バートンアグネスから出土した石灰岩でできた太鼓と球体、骨でできたかんざし。
The Trustees of the British Museum
- 5000年前の石灰岩でできた太鼓が大英博物館で公開されている。
- この太鼓は、過去100年の間にイギリスで発見された先史時代の芸術品の中で「最も重要な品」だという。
- この珍しい遺物は、イギリスのイースト・ライディング・オブ・ヨークシャー州にある埋葬地で子どもの遺骨とともに発見された。
大英博物館によると、ストーンヘンジ時代(Stonehenge-era)の石灰岩でできた太鼓は、「過去100年間にイギリスで発見された先史時代の芸術品の中で最も重要なもの」だという。
CNNによると、古代の子どもの埋葬地から発見された5000年前の太鼓は、発見から6年を経て、2022年2月17日から同博物館で開催される「ストーンヘンジの世界(World of Stonehenge)」展で展示されている。
この太鼓は、2015年、イギリス、イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー州のバートンアグネスに近い田舎の大きな屋敷の敷地内で、所有者が建物を建てるために掘削を行っていた際に発見されたとワシントン・ポスト(Washington Post)は報じている。
イギリスのアレン考古学(Allen Archaeology)の考古学者のチームは、発掘調査で古代の埋葬地を発見した。埋葬地には、3歳から12歳の3人の子どもの骨があり、その骨は何千年もの間、絡み合っていたと見られるという。
アレン考古学の創設者、マーク・アレン(Mark Allen)はワシントン・ポストに「彼らは寄り添っていた」と語っている。
科学ニュース情報収集サイトのPhys.orgによると、この太鼓は、同様に石灰岩で出来た球体、骨を磨いて作られたピンとともに、年長の子どもの頭上に置かれていたという。
考古学者たちはこの太鼓が楽器として使われていたとは考えていない。それはおそらく、彫刻作品かお守り、または死んだ子どものための玩具であった可能性が高いという。
ワシントン・ポストによると、新石器時代のイギリスの人々は、通常は遺体は火葬するか、カラスに食べられるように放置していたので、このような墓は希少だという。
大英博物館はこの太鼓が「イギリスとアイルランドで発見されたこの時代の遺物の中で最も精巧な装飾品のひとつだ」と、その重要性を強調している。
大英博物館のキュレーターであるニール・ウィルキン(Neil Wilkin)は、太鼓に施されている螺旋や三角形の彫刻は、「蝶」をモチーフにしているとワシントン・ポストに語っている。
「これらは、スコットランドやアイルランドの新石器時代の遺跡で発見された他の遺物と芸術的に類似しており、先史時代のコミュニティが地理的に離れていても、互いにコミュニケーションを取り合っていたことを示唆している」とウィルキンは話している。
「この太鼓はとても興味深い。というのも、5000年前のこの時代のイギリス諸島に見られる芸術言語を包括しているためだ」と、このプロジェクトのキュレーターであるジェニファー・ウェクスラー(Jennifer Wexler)はCNNに語っている。
1889年、バートンアグネスから約15マイル(約24キロメートル)離れた村、フォークトンで、同様の石灰岩の太鼓が3つ発見されている。この「フォークトンの太鼓(Folkton Drums)」の発掘から100年以上経って、今回の発見がなされた。
ウィルキンは「我々はこのような驚くべき物が出てくるのを100年以上待っていた。それが子どもたちとともに発見されるとは、さらに驚くべきことだ」とワシントン・ポストに話している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)