中国、五輪プロモーションでアメリカの会社と契約…インフルエンサーによる約340万件のイメージアップ投稿


Beijing will host the Olympic Winter Games in February

2022年2月、中国・北京で冬季オリンピックが開催される。

Yi Haifei/China News Service via Getty Images

  • 中国政府は、中国と2022年北京冬季オリンピックのプロモーションに、アメリカに拠点を置くメディア企業を採用した。
  • ヴィッピ・メディアは30万ドルの契約を結び、インフルエンサーを雇用してティックトック、インスタグラム、トゥイッチでコンテンツを作成することになった。
  • この契約は、人権問題をめぐって二国間の関係が複雑になっている中で結ばれた。

中国政府は2022年2月に北京で開催される冬季オリンピックを前に、同国のイメージを改善するためにソーシャルメディアのインフルエンサーに目を向けた。

アメリカ、ニュージャージー州に本社のあるヴィッピ・メディア(Vippi Media)は、在ニューヨーク中国総領事館と30万ドル(約3410万円)の宣伝契約を結び、ティックトック(TikTok)、インスタグラム(Instagram)、トゥイッチ(Twitch)といったソーシャルメディアを通じて、中国と北京オリンピックに関するポジティブなメッセージを発信するキャンペーンを行うことになった。

アメリカ司法省(US Department of Justice)に届けを行ったこの契約は、2021年11月から冬季パラリンピックが終了する2022年3月までの期間となっている。

この契約は、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領とイギリス、カナダ、オーストラリアの政府高官が2021年12月、中国のイスラム教徒であるウイグル人への扱いや、女子プロテニス選手・彭帥の張高麗前副首相に対する性的暴行告発への対応など、同国がこれまで行ってきた人権侵害を非難し、北京オリンピックの「外交的ボイコット」を宣言した状況下で明らかになった。

中国は自国領土における人権侵害の疑惑を否定し続けていて、オリンピックの競技に参加するアメリカ人選手の安全を懸念する声も上がっている。人権団体は選手たちに、中国に滞在している間に政府を批判する発言をした場合、処罰の対象になる可能性があると警告している。

「我々が通常オリンピックに参加するスポーツ選手に与えられると考えている保護はほとんどない」と、2022年1月24日のセミナーで国際的なアスリートらによる団体「グローバル・アスリート(Global Athlete)」の代表、ロブ・コーラー(Rob Koehler)は述べた。

「我々は、アスリートに中国で声を上げないようにと忠告している。オリンピックで競技をして、家に帰ってから声を上げてほしい」

アメリカの政治資金を追跡するワシントンDCの非営利組織「オープン・シークレッツ(Open Secrets)」によると、中国は10年以上前から海外でのメディアによるメッセージ活動を行っていて、アメリカでは2020年に6000万ドル(約68億円)近く、2021年には2300万ドル(約26億円)を費やしているという。

ヴィッピ・メディアとの契約は、インフルエンサーがターゲット層に向けて3本から5本のコンテンツを制作するというような詳細なソーシャルメディア戦略を定めている。インフルエンサーたちはフォロワー数とプラットフォームでの活動状況に応じ、「マクロ・インフルエンサー(macro influencers)」、 「ミッドティア・インフルエンサー(mid-tier influencers)」 「ソーシャル・パブリッシャー(social publishers)」という3段階に分けられている。

契約によると、中国政府は投稿の70%を文化関連コンテンツ(北京の歴史、文化遺跡、現代生活、現在のトレンドなどを強調したもの)に、20%を外交関連のコンテンツ(「米中の協力と友好」に関するもの)に、残りの10%は総領事館のニュースやトレンドに関連するコンテンツにするよう要求している。

Foxニュース(Fox News)と香港上海銀行(HSBC)の元幹部で、ヴィッピ・メディア経営者のヴィピンダー・ジャスワル(Vipinder Jaswal)はこの契約を結ぶ前に「中国政府を取り巻く論争を十分に承知していた」とガーディアン(The Guardian)に語っている

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