ハリケーン・アイダの被害(2021年9月4日、ルイジアナ州グランドアイル)。
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- アメリカでは2021年、気候災害で688人が死亡、1450億ドル(約16兆5000億円)以上の被害が出たことが政府の新たな報告書で分かった。
- 2021年はアメリカ史上4番目に気温の高い1年だった。2020年12月もこれまでで一番暖かい12月だった。
- バイデン政権は経済的、物的リスクの軽減を急ぐ必要に迫られている。
2021年、気候危機はアメリカに甚大な被害をもたらし、多くの人命が失われ、経済的な被害も出た。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は1月10日に年次報告書の概要を公表し、火災、洪水、ハリケーン、その他の自然災害によってアメリカでは688人が死亡、1450億ドル以上の被害が出たと明らかにした。2021年には10億ドル以上の被害を出した自然災害が20件発生していて、中でも猛烈な嵐が甚大な被害をもたらしたという。
「過去5年の被害額は7420億ドルを超えていて、異常気象や気候現象にさらされるリスクとアメリカの脆弱性が高まっていることを反映している」と報告書は指摘した。
また、2021年がアメリカ史上4番目に気温の高い1年だったこと、2020年12月がこれまでで一番暖かい12月だったことも分かった。全体的に見ると、2021年は気候災害による被害額がこれまでで3番目に多い1年だったという。
これは気候危機に関する最新の"悪いニュース"の1つに過ぎない。データは一貫して、気候危機が悪化し続けていることを示している。ワシントン・ポストの分析では、アメリカ人の40%が2021年に気候災害の被害に遭っていて、このうち80%以上は温暖化を反映した熱波を経験していることが分かった。国連は2021年8月、こうした危機に国が対応したとしても、地球温暖化の影響の一部は「数百年から数千年間は取り戻せない」だろうと指摘している。
状況が悪化し続ける中、アメリカのバイデン大統領は対策を講じてきた。2021年10月には、気候危機がアメリカ人の預貯金や退職基金に与えるリスクを軽減することにフォーカスした報告書を公表した。クリーンエネルギーへの移行は、有形資産がその価値を失うことにつながる可能性があるからだ。
また、政権の看板政策の1つである「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」計画には、5550億ドルの気候変動向けの支出を盛り込んでいる。
[原文:Climate disasters killed 688 people and cost the US more than $145 billion last year]
(翻訳、編集:山口佳美)