8th.creator / Shutterstock
日本マクドナルドホールディングス(以下、マクドナルド)が、通期決算で全店売上高などの過去最高を更新した。
売上高は3176億円(前年比10.2%増)、営業利益345億円(同10.3%増)、最終利益は239億円(同18.6%増)。マクドナルドの既存店売り上げは、25四半期連続で増収が続いており、結果として、前述の全店売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新した。
出典:日本マクドナルドホールディングス2021年通期決算資料より
日色保社長は、決算会見の冒頭、12月、1月と2回続いたマックフライポテトの販売制限について「お客様にご迷惑をおかけしたことをお詫びすると同時に、ご理解とご協力をいただいたことに感謝いたします」と陳謝した。
なお、2月7日からは、再びSサイズ以外のサイズも選択可能になっている。
コロナでニーズ増の公式アプリは「MAU2300万人」
アプリのMAUは2300万人と非常に巨大。現在は別アプリになっているデリバリーなどの機能も統合していく方針だという。また、今夏をめどにモバイルオーダーのドライブスルー利用も解禁していく。
出典:日本マクドナルドホールディングス2021年通期決算資料より
2021年の全店売上高は6520億円、公式アプリの月間アクティブユーザー(MAU)は2300万人にのぼると、決算説明で明らかにした。
2024年までの新たな中期計画では「2024年12月まで合計3000店舗の体制」を目指し、年間100店舗ペースで新規オープン(建て替えや近隣移転も含む)を進める方針だ。
コスト増傾向も値上げは「現時点で決定していることはない」
日本マクドナルドホールディングスの日色保社長。
写真提供:日本マクドナルドホールディングス
製造業や食品分野では、燃油代などを含めた原材料価格の高騰が日本でも課題になっている。
質疑応答で値上げの可能性について問われると、日色社長は「グローバルサプライチェーンの活用と各種サプライヤーとの協力で、これまでコスト増を最小限に抑えてきた。原材料などのコストが増加傾向にあることは十分認識している。価格は現時点で決定していることはないが、今後も各種コストはしっかり注視していきたい」と回答するにとどめた。
マックフライポテトの安定供給は「最大限の対応を」
8th.creator / Shutterstock
波紋を広げたマックフライポテトの販売制限だが、そもそも何が原因だったのか。
ポテトの安定供給とサプライチェーンに関して問われた質問で、日色社長はこう述べた。
「コロナの影響で物流が大変混乱しているところに、さまざまな自然災害が重なってこのような事態になった。現在、東海岸まわりの航路を開拓するなど、サプライヤーと連携して、調達の安定化に向けて最大限の対応をとっている」
「物流の混乱」や「自然災害」とは、コンテナ不足や輸送航路に使っているカナダ・バンクーバーの水害の影響などが念頭にある。
日色社長は最大限の対応と語る一方で、物流網の混乱はまだ続いているとも言う。マックフライポテトをめぐるサプライチェーンの課題については、まだ安定供給が万全とは言えないことを感じさせる。
マックフライポテトがSサイズに制限されたことによる影響は、「具体的な数字は控えるが、一定の影響はあった」とし、買い控えにつながるインパクトがあったことも認めた。
代替肉バーガー「マックプラント」の日本展開は…
植物由来の代替肉を用いたマクドナルドの新たなビーガンメニュー「マックプラントバーガー」。
Bethany Dawson/Insider
北米地域のマクドナルドでは代替肉ブームの高まりもあり、代替肉大手ビヨンドミートと開発した代替肉バーガー「マックプラント」の試験販売がはじまっている。
試験販売とはいえ拡大傾向で、2月14日からはカリフォルニア州サンフランシスコ、テキサス州ダラスの600店舗に販売を拡大すると報じられている。
日色社長は代替肉需要について「まだテスト段階と聞いている。現時点では(日本で)導入する予定はない」と語り、「アメリカを含む海外の状況、および一番大事な日本のお客のニーズの変化を注視していきたい」として質疑を締めくくった。
なお、中期計画の最初の1年目にあたる2022年の通期業績予想は、売上高3330億円(4.8%増)、営業利益350億円(1.4%増)、最終利益215億円(10.2%減)を見込む。
最終利益の予想が控えめな理由は、不透明なビジネス環境のなかで持続的な成長を目指すため、店舗・IT・人材に積極投資をするためだという。
(文・伊藤有)