ウクライナ情勢が石油や穀物などの商品市場に与える影響とは

2022年1月18日、クリミア半島の高速道路を走行するロシア軍の車両。

Associated Press

  • アナリストによると、ロシアとウクライナの間の緊張が続けば、エネルギーと金属の価格はさらに上昇するという。
  • ロシアは何週間もの間、ウクライナの国境近くに数千人の軍隊を集結させている。
  • ロシアは、石油とパラジウムなどの金属の主要な生産国だ。

ロシアとウクライナの対立が激化し、アメリカとその欧州の同盟国も巻き込んでおり、石油と金属の価格は上昇幅をさらに拡大する見通しだ。

ロシアがウクライナに侵攻するのではないかという懸念は数週間前から高まっており、最近の株式市場の乱高下の一因となっている。ロシアはウクライナの国境に数千の軍隊と大砲を集結させ、緊張はさらに高まる兆しを見せている。そして、アメリカ国防総省はヨーロッパに展開するために8500人の兵士に警戒態勢を取らせ、ロシアがウクライナ位に侵攻すれば悲惨な結果を招くと警告している。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、マーク・ヘーフェル(Mark Haefele)は、アメリカ株が顕著に上昇した1月24日の夜遅くに発表したメモで、「ロシアとウクライナの現在の緊張状態の不確実性」は今も株式の下落圧力要因になっていると述べた。

同氏は、2014年のロシアのクリミア侵攻が世界市場に及ぼした影響は限定的だったと指摘する。しかし、主要なコモディティ(商品)は地域紛争から大きな影響を受けることが多い。


石油と天然ガス

ロシアは世界有数の石油生産国だ。ブレント原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の価格は、戦争への懸念が高まる中、2014年10月以来の高値をつけている。

ヘーフェルは、「市場の需給バランスがすでにタイトになっている時に、石油と天然ガスの供給に混乱が生じると、短期的に価格が大幅に上昇し、世界の経済活動に支障をきたす可能性がある」と述べた。

JPモルガンのエコノミストは先週、ロシアとウクライナの緊張関係が供給危機につながれば、ブレント原油の価格は第1四半期中に1バレル150ドルまで高騰する可能性があると指摘した。

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