観光客はこの「Arbeit Macht Frei」(働けば自由になる)と書かれた門の近くでポーズを取ったという。
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- ポーランドにあるアウシュビッツ=ビルケナウ博物館で1月23日、観光客が拘束されたとPolish Newsが報じた。
- この女性は記念撮影の際にナチス式の敬礼をしたという。
- Polish Newsによると、女性は博物館の警備員によって拘束された後、罰金を科された。
1月23日、ポーランドにあるアウシュビッツ=ビルケナウ博物館を訪れたオランダ人女性(29)がナチス式の敬礼をし、身柄を拘束されたとPolish Newsが報じた。女性の氏名は公表されていない。
報道によると、この女性は夫(30)とともにアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の跡を訪れ、夫のカメラに向かってナチス式の敬礼をしたという。女性はこのポーズを、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の象徴にもなっている「Arbeit Macht Frei」(働けば自由になる)と書かれたかつての収容所の正門の前で取った。
「ナチス式の敬礼は、侮辱と憎悪に満ちた、人々のとてつもない苦しみと結びついた象徴の1つです」と博物館の担当者はInsiderに語った。
「どのような公共の場でも許されるべきではありませんが、強制収容所の跡地で使用することは受け入れられません。収容所の全ての犠牲者を冒涜するものです」
Polish Newsによると、博物館の警備員らが写真を撮っていることに気付いてすぐに女性を拘束し、23日の午後1時頃に警察に通報した。夫婦はオシフィエンチムの警察署に連行され、夫はそこで目撃者として事情聴取を受けたという。
アウシュビッツ=ビルケナウ博物館。
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地元検察は女性に罰金を科し、女性もこれを受け入れたとPolish Newsは報じたが、具体的な金額は明かされていない。Insiderは検察の担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Polish Newsによると、マウォポルスカ警察の広報担当バルトシュ・イズデプスキ(Bartosz Izdebski)氏は、女性は自らの行動を「くだらない冗談」のつもりだったと話していると語った。
ポーランドではナチスのプロパガンダを掲げることは法律で禁じられていて、ファシズムの喧伝は最大で2年の禁固刑を科される可能性があると、Polish Newsは伝えている。ホロコースト記念館「ヤド・バシェム」のウェブサイトに掲載された記事によると、同様の法律はヨーロッパの多くの国々に存在するという。
今では博物館となっているかつての強制収容所の門の前でポーズを取った人が、法的な責任を追及されるのはこれが初めてではない。2013年にはトルコの学生2人が同じ場所でナチス式の敬礼をして写真を撮り、罰金と禁錮6カ月(執行猶予3年)の判決を言い渡されたとPolish Newsは報じた。
博物館の広報担当者は、こうした事例が未来の訪問客への警告になってくれることを願っているとInsiderに語った。
「博物館の警備員の迅速な対応が、このような恥ずべき表現の舞台としてこの博物館の場を使うことを考えている全ての人間に対する警告となってくれることを願っています」
(翻訳、編集:山口佳美)