インドのラージャスターン州にあるジャイサルメール空港。
Anindito Mukherjee/Reuters
- 世界には、スペインのシウダ・レアル・セントラル空港のように、財政難で廃墟と化した空港がある。
- また、アブハジアのスフミ・バブシャラ空港のように紛争で被害を受けた空港もある。
- 荒れ果てた空間は、映画のセットとして使用されたり、スクラップを利用されることもある。
ドイツのブランデンブルク州にあるオラニエンブルク空港(Oranienburg Airport)は1930年代に建設された
ドイツ・ブランデンブルク州のオラニエンブルク空港。
Soeren Stache/picture alliance via Getty Images
航空機製造会社ハインケル(Heinkel)は、この空港を利用してドイツ空軍の飛行機を設計・製造していた。
第二次世界大戦後、ソ連軍がオラニエンブルク空港を解体した
かつてオラニエンブルク空港の一部であっただろう瓦礫の山。
Soeren Stache/picture alliance via Getty Images
2003年、廃滑走路の上にドイツの高速道路B96の一部が建設された。
オランダ出身の写真家、ローマン・ロブローク(Roman Robroek)は、1990年代初頭から使われていないアブハジアのスフミ・バブシャラ空港(Sukhumi Babushara Airport)を撮影している
ジョージアの紛争地域であるアブアジア。
Roman Robroek
1960年代に建設されたが、空港はグルジア(現在のジョージア)との戦争で被害を受け使われなくなった。
「何もない上の階に続くコンクリートの階段は、私が見た中で唯一残っている構造物だった」とロブロークはInsiderに寄稿している
廃墟となったスフミ・バブシャラ空港の階段。
Roman Robroek
2003年にイギリスの地雷除去NGO「ヘイロー・トラスト」が地雷の除去完了を宣言するまで、この空港には地雷がたくさん残っていた。
インドのラージャスターン州にあるジャイサルメール空港(Jaisalmer Airport)は、これまで乗客も飛行機も訪れたことがない
インド、ラージャスターン。
Anindito Mukherjee/Reuters
空港の建設費は1700万ドル(約19億5000万円)で、2013年に開港する予定だった。
この小さな空港では地域のより大きな旅行者のためのハブ空港には太刀打ちできなかった
放置されたチェックインカウンター。
Anindito Mukherjee/Reuters
ロイター通信(Reuters)によると、ジャイサルメール空港はインドの前政権が計画していた200以上の無料空港のひとつで、インドの人里離れた場所での旅行や商業を促進することを目的としていたという。
ギリシャのヘレニコン国際空港(Hellenikon International Airport)は60年もの間、首都アテネの民間航空輸送の中心的存在だった
ヘレニコン国際空港はギリシャのアテネにあった。
Yorgos Karahalis/Reuters
ヘレニコン国際空港は、1938年に空軍基地として建設された。
2001年、ヘレニコン国際空港は閉鎖された
老朽化したヘレニコン国際空港のゲート。
Yorgos Karahalis/Reuters
ヘレニコン国際空港はアテネ国際空港( Athens International Airport)に取って代わられた。
キプロスのニコシア国際空港(Nicosia International Airport)は、1930年代に軍の飛行場として建設された
廃墟となったキプロスのニコシア国際空港。
NurPhoto/NurPhoto via Getty Images
ニコシア国際空港は1974年、ギリシャ民族主義者による軍事クーデターとトルコによるキプロス侵攻で戦闘の中心となったために閉鎖された。
ニコシア国際空港は1974年、非武装地帯の一部となった
ニコシア国際空港の有刺鉄線。
NurPhoto/NurPhoto via Getty Images
その後、キプロスには2つの新空港が開港したが、ニコシア国際空港は廃墟となったままだ。
イギリスのマンストン空港(Manston Airport)は2014年に閉鎖された
イギリスのマンストン空港。
Carl Court/Getty Images
空港のオーナーが不動産開発業者に売却し、144人の雇用が奪われた。
イギリスのケント州議会の報告書とケント・オンライン(Kent Online)の報道によると、この空港は採算が合わなかったという
マンストン空港の滑走路を空撮した写真。
Gareth Fuller/PA Images via Getty Images
マンストン空港は、民間企業が所有していた16年間に1億ポンド(約156億円)以上の損失を出した。2018年にある企業が空港再開の提案書を提出したがまだ承認されていない。最近では、この場所はイギリスのEU離脱後の渋滞に巻き込まれたトラックを駐車するために使われていた。
ドイツ、ベルリンのテンペルホーフ空港(Tempelhof Airport)は、1936年から1941年にかけてナチスによって建設され、戦闘機や兵器の製造に使用されていた
ドイツ、ベルリンのテンペルホーフ空港。
Sam Shead/Business Insider
この空港は第二次世界大戦中も無傷のままだった。その理由は連合軍が戦後に使用することを望んだからだ。以降は、アメリカが施設を管理し、1993年にドイツの空港運営会社であるベルリン空港会社(Berliner Flughafen-Gesellschaft)に引き渡された。2014年、有権者は空港をこのまま保存することを選択した。
廃墟となったこの空港は、時に映画のセットとして使われている
テンペルホーフ空港。
Sam Shead/Business Insider
この空港は、『ハンガー・ゲーム』、『ボーン・スプレマシー』、『ブリッジ・オブ・スパイ』などの映画に登場している。
香港の啓徳(カイタック)国際空港は1925年、山と高層ビルに囲まれた場所に建設された
中国、香港。
Larry Chan/Reuters
旋回しながら高層ビルの間近を飛行する滑走路13への着陸進入は「香港アプローチ(Kai Tak Heart Attack)」と呼ばれ、その着陸の難しさで知られていた。
そのため、着陸に失敗する航空機が多く、また過密によって1998年に閉鎖された。現在は、ランタオ島沖のチェクラップコク国際空港( Chek Lap Kok International Airport )に取って代わられている。
スペインのシウダ・レアル・セントラル空港(Ciudad Real Central Airport)は、建設費10億ユーロ(約1320億円)かけて建設された
スペインのシウダ・レアル
Oli Scarff/Getty Images
シウダ・レアル・セントラル空港は2008年に開港したが、直後に倒産し、2012年に閉鎖された。
その後、シウダ・レアル・セントラル空港は2015年にオークションで落札された
廃墟となったシウダ・レアル・セントラル空港。
Oli Scarff/Getty Images
BBCの報道によると、この空港は建設費の10万分の1以下の価格で売れたという。
1998年、パレスチナのガザ国際空港(Gaza International Airport)の開港に合わせ、アメリカのビル・クリントン(Bill Clinton)大統領がガザを訪れた
ガザ地区のラファ。
Strip.Ahmad Khateib/Getty Images
この空港は、中東の紛争の平和への一歩と見られていたが、その祝祭は長くは続かなかった。2000年9月、抵抗運動「アル・アクサ・インティファーダ(Al Aqsa intifada)」でパレスチナ人がイスラエル人を攻撃したことを受け、2001年にイスラエル軍がこの空港を空爆した。
現在、地元のパレスチナ人は廃墟となったコンクリートや廃材を建築資材として利用している
ガザ地区南部のラファにあるガザ国際空港の遺棄された廃墟。
REUTERS/Ibraheem Abu Mustafa
エルサレムのアル=アクサー・モスク(Al-Aqsa Mosque)の模型は、ある程度そのままの形で姿を残している。
[原文:10 abandoned airports around the world and the history behind them]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)