グーグルのサンダー・ピチャイ(左)とメタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ。
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- 裁判所に提出された文書の編集されていた部分が公開されたことで、フェイスブックとグーグルの密約が明らかになった。
- 両社のCEOが広告主とパブリッシャーに不利益になるような取り引きを承認したと、アメリカ各州の司法機関は主張している。
グーグル(Google)のサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOとメタ(Meta、旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOが、2018年に違法な広告取引を承認していたことが、アメリカの裁判所への提出書類の伏せ字になっていた部分が公開されたことで明らかになった。
2020年にアメリカ各州の司法機関が連名で提出した訴状によると、この取り引きでは、フェイスブックがグーグルのオンライン広告オークションに参加した際に一定の割合で落札することが保証されており、原告側はこれを「違法な価格固定契約」と表現している。
Insiderが2020年4月に報じたように、広告主が広告を買う方法、ウェブサイトが広告スペースを売るために使う技術、そして両者を結びつける取引所を支配しているのがグーグルだ。今回の訴訟では、グーグルがその支配的地位と「排他的戦術」を用いて、オンライン広告の競争性をゆがめたと主張している。
この訴訟内容のほとんどは、グーグルが「ヘッダー入札」を恐れていることに起因しているという。これは、同社にとって「存亡の危機」とも言われる広告オークションの代替手法だ。
ヘッダー入札は、ウェブサイトの広告枠が埋まる仕組みを民主化し、広告収入を最大化する方法として、グーグルと競合する独立系の広告技術プレイヤーたちによって開発された。
訴状によると、グーグルの幹部は、2017年頃にフェイスブックがこの領域に進出してきたことを憂慮し、競争が激化するリスクを冒すよりも、ライバルの巨大テック企業をパートナーとして迎え入れようとしたという。フェイスブックのシェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg)COOがザッカーバーグら幹部に送ったメールが引用されており、その中で彼女は提携の可能性を「戦略的に大きな取り引き」と表現している。幹部の名前は隠されているが、肩書きは表示されている。
サンドバーグはその後、ザッカーバーグに直接メールを送り、「もうすぐ契約の準備が整うので、前進するためにあなたの承認が必要だ」と書いたとされている。
COOのシェリル・サンドバーグがマーク・ザッカーバーグに送ったとされるメールの文章。
Texas AG
この2018年の契約は「ジェダイ・ブルー」というコードネームで呼ばれ、サンドバーグとグーグルの最高事業責任者、フィリップ・シンドラー(Phillip Schindler)が署名したと報じられている。
また、グーグルが自社の広告システムに利益をもたらすために、自社の取引所を利用する外部の広告主から収集した入札データを使用したとされる秘密活動「プロジェクト・バーナンキ」の詳細も訴状に書かれている。プロジェクト・バーナンキは、グーグルがオンライン広告エコシステムのあらゆる側面を支配することで、より専門的な企業よりも優位に立つことができているという業界の懸念を裏付けるものだ。
この訴訟では、グーグルのAd Exchangeは広告主に対してパブリッシャーのウェブサイト上の広告スペースの料金を過大請求しており、その差額を懐に入れることができたと主張している。その結果得られた資金はプールされ、人為的にパフォーマンスを上げるためにグーグルのツールを使っている広告主に再配分されたという。
この反トラスト法訴訟は2020年にテキサス州のケン・パクストン(Ken Paxton)司法長官が起こしたもので、最初はその書類が大幅に修正されていた。新たに発覚したのは、修正された訴状の一部を公開するように1月14日に裁判官が命令したことによる。
パクストンは、グーグルがオンライン広告市場における競争を歪めるために「排除戦術」を利用したと主張する複数の州の司法当局からなる連合を率いている。
グーグルは以前、Insiderに対し、パクストンの訴えは「無益だ」と述べ、こう付け加えている。
「我々は法廷で彼の根拠のない主張から我々自身を守るだろう」
メタの広報担当者は、1月14日にガーディアンに対してこう語った。
「これらのビジネス関係は、メタがパブリッシャーに公正な支払いをしながら、広告主に多くの価値を提供することを可能にし、すべての関係者に良い結果をもたらすものだ」
Insiderは、さらなるコメントをグーグルとメタに求めている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)