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アーム売却断念、利益急減…試練のソフトバンクGに孫正義氏が賭ける次の一手

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孫正義氏とソフトバンク・ビジョン・ファンドのラジーブ・ミスラCEOは、投資家からの強烈なプレッシャーに晒されている。

Alessandro Di Ciommo/NurPhoto via Getty Images; Michael Kovac/Getty Images; Rebecca Zisser/Insider

ソフトバンクグループが運用する1000億ドル(約11兆5000万円)投資ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は、ベンチャーキャピタル業界における異次元の規模を持つファンドとして登場した、と話すのは、銀行出身の同ファンド運用責任者、ラジーブ・ミスラ(Rajeev Misra)CEOだ。

「SVFは、IT投資エコシステムにディスラプションをもたらしました。それまでのファンドの規模は、せいぜい10億ドル(約1150億円)か20億ドル(約2300億円)でしたから」とミスラは、2022年1月に開催されたニュースメディア、アクシオス(Axios)主催のイベントで語っている。

2017年にソフトバンクグループがスタートアップに投資するメガファンドの設立を発表するまで、ベンチャーキャピタル業界は「一種の家内産業」だった、とミスラは言う。

SVFは、その巨額の資金と高額のバリュエーションで、ベンチャーキャピタルを震撼させた。しかし、SVFによる投資判断に対する眼は、ますます厳しくなっている。

ソフトバンクグループの株価は、2021年3月の高値約1万円から、ほぼ半値に下落した。同社創業者の孫正義は、株価急落を「冬の嵐」と表現した。

株価急落の最大の要因は、SVFが保有する最大にして最重要の銘柄、中国の大手Eコマース会社アリババだ。SVFは2021年度の上期、同ファンド史上最大となる8792億円の損失を計上した。同ファンドが保有する複数の上場銘柄の株価急落に加え、アリババの株価下落が一層の打撃を与えた。

ソフトバンクグループは2022年2月8日に同第3四半期(2021年9月~12月)の決算を発表し、イギリスのチップ設計会社アーム(Arm)をエヌビディア(Nvidia)に売却する超大型ディールが不成立に終わったと発表した。

ソフトバンクグループは2020年9月、400億ドル(約4兆6400億円)でアームを売却する決定をしたが、規制当局からの強い圧力によって、このディールの成立は不可能となった。

第3四半期におけるソフトバンクグループの純利益は590億円と、前年同期の利益1兆1700億円から大幅に減少した。

経営面では、ソフトバンクグループが最も頼りにしてきた幹部のひとりマルセロ・クラウレ(Marcelo Claure)が、報酬を巡る対立から退任した。

ソフトバンクグループによるスタートアップへの大型投資は続いている。2022年1月に行われたメディアイベントでミスラが語ったことによると、SVFの第2号ファンド「ビジョン・ファンド2」は、過去2年間で合計520億ドル(約5兆9800億円)の投資を行い、過去12カ月においては180の企業に1社平均2億ドル(約230億円)を投資したという。

中国問題

ソフトバンクグループの中国投資は、同社株主にとって大きな関心事だ。

創業者の孫正義にとって、SVF初期に2000万ドル(約23億円)をアリババに投資して以来、中国はチャンスの国であり続けた。

しかし、中国の将来性は、IT企業に対する規制強化によって不透明となっている。例えば、配車サービス企業のDiDi(滴滴出行)は、中国当局の圧力によって、2021年12月にニューヨーク取引所における上場の取り消しを余儀なくされた。同社は香港での再上場を目指している。

ソフトバンクグループの株主の一社コムジェスト(Comgest)のポートフォリオ・マネジャー、リチャード・ケイ(Richard Kaye)は、ソフトバンクグループ株価下落の「主たる要因は、中国という刺客」だと言い、次のように続ける。

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