新しいスタジオとなるアクシオムのモジュールの外観。
Axiom Space
- イギリスのスペース・エンターテインメント・エンタープライズは、宇宙空間の撮影スタジオを立ち上げる契約を結んだ。
- 国際宇宙ステーションに接続されるこのモジュールは、低軌道の微小重力環境で撮影をしたいクリエイターに向けたものだ。
- このスタジオは、スペースXやNASAと協力して国際宇宙ステーションで撮影しようとしているトム・クルーズが出演する映画プロジェクトと提携している。
世界初の宇宙エンターテインメント・スタジオと多目的アリーナを誕生させることで、映画業界は文字通り新たな高みに到達しようとしている。
トム・クルーズ(Tom Cruise)が出演する宇宙を舞台にした映画のプロデューサー、エレナ・レスネフスキー(Elena Lesnevsky)とドミトリー・レスネフスキー(Dmitry Lesnevsky)は2022年1月20日、国際宇宙ステーション(ISS)に接続された本格的な映画スタジオを建設する契約を結んだと発表した。スペース・エンターテインメント・エンタープライズ‐1(Space Entertainment Enterprise-1:SEE-1)という名称のこのスタジオは、2024年12月に打ち上げられる予定で、世界初の宇宙での機能的なエンターテインメントとコンテンツ制作のためのスタジオとなる。
SEE-1は、アメリカのヒューストンに拠点を置く宇宙インフラ開発企業で、世界初の商業宇宙ステーションであるアクシオム・ステーション(Axiom Station)を手がけるアクシオム・スペース(Axiom Space)と共同で開発される予定だ。打ち上げの準備が整えば、スタジオは、現在ISSと接続しているアクシオム・ステーションにドッキングする計画だ。
アクシオムによると、この撮影用モジュールは映画、テレビ、音楽、スポーツなどのプロジェクトの制作、放送、ライブストリーミングをサポートすることができるという。
「アクシオム・ステーションの商用機能に、SEE-1というエンターテイメント制作施設を追加することで、世界中のユーザーに対するプラットフォームとして有用性を高め、新たな宇宙経済が提供する大きな可能性を見せることができるだろう」とアクシオムの社長兼CEOマイケル・サフレディー二(Michael Suffredini)は声明の中で述べた。
イギリスのレスネフスキー・スタジオはCNBCに対し、トム・クルーズ(Tom Cruise)が出演する映画を製作中であることを認めたが、トム・クルーズがSEE-1スタジオの稼働を待って撮影に入るのかどうかは明らかにしていない。
アクシオム・ステーションの内部。
Axiom Space
NASAは以前に商用居住モジュールを国際宇宙ステーションに設置するための1億4000万ドルの契約をアクシオム・スペースと結んでいる。最終的に同社はISSが退役する前にアクシオム・ステーションを切り離し、そこから同ステーションは独立した宇宙ステーションになる予定だ。
レスネフスキーによると、SEE-1モジュールで独自のコンテンツを制作する予定だが、他のエンターテインメント企業も利用できるように居住可能な宇宙ステーションを開設する計画もあるという。
トム・クルーズの宇宙映画はタイトルも決まっていないが、このプロジェクトは彼の大ヒット作『ミッション・インポッシブル』シリーズとは関係がないとDeadlineは報じている。IMDB Proによると、この映画の予算はなんと2億ドル(約227億円)だと推定されているという。
制作やスタント撮影の限界に挑戦するプロジェクト)で知られるトム・クルーズは2020年に、イーロン・マスク(Elon Musk)のスペースX(SpaceX)やNASAと協力して国際宇宙ステーション内で初の長編映画を撮影すると発表した。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)