アップルのティム・クックCEO。
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- アップルはメタバースに可能性を見出し、それに応じた投資をしている、とティム・クックCEOは述べた。
- クックCEOは2022年1月27日に行われた決算報告のカンファレンスコールで、アップルのマーケットプレイスにはすでに1万4000の拡張現実(AR)アプリがあると述べた。
- ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、大企業が参入するメタバースは、8兆ドルの市場規模になると予測している。
アップル(Apple)はメタバースに真剣に取り組んでおり、その可能性を探るために資金を投入していると、ティム・クック(Tim Cook)CEOは2022年1月27日に行われたアナリスト向けカンファレンスコールで述べている。
メタバースがもたらすチャンスと、アップルが果たすことのできる役割について問われたクックは、この分野における計画について概要を語った。
「そう、それは重要な質問だ。我々はイノベーションをビジネスにしている会社なので、常に新しい技術を探求している。そして、この分野がいかに我々にとって興味深いものであるかということを、あなたが詳しく説明してくれた」
「App Storeには、現在1万4000以上のARKitを使ったアプリがあり、何百万人もの人々にすばらしいAR体験を提供している」
「我々はこの分野に大きな可能性を感じており、それに応じた投資をしている」
AR(拡張現実)技術は、人々がメタバースを構成する仮想世界に没入するためのひとつの手段であり、ARヘッドセットがその代表的なものだ。ARKitはアップルのARアプリ開発プラットフォームだ。
メタバースとは、広い意味で仮想世界だと言える。そこでは、人々はアバターの姿で学んだり、遊んだり、働いたり、建物を建てたりする。
メタバースへの関心は、2021年にフェイスブック(Facebook)がこの分野にフォーカスし、メタ(Meta)としてブランドを再構築したことで一気に高まった。大手企業ブランドもこの分野に参入しており、例えばサムスンはメタバースに店舗を開設した。また、2021年1月17日から2週間にわたって開催された全豪オープンテニスでは、実際の試合と連動したグランドスラム大会が仮想世界でも行われた。
ウォール街はメタバースの可能性に盛り上がりを見せている。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のアナリスト、エリック・シェリダン(Eric Sheridan)は2021年12月、仮想世界の市場規模は8兆ドル(約920兆円)に達すると記している。これは、アメリカの消費者を収益化するだけでそれだけの額になるというモルガン・スタンレーの予測にも合致している。
クックの発言は、2022年1月27日のマーケットクローズ後に行われたアップルの第1四半期の決算についてのアナリスト向けカンファレンスコールでのものだ。同社は、2021年の第4四半期に売上高が前年同期比11%増の1239億ドル(約14兆円)に達したと発表した。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)