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プログラミング・スクールの理想と現実のギャップ…受講する際の注意点とは

コーディング・ブートキャンプは技術者としてのキャリアをスタートする方法として人気があるが、卒業生や採用担当者はデメリットもあると言う。

コーディング・ブートキャンプは技術者としてのキャリアをスタートする方法として人気があるが、卒業生や採用担当者はデメリットもあると話している。

5432action/Getty Images

  • プログラミング・スクールは、技術者としてのキャリアを手に入れるための手軽な方法として人気が急上昇している。
  • しかし、卒業生、採用担当者、その他の専門家は、必ずしもその期待に応えているとは限らないと述べている。
  • 今回の取材で、この業界が置かれた状況、スクールを選ぶときに何が重要なのか、などが明らかになった。

プログラミング・スクールやコーディング・ブートキャンプがブームに沸いている。

Course Reportのデータによると、2013年には年間約2000人だったブートキャンプの卒業生が、2020年には2万5000人近くにまで拡大した。また、2020年の卒業生が支払った授業料は、3億5000万ドル(約400億円)に達したとCourse Reportは推計している。

コーディング・ブートキャンプに参加すると、経験が浅くても高収入の技術職に就くことができるため、人気が高い。このオンラインの教育機関は、技術職に就く手段を提供し、業界の多様性を高めようとしているが、卒業生、採用担当者、ブートキャンプの職員などの関係者の中には、実際にはその期待に応えられていないと言う人もいる。

Insiderの取材によると、教育機関の謳い文句と実際の体験にギャップがあると感じる学生もいるようだ。また、Insiderが入手した文書によって、就職率を誇張するブートキャンプの事例が複数あることも明らかになった。さらに、技術系の採用担当者の中にはブートキャンプの卒業生を見下している人もおり、結局、費用をかけても、それを上回るメリットが得られない可能性がある。

以下では、コーディング・ブートキャンプの期待外れな点やその将来性など、取材で明らかになったすべてのことを紹介する。

「コーディング・ブートキャンプは期待外れだった」という声も

ブートキャンプの人気が急上昇している一方で、卒業生や職員などから不満の声も上がっている。

例えば、オンラインのコーディング・スクール、Treehouseでは、「衝動的」な経営手法が取られていたことをInsiderが報じている。また、ブルーム工科大学(旧ラムダ・スクール)は、就職率を水増ししていたことが流出文書で明らかになった。

さらに、オンラインの教育機関の卒業生を採用した企業は、彼らが新しい職務で成功するために必要な経験を積んでいないこともあるのだとすぐに気が付いたという。例えば、Twilioは、ブートキャンプの卒業生を追加トレーニングなしで採用することは「失敗のもと」だとInsiderにコメントしている。

コーディング・ブートキャンプ業界は、これまで技術職に縁のなかった人々を、低い参入コストで高収入の仕事につなげようとしてきたが、多くの場合、失敗している。それどころか、ブートキャンプにより技術系労働力の多様化が妨げられた可能性があり、就職の見込みがほとんどないのに高額の授業料を払わされるという厳しい状況に置かれている卒業生もいると非難されている。

雇用者と密接に協力し、実社会の経験を提供することで改善可能

これらのブートキャンプは転機を迎えており、期待外れと非難された教育機関は、立ち直る方法を模索している。

例えばFlatiron Schoolは、教育費を企業に負担させる方向に舵を切った。アマゾン(Amazon)やLiberty Mutualといった企業は教育機関とパートナーシップを締結し、ブートキャンプの費用を負担して受講生がフルタイムの技術者になる手助けをしている。受講生はリスクが減って就職しやすくなり、企業側は優秀な人材が獲得できるので、このプログラムはすべての関係者にとって有益だと考えられている。

採用担当者は、ブートキャンプの受講生にはより多くの技術的、実務的な経験を積んでほしいと考えている。そのため今後は、ブートキャンプが単なるコーディング教育ではなく、職業訓練に重点を置いたものに進化していくだろうと専門家は予想している。

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