スタン・ワウリンカ。
Frank Augstein/AP
- プロテニス選手のスタン・ワウリンカは、メタバーストーナメントに出場することができる「デジタルテニス選手」のNFTコレクションを5555個販売する。
- NFTの所有者は、選手を訓練してステータスを上げることで、その価値をいっそう高めることができる。
- NFTの世界には、著名なアスリートが参加しており、4大大会で3度の優勝を誇るワウリンカもそれに加わることになった。
メタバース史上初のテニストーナメントへ出場したいのなら、4大大会で3度の優勝を誇るスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)が販売するNFT(非代替性トークン)が、そのチケットになるかもしれない。
公式サイトによると、36歳のスイス人テニス選手、ワウリンカは、5555個の「デジタルテニス選手」のNFTコレクションを販売する「ボールマンプロジェクト」を立ち上げ、NFTの世界に足を踏み入れた。このプロジェクトでは、購入者は仮想のテニストーナメントでプレーする機会を得て、イーサリアムで賞金を獲得する可能性もある。
ホワイトペーパーによると「NFTオープンシリーズは、NFTとテニスファンを結びつける最大の仮想テニストーナメントになることを目指している」という。最初の販売は2022年2月7日で、その後も順次販売される。
ワウリンカは2022年1月12日、ズーム(Zoom)を通じてこのプロジェクトを発表し、NFTは「大盛況」であり、彼自身のコレクションでコミュニティを築きたいと述べたとブルームバーグが報じている。彼の言うとおり、NFTは2021年から人気が上昇し、同年の取引額は250億ドル(約2兆9000億円)を超えた。NFTとは、ブロックチェーン技術と結びついたデジタルの収集品やアートなどのことをいう。
コミュニティを構築するために、ワウリンカはコミュニケーションツールのディスコード(Discord)で、このプロジェクトに関するサーバーを開設し、1500人以上の参加者に向けて頻繁にメッセージを投稿して交流を続けている。
ワウリンカのNFTコレクション、すなわちデジタルのテニス選手は、テクニック、コンディショニング、パワー、マインドセット、戦術、運などの特徴がランダムに割り当てられ、それによって「ボールマン・メタ・スタジアム(Ballman Meta Stadium)」という仮想アリーナで開催される仮想トーナメントでのパフォーマンスが左右される。
プレイヤーは、日々のトレーニング、週ごとのトーナメント、スーパーシリーズ、ファイナル4など、さまざまなレベルを経て成長していく。賞金は、イーサリウム(ETH)やブースター(BOO)といった仮想通貨などで支払われる。「(より良いテニスギアやシューズ、トレーニング、休養、あるいはコーチによって)本物のテニス選手と同じように、スキルを高めていける」と、公式サイトに記載されている。選手がトレーニングして勝つほど、NFTの価値は高まる。
ワウリンカは、ツイッター(Twitter)やディスコードのプロフィール写真として、有名なNFTアートの「Bored Ape(退屈した猿)」を掲載している。NFTの世界に参入し、独自のアートを提供しているプロスポーツ選手には、NBAのスーパースター、ステフィン・カリー(Steph Curry)やNFLの伝説的選手、トム・ブレイディ(Tom Brady)などがおり、ワウリンカも彼らに続くことになった。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)