動などの新たなリスク」など、さまざまな内的・外的要因により、保険会社は2024年までの間IT支出を増加させざるを得なくなる。
インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「保険会社によるIT支出予測」では、「デジタル化推進の必要性」と「パンデミックによる景気後退」という相反するプレッシャーのなか、アメリカ、イギリス、カナダの「損害保険会社」と「生命保険会社」が2020年から2024年にかけてIT投資をどう変化させていくのかを予測する。
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(翻訳・野澤朋代)