メタのCEO、マーク・ザッカーバーグ。
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- フェイスブックなどのSNSを利用できるのは、13歳以上だ。
- この年齢基準は、子どもの行動追跡やデータ収集を禁止する1990年代の法律にさかのぼる。
- 専門家は「恣意的な年齢基準」だと言い、仮に基準を引き上げても、子どもの安全は確保できないと述べている。
子どもは13歳になると、フェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、インスタグラム(Instagram)、レディット(Reddit)といったSNSを使えるようになる。
その理由は、1998年にできた法律にそう書かれているからだ。
児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)は、オンラインプラットフォームが広告のターゲティングやトラッキングのために、13歳未満の子どもの個人情報を収集することを防止するのが目的だった。だがその後、16歳未満の儲かる市場に参入しようとする大手テック企業によって、最低年齢の基準として利用されるようになった。
専門家は、この法律が子どものオンラインでの安全を守るための包括的な手段にならなくても、現代にあわせた年齢制限の引き上げを業界が支持すべきだと述べている。
「原始的とも言える広告だった1990年代に比べて、我々は大きく異なるインターネット体験をしている」とスタンフォード研究所「人間中心のAI研究所(Human-Centered AI)」のジェニファー・キング(Jennifer King)はInsiderに語った。彼女は13歳という年齢制限は、「問題がある」とともに「恣意的」なものだと述べた。
規則に関わらず、子どもはインターネットにさらされる
危険なソーシャルメディアのトレンド。
Shayanne Gal/Insider
フェイスブックなど、多くのプラットフォームは、アプリの使用前にユーザーが13歳以上であることを確認する。だが、それだけだ。子どもたちは嘘をつくことで回避することができ、企業が法的責任を負うことはない。
つまり、世界中の子どもたちが13歳以上を装い、企業は彼らの閲覧などの行動データを自由に集められるということ。
「年齢基準を引き上げる場合、我々は行動ターゲティング広告の禁止を求める」と、コモン・センス・メディア(Common Sense Media)の政策顧問を勤めるアイリーン・リー(Irene Ly)はInsiderに語った。
「子どもが見ているものに最善の注意を払いたいと考えている親にとって、助けになるだろう」
オンラインプラットフォームは、彼らと子どもたちの障壁を最小限にしようとしている。Z世代のホットスポットであるティックトック(TikTok)に集まる若いユーザーをひきつけるために苦労しているのだ。
「特にフェイスブックは、自分たちが若者のためのプラットフォームではないことに気づいており、存亡の危機を迎えていると言っていいだろう」と、キングは述べた。
元々の法律をつくった一人であるマサチューセッツ州選出のエド・マーキー(Ed Markey)上院議員(民主党)は、COPPAの年齢基準を16歳にしたかったという。彼は「13歳は低すぎるとわかっていたが、それが私ができた最善のことだった」と、2019年にウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。
マーキー議員は、ルイジアナ州選出のビル・カシディー(Bill Cassidy)上院議員(共和党)とともに、子どもをターゲットとした広告と13歳から15歳の子どものデータ収集を禁止するよう、法律の改正を求めている。
「大手テック企業は、子どもの関心事や行動データに貪欲であり、そのような企業は子どもや10代のプライバシーの権利より自分たちの利益を優先することを問題視していない」と、マーキーは2021年5月の声明で述べていた。
だが、デジタルセキュリティや信頼性・安全性のプラットフォームを運営するメディアトラスト(Media Trust)のクリス・オルセン(Chris Olsen)CEOは、仮にCOPPAが改正されても、年齢基準は問題にならないとInsiderに語った。大切なのは、利益を追及する企業が、消費者の利益を最優先することだという。
「基準の年齢や対象者を決めることは、人々がプラットフォームを訪れたときに、そのプラットフォームが彼らに何をしているのか理解することより、それほど重要ではない」とオルソンは述べている。
しかし依然として、子どものネット上の安全性を監視する責任は親にある。
「現代は、より良くしようという多くのプレッシャーがあり、COPPAはその一部だと思う」とオルソンは話した。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)