リードグループCEO兼会長のジェームズ・リード。
The Reed Group
- 人材紹介会社のトップであるジェームズ・リードは、オフィスでミツバチを飼っていて、以前は在宅勤務に懐疑的だった。
- しかし、リードによると、採用担当者はリモートワークの方が志願者に会いやすいという。
- 経済が回復するにつれ、リモートワークは雇用者と従業員間の緊張の種として再び浮上してくるかもしれない。
リードグループ(Reed Group)のジェームズ・リード(James Reed)CEOは養蜂家でもあり、ロンドンの本社の屋上でミツバチを飼育するほど、会社のオフィスで働くことに関して他の誰よりも意欲的だ。
しかし、イギリス最大の人材紹介会社のひとつである同グループを率いる彼は、新型コロナウイルスのパンデミックによって、オフィスにフルタイムで出社する必要性についての考え方が変わったことを認めている。
「在宅勤務に懐疑的だった私が、多くの同僚にとって在宅勤務が有効であることを目の当たりにし、さまざまな意味から支持するようになった。私自身にとっても非常に効率的であることが分かった」とリードはInsiderに語っている。
リードが指揮を執ってきた25年近くの間で最も忙しい現在の労働市場と格闘する同社のリクルーターたちにとっても在宅勤務には予想外のメリットがあった。
「在宅勤務の場合、隣の席には誰もいないので、多くの志願者が喜んで私たちと話をしてくれる。それは非常にいいことだと思う」とリードは話す。
「そして、1対1の面談であれば、午後に数回アレンジすることも可能だ」
リードは、人々が直接会ったり、研修を行ったりするためにオフィスは依然として重要な場所ではあるが、週5、6日も同じ場所や同じデスクに向かう必要はないと話す。
「どちらかといえば、時代遅れで非生産的に思える。なぜなら、オフィスに行くまでには時間がかかり、しばしばコストがかかるからだ」とリードは言う。
パンデミック以前は、リモートで会議を主催したことはなかったが、今は彼がミーティングをするときは、ほとんどリモートで行っているという。パンデミックは、それがなければすぐには理解できなかっただろう、通常なら何年もかかるような変化を加速させたと彼は話している。
雇用主はリモートワーク革命を乗り切る必要がある
従業員や雇用者のオンラインでの取り組みが増えるとともに、より柔軟な働き方を好むようになるという意識の変化が起きている。これもパンデミックの長期的な影響のひとつだとリードは考えている。
ブルームバーグ(Bloomberg)によると、人材紹介サイトのインディード(Indeed)が発表したデータでは、リモートワークの仕事を希望する人の数は、パンデミック前に比べて10倍に増加したと言う。また、リモートワークの求人広告も増加している。
今起こっている新型コロナウイルスのオミクロン株の感染者急増はオフィス復帰の議論を後退させたが、各国が再び規制を緩め始めると、労使の間の緊張の種として再び再浮上する可能性が高い。
2022年1月20日、苦境に立つイギリスのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、自宅で仕事をするようにという政府の勧告を解除した。
ワクチンをめぐる論争と同様に、余裕のある人は話を聞いてもらえないと(在宅勤務を認めてくれないと)仕事を辞めると言い出すかもしれない。
最近、ブラックロック(BlackRock)のCEO、ラリー・フィンク(Larry Fink)が、投資家に宛てた最新の書簡で、「これまでの働き方はもう通用しない」と警告している。
リードとフィンクは新しい現実に適応しているが、ほかの多くの雇用主たちは、「フルタイムのオフィス勤務は、本当はビジネスにとっていいものではないかもしれない」と考えることを躊躇している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)