人生100年時代、今後どうやって働き続ける? 不安を払拭するための「これからの働き方」

「70歳定年」「人生100年時代」そんな言葉が飛び交う時代。この先の⻑い年月を、私たちは止まることなく働き続けて生きていくことになる。これまでとは雇用環境が大きく変わる未来。私たちはどのように働いていけばいいのか。今から準備すべきことは何だろうか。

「環境に合わせて自分を変化させながら、自らキャリアをデザインしていく」——こうしたキャリア形成の必要性を訴えるのは、法政大学教授の田中研之輔氏(キャリア論)。本記事では急速に変化し続ける社会の中で働き続けるためのキャリア形成術を聞いた。

さらに未経験からのキャリアチャレンジを支援する企業と新たな一歩を踏み出した働き手にも注目。雇用契約に期間を定めない無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」を展開するリクルートスタッフィングの半田優貴氏、半田氏の支援のもと派遣スタッフとして未経験から新たなキャリアのスタートを切った菱刈(ひしかり)未来氏のインタビューを通じて、これからのキャリア形成のあり方を探ってみた。

キャリアは過去の実績ではなく、未来に伸びていく「資本」

田中研之輔先生の写真

田中研之輔(たなか・けんのすけ)法政大学キャリアデザイン学部教授。専門はキャリア論。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務める。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手掛ける。著書に『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP)、『今のまま働き続けていいのか一度でも悩んだことがある人のための新しいキャリアの見つけ方 自律の時代を生きるプロティアン・キャリア戦略』(アスコム)ほか多数。これまでに民間企業の取締役や社外顧問を30社務める。

「70歳まで働き続ける」と考えると、自らのキャリアについての不安を感じる人は少なくないだろう。変化と競争の激しい時代だ。今、携わっている仕事がこの先もずっとあるとは限らない。

「なぜ多くの人がキャリアについて悩んだり不安を感じたりするのか。それはキャリアを過去の実績だと捉えているから。過去の実績はキャリア形成においては半分でしかありません。残りの半分は未来に向かって何をしていくか、ということなんです」(田中氏)

そう語るのは、キャリア論、組織論を専門とする法政大学教授の田中研之輔氏。

「キーワードは、アイデンティティ=自分らしくあることと、アダプタビリティ=変化に適応していくこと。「自分らしく働く」ことは言うまでもないですが、それに加えて時代の変化の機微を捕まえて適応していかなければなりません。個々のライフイベントとワークのバランスを取りながら、今、市場で求められていることは何か常に考えて分析して行動することが求められます。こうしたキャリア形成はあらゆる人にとって必要なことです」(田中氏)

では、実際に変化に強い働き方、生き方をするためにはどのような心構えでいればいいのだろうか。

「『自分のできることは今の目の前の業務』と限定するシングルアイデンティティに留めないこと。性別も職位・職務も問わず、何歳からでも社会変化に適応しながら自分のキャリアをグロースさせていく、『プロティアン(変化し続ける)キャリア』が求められます。キャリアを自分の資本と捉えると、同じ業務、同じメンバーで数年続けると、資本は減らないけれども貯まってもいかない。やはり新しい職種、新しいチームで、新しいチャレンジをして、それに対して『できない』ではなく、どうしたらできるのかを考え、自分の資本をピボットさせていかなければなりません。今までやってきたことにこだわっていると、キャリア形成にブレーキがかかってしまう。そこをはずす練習をして、日常的にチャレンジを繰り返すことでキャリア自律が身につきます」(田中氏)

しかし、個人が変化に適応するだけでなく、企業側も変化に適応し、こうした個人のキャリア形成を受け入れる必要があるだろう。企業側は今、個人のキャリア形成をどう捉えているのか。

「これまで組織は『HRM=ヒューマン・リソース・マネジメント』、つまり『人的資源管理』と言っていましたが、これはおかしいと思うんです。僕は組織に対して『HCM=ヒューマン・キャピタル・マネジメント』、すなわち『人的資本管理』へと認識を変える必要があると提唱しています。 資源と資本は認識が決定的に異なります。資源活用は使い切るもの。資本は3年後、5年後と伸びていくもの。『未来』という時間軸が入るんです。今、欧米系の最先端企業は人的資本の最大化に取り組んでいます」(田中氏)

人材やその人の強みやスキルは使い切るものではなく、伸ばしていくもの。それを前提に、企業も求職者も柔軟に時代の流れに適応していく必要があるのだ。

アパレル経験6年からBtoB企業の事務職にチャレンジ

インタビュー1

菱刈未来氏。アパレル企業に6年間勤務し、店舗運営責任者として活躍。その後、リクルートスタッフィングを通して事務職未経験から営業アシスタントのキャリアをスタートし、素材メーカーで無期雇用派遣スタッフとして就業中。

自身のライフイベントや理想とする働き方を踏まえて、6年間勤務したアパレル業界から転職し、新しいキャリアをスタートさせたのが菱刈未来氏だ。事務職の経験はなかったが、現在はBtoBの素材メーカーに2年半に渡って勤務し、営業アシスタントとして商材の受注から納品までの事務に携わる。

「アパレルでは店舗責任者を経験しました。仕事のやりがいや達成感はあったのですが、残業が多く帰宅した後は立てなくなってしまうほど疲れる日々。休日も自宅で仕事をしていて、常に仕事のことが頭から離れない状態で、自分らしさを見失ったように感じていました。アパレル業界で店舗スタッフの育成やモチベーション管理に取り組んだ中で、人をサポートすることに興味を持ち、今まで経験のない事務職にチャレンジしてみたいという気持ちが芽生えました」(菱刈氏)

とはいえ、異なる職種への転職は不安も大きかった。その背中を押してくれたのが、リクルートスタッフィングが運営している事業「キャリアウィンク」だ。キャリアウィンクの派遣スタッフは、無期雇用派遣社員としてリクルートスタッフィングに入社。事務職未経験者を想定したビジネスマナーからビジネスOA研修、といった独自の研修プログラムを受け、大手企業に派遣される。

菱刈氏が就業する派遣先では、キャリアウィンクのスタッフを受け入れることが初めてだったが、菱刈氏の責任感の強さと丁寧な仕事ぶりが認められ、その後、同じ部署に次々とキャリアウィンクのスタッフが派遣されるようになった。

「キャリアウィンクは充実した研修制度がありますし、事務職未経験の先輩方がすでに多く活躍されていたので安心してチャレンジすることができました。今は同じ職場にキャリアウィンクの後輩が10人ほど在籍しており、教育を任せて頂ける機会も増えました。アパレルで培ったメンバー育成とモチベーション管理を生かして業務にあたっています」(菱刈氏)

キャリアウィンクでは就業前の研修や企業とのマッチングだけでなく、就業後も就業評価面談やスキルアップ研修などのサポートを行っている。

「定期的に面談してくださるので、繁忙期に残業が続いた時期も(リクルートスタッフィングの担当者が)『仕事の量が多くないか』と汲み取って派遣先の方と一緒にサポートしてくれました。転職後はオンとオフの切り替えができるようになり、休日を充実させられるように。プライベートでは2021年に入籍しましたが、自分のライフスタイルの変化に合わせて長く働いていけるところもキャリアウィンクの魅力となっています。今後もスキルをどんどん身に付けてステップアップしていきたいですね」(菱刈氏)

未経験者、がん 治療者…個々に寄り添った働き方を提供

インタビュー

営業を担当する半田優貴氏。新卒で東北電力入社。その後リクルートスタッフィングの港営業ユニットに所属し、法人営業に従事。

派遣スタッフへのサポートについて、菱刈氏を担当したリクルートスタッフィングの半田優貴氏は次のように語る。

「キャリアウィンクに在籍する派遣スタッフの8割程度は、菱刈さんと同様、未経験から事務職にチャレンジされる方々。なかには『私で大丈夫なんだろうか』と不安を抱えていたり、長所を認識されていなかったりする方がいらっしゃいます。これまでの経験やスキルを伺った上で、ありたい姿や強みを一緒に整理し、就業後も自分らしく働けるように寄り添うことを大切にしています。有名企業をはじめ多くの企業様から求人をいただいているため、個々の理想の働き方に合った仕事をご紹介できる可能性が高いと思います」(半田氏)

派遣先企業に対してもサポートを行い、派遣スタッフが長く働き続けられる環境づくりを行う。

「派遣先様には未経験という前提をご理解いただいた上で、派遣スタッフの方の強みや思い描いているキャリアをお伝えし、派遣先様からのご要望とすり合わせをします。キャリアウィンクの派遣スタッフは無期雇用派遣社員としてリクルートスタッフィングに入社しているので、3年以上同じ部署で働ける点がメリット。成長も見込みながら長期的に活躍してもらいたいという派遣先様のニーズにお応えできます」(半田氏)

派遣スタッフの活躍が認められ、派遣先企業に正社員登用となるケースもあるが、それをリクルートスタッフィングは歓迎している。法政大の田中研之輔教授は、就業機会の創出とキャリア形成を行うこうした事業を「今の時代のニーズに合致している」と語る。

「新しい動向として異職種、異業種へのチャレンジが増えていますが、経験値がないと企業側は正規採用しにくい。リクルートスタッフィングさんのように未経験者を社員として雇用し、個々のチャレンジを制度として応援してくれることは社会的貢献度が高い。求職者側にとっては、過去の実績だけでジャッジされるのではなく、過去を踏まえて今後求められるニーズに向かってキャリア形成に取り組むことができる。企業側にとっては超少子高齢化による慢性的な人材不足の中、必要な人的資本をしっかりと獲得できるこのようなサービスはありがたいでしょう」(田中氏)

「経験がないから」とあきらめたくない。今の自分だからこそできる仕事の可能性を広げていく。その伴走者がキャリアウィンクだ。

「未経験からのキャリアチャレンジだけではありません。コロナ前、テレワークをする派遣スタッフの方がほとんどいなかった時期に、がんの治療を行いながら就業を希望されていた派遣スタッフの方が在宅勤務できるよう企業様と交渉し実現させた担当者もいます。担当者はみな『派遣スタッフの方に寄り添う』という企業スタンスを大切にし、一人ひとりの声をキャッチして叶えられるように務めています」(半田氏)


キャリアウィンクについて詳しくはこちら。

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