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「怒り」は幼い、だから利用する。わきまえず楽しむことで壁を越える【女子野球監督・橘田恵4】

橘田恵_履正社高校女子野球部監督

撮影:MIKIKO

橘田恵(39)はオーストラリアのチームで、州代表に選ばれるなど活躍したが、2シーズンで実質的に選手としてのキャリアを終えた。埼玉県の花咲徳栄高校の教員となり、女子野球部のコーチを務めた。

「帰国後も選手として試合に出たこともありましたが、オーストラリアである程度結果も出せた、やり切ったという気持ちでした。『まだできるのに』と惜しまれるうちに退くのが花かな、とも思いました」

しかしコーチになってみると、「自分で野球をするのと、教えるのは違う」と痛感する。「指導者とは、選手を日々進化させるために一生勉強する仕事」だと悟った橘田は大学院に入り、改めて指導を学び直した。

2011年に大学院を修了すると、2012年にできた履正社医療スポーツ専門学校の女子野球チーム監督に就任。創部2年目で、チームを全国優勝に導いた。学校側は橘田の実績を高く評価し、2014年、高校にも女子硬式野球部を設立して、橘田に監督を任せた。

しかし橘田自身は、「1年目が今までで一番不安で、『ほんまに大丈夫か?』といつも思っていました」と振り返る。

1期生5人の船出。チーム組めずドッチボールに

2016夏最後の試合後

2014年、5人の1年生で始まった履正社高校女子野球部は、2年後の2016年には全日本選手権大会第3位を獲得。2017年には全国高校女子硬式野球選抜大会で優勝を果たした。

提供:橘田恵

入部したのは1年生5人で、部員だけではチームも組めない。当時はグラウンドを使えるのも、男子野球部が休みの日、週1回だけだった。仕方がないので空いたスペースで1日中、ノックや手で投げたボールをネットに向かって打つ「ティーバッティング」をしていた。

ある時は、単調な練習の様子を見かねた陸上部の顧問が「野球も体幹が大事でしょ」とハンマーを貸してくれ、部員たちとせっせとハンマーを回した。体力づくりと称してドッチボールをした時は、3対3のチームを作るために橘田も参加し、ボールをしこたま当てられた。

橘田は1期生に対して「一番厳しく接した」という。女子野球部の歴史を作る子たちだ、きちんと育てて「履正社に来てよかった」と思ってもらわなければ、次に続かないという気負いもあった。態度が悪ければ容赦なく叱り「やる気がない人とは野球できん」と部員をグラウンドに残して帰ったことも、一度や二度ではないという。

2年目には8人が入部した。中の1人は県外から入学し野球は上手だったが、入部3日目にエラーした後、罰走にふてくされたのかグローブをポンと投げた。「親に買ってもらったグローブを大事にせえ!」と、橘田は叱りまくった。

「大阪(の履正社)に来たこと、間違ってたと思ってるやろ!」とこの部員に言うと、「思ってます!」。橘田は「こらあかん」と内心思った。

この学校に来てよかった、と思ってもらうのが大事なのに、どうすればいいだろう……。

怒りに身を任せず、利用する

橘田恵_履正社高校女子野球部監督

撮影:MIKIKO

橘田は次第に「怒ったら負けだ」と悟るようになる。

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