ベラルーシのハンナ・ソラ選手も寒さに苦しめられた1人だ。
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- 北京で開催中の冬季五輪では、マイナス18度近くの寒さとなっている。
- バイアスロン競技では寒さのあまり、アスリートが明らかに銃に弾を詰め直すのに苦戦していた。
- スキーフリースタイル競技に参加しているアメリカの選手は鼻に凍傷ができたと話している。
中国の北京で開催中の冬季オリンピックはあまりに寒く、バイアスロン競技に参加した一部アスリートのパフォーマンスに影響を及ぼしている。
スキー、スノーボード、バイアスロン競技が開催されている北京郊外の延慶エリアや河北省の張家口エリアでは、しばしば気温がマイナス18度近くまで下がっている。
風も時速20マイル(約32キロメートル)と強く、体感温度をさらに下げている。
クロスカントリースキーと射撃を組み合わせたバイアスロンの選手たちは、特に寒さや強風の影響を受けやすい。
「(彼らは)基本的にライクラ(注:一般的にポリウレタンと分類される合成繊維の1つ)とその下に長袖のアンダーウェアを着てレースに出ています」とアメリカバイアスロン協会(USBA)のCEOマックス・コブ(Max Cobb)氏はYahooに語った。
「風は吹き抜けていくんです」
強風は射撃の際、弾道だけでなく、アスリートの引き金を引く指の動きにも影響を及ぼす。
例えば、2月5日に極寒の中で行われたバイアスロン混合リレーでは、複数のアスリートが明らかに銃に弾を詰め直すのに苦戦していた。
「アスリートは引き金を感じる必要があります」とコブ氏は指摘した。
「気温が低いと、特に風もある場合はこれが大きな問題になり得ます」
アメリカ代表のディードラ・アーウィン選手とベラルーシ代表のハンナ・ソラ選手も、北京大会の過酷な天候を身をもって経験したバイアスロン選手だ。
「中央ヨーロッパで行われた多くのレースは、とても暖かかったんです」とアーウィン選手は報道陣に語った。
「ここ2、3年、マイナス9度以下のレースというのは多くありませんでした。気候変動の影響で、冬が暖かくなっているからだと思います。この吹きすさぶ風、寒くて凍てつくような状況にわたしたちはあまり慣れていません」
ソラ選手も「できるだけ重ね着をしていますが、それでも凍えそうに寒いです。皆、手を振ったり、その場で飛び跳ねたりしているのが分かると思います。皆、寒いんです」と話している。
また、アメリカ代表のポール・ショマー選手は「ものすごく寒くなると聞かされた時は、ちょっと疑っていました」とワシントン・ポストに語った。
「わたしはミネソタ州の大学に通っていたし、今もノースダコタ州のファーゴに住んでいますが、とても寒いと言わざるを得ません」
アメリカのディードラ・アーウィン選手。
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ただ、寒さの影響を受けやすいとはいえ、打撃を受けているのはバイアスロン選手だけではない。
5日に行われたスキー クロスカントリー女子スキーアスロンでは、スウェーデンのフリーダ・カールソン選手がレース後半に震えが止まらなくなり、倒れそうになる姿が見られた。
レース中の張家口の山の気温はマイナス13度ほどだったが、風があったためその体感温度はマイナス35度に近かったと、スウェーデン代表の責任者アンデシュ・バイストロム(Anders Bystroem)氏は指摘した。
バイストロム氏はレース後、アスリートを守るためにレースの開始時間を早めるよう国際スキー連盟(FIS)に求めることを検討していると話した。
「気温の下限はありますが、主催者が風の影響を考慮していたかは分かりません」と同氏は6日に語った。
FISの規定では、気温がマイナス20度以下の場合はレースを中止するとされている。
「FISがマイナス17度で風が強いと言って、体感温度がマイナス35度だったらどうすればいいのか?」とバイストロム氏は付け加えた。
「昨日はレースが午後4時に始まり、フリーダ・カールソンは寒さに完全にやられました」
フリースタイルスキーのアメリカ代表ブラッドリー・ウィルソン 選手は、北京五輪に来て数日で凍傷ができたとロサンゼルス・タイムズに語った。
「リフトの最後の方がものすごく寒いんです」とウィルソン選手は話した。
「風が顔に当たって、鼻に少し凍傷ができました」
(翻訳、編集:山口佳美)