多くのミレニアル世代は、自分の経済状況に自信が持てない。
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- 新しいレポートによると、ミレニアル世代の45%が、自分の経済状況が人生で望むものを手に入れる妨げになっていると考えているという。
- また、経済的に劣っていると感じており、彼らの経済的幸福度は国の平均より低い。
- これは、2度の不況、生活費の高騰、学生ローンといった経済的な問題の副産物だ。
2度の不況を経て、ミレニアル世代(1981年から1996年頃に生まれた世代)は経済的負担を感じている。
モーニング・コンサルト(Morning Consult)のレポート「State of Consumer Banking & Payments」によると、ほぼ半数(45%)のミレニアム世代が、自分たちの経済状況によって人生に必要なものを手に入れることができなくなるのではないかと「非常に」または「完全に」懸念しているという。これはアメリカの成人全体の35%よりも多い。
同調査によると、ミレニアル世代は経済的に劣っているとも感じている。調査対象の成人全体が25%であるのに対し、ミレニアル世代は38%が「常に、あるいはしばしば、経済的に遅れている」と回答している。また、ミレニアル世代の46%が「自分の生活は常に経済に左右されている」と回答したのに対し、成人全体で同様の回答をしているのは33%だ。
モーニング・コンサルトの調査結果は、ミレニアル世代の経済的幸福度がアメリカ人全体の平均よりも低いことを明らかにした。40歳になる前に2度の不況に直面し、高騰する生活費や学生ローンと格闘してきたミレニアル世代は、常に経済的に不利な状況に置かれている。そのため、郊外に一軒家を持ち、結婚し、子どもを持つという戦後のアメリカンドリームを実現することは困難になっている。
ホワイトハウスのシニア・ポリシー・エコノミスト、アーニー・テデスキ(Ernie Tedeschi)が以前Insiderに語ったように、ミレニアル世代は、ベビーブーマー世代(1946年から1964年生まれ)やX世代(1965年から1980年頃に生まれた世代)とは「異なる経済状況や現実」の影響を受けている。「これは、個人のキャリア形成に影響を与え、ダイナミズムの感覚に影響を与える」と彼は述べた。
不況による経済的影響はさらに10年以上続く可能性も
ミレニアル世代の最年長者は、新卒時に大不況で疲弊した労働市場に入り、そこでキャリアを形成する足がかりを得て、富を築くという困難なの道を歩むことになった。調査によると、不況時に卒業した人は最長で15年間も経済成長が停滞する可能性があるという。ミレニアル世代の多くが高騰する家賃や医療費など生活に必要なものを支払う一方、一人当たり平均3万8887ドル(約446万円)という膨大な額の学生ローンを抱えていることもその一因となっている。
2020年になり、ミレニアル世代は40歳を前に2度目の不況に見舞われたが、まだ彼らは前回の不況の影響に苦しんでいた。「『大不況』の深刻さを考えるとミレニアル世代は一生もののダメージを負っている。彼らは今もその影響を受けており、そこへ新たな負担がのしかかってきたのだ」と、アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の上級研究員で政策担当のマーク・ムーロ(Mark Muro)は当時Insiderに語っている。
新型コロナウイルスによる不況は、2008年の金融危機よりもずっと短く、回復も早かったが、影響がなかったわけではない。ミレニアル世代の多くが最初の家を買おうとしていた矢先に失業や住宅危機によって住宅市場から締め出されてしまったのだ。
だが暗い話ばかりではない。1980年代生まれのミレニアル世代が、ようやくお金の問題から立ち直る兆しが見えてきている。ミレニアル世代は、富を蓄積して地盤を固めてきた。彼らは新型コロナウイルスのパンデミック前の雇用水準かそれ以上にある唯一の世代だ。しかし、人生で初めてインフレに直面していることを考えると、彼らがお金の心配をするのは当然だろう。
なぜならば、ミレニアル世代には、経済的なハードルを1つ飛び越えると、必ず次のハードルが待っているからだ。
[原文:Millennials say they'll never have enough money to get what they want in life]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)