メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が発表した2021年第4四半期(10〜12月)決算のうち、メタバース関連事業は厳しい内容だった。
Meta
2月2日にメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は2021年第4四半期(10〜12月)決算を発表。社運をかけたメタバース関連事業の業績も明らかにされたが、期待はずれの結果に終わった。
「次世代コンピューティング・プラットフォームの創造を目指す」同社の取り組みが軌道に乗る日はまだ遠いようだ。
メタバース事業を支える拡張現実(AR)および仮想現実(VR)テクノロジーの開発担当部門「リアリティ・ラボ(Reality Labs)」の第4四半期の売上高は前年同期比22%増の8億7700万ドル(約1010億円)。2021年通期の売上高は22億7000万ドル(約2610億円)だった。
Insiderが1月末に取材した複数のアナリストは、リアリティ・ラボの通期売上高は30億ドル近くになると予想していた。
米投資銀行エバーコア(Evercore)調査部門のマーク・マヘイニーは、ホリデーシーズン(11月末〜12月末)にメタ傘下オキュラス(Oculus)製VRヘッドセットの販売が絶好調だったことから、28億ドルという自分の予想は(決算が発表されたら)「多少控えめに見積もりすぎた」ということになるかもしれないと語っていた。
米金融サービス大手シノバス・ファイナンシャル(Synovus Financial)個人信託部門バイスプレジデントのダニエル・モーガンも(エバーコアより1億ドル少ない)27億ドルと予想し、「ウォール街はフェイスブックの新たな成長ストーリーを求めている」と指摘していた。
結果としてウォール街のアナリストらの期待を裏切ったメタの株価は、立会時間終了後の時間外取引で18%下落した。
2021年10月末にメタ・プラットフォームズへと社名を変更し、収益化にはほど遠いものの新たに成長中のセグメント(=リアリティ・ラボを指す)を切り離そうというフェイスブックの一連の動きは、先行するグーグルの戦略に倣ったものだ。
グーグルは2015年に親会社アルファベットを設立。間もなく、検索事業やYouTubeのような他の急成長事業(当時)の売上高などを親会社の業績に組み入れて発表するようになった。結果として透明性が高まり、アルファベットの株価は急上昇した。
フェイスブックの立ち位置も似たようなものだろう。
主力のSNS事業の成長が鈍化し、メタバース事業への重点シフトを決めた同社はいま、とにかく将来の明るい見通しを示そうと躍起になっている。
しかし、2月2日の決算発表で明らかになったのは、リアリティ・ラボは現時点で急成長の軌道に乗っているわけではないという事実だった。ラボの2021年通期の営業損失は前年比50%増の100億ドル(約1兆1500億円)超、売上高の4倍以上にふくれ上がっている。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は今回の業績について、以下のようなコメントを発表している。
「(インスタグラムの新機能である)リール、コマース事業、VR事業など、2021年はいくつかの重要な成長分野において進展があったことに勇気づけられています。2022年もこれらの分野やその他優先すべき分野に投資を続けつつ、メタバース構築に取り組みたいと考えています」
(翻訳・編集:川村力)