なぜ私たちは「履歴書の空白」を恐れるのか。転職・学び直しブーム全盛の今こそ考える

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学び直しがブームとなっているにもかかわらず、多くの人がキャリアの中断に恐れを感じている。

画像:今村拓馬

最近、“履歴書の空白”を作るキャリアを歩む人が増えていると感じる。

履歴書に書けないキャリアを作る」というと、一見して矛盾があるように聞こえる。しかし、真剣にキャリアを考えた結果、キャリアのために “履歴書に空白を作る”人が実際に周りに多数いるのだ。

「学び直し」「リスキリング」という言葉もよく聞くようになった。今改めて、終身雇用だけでなく、“新卒で入社したら定年まで休むことなく働く” というキャリアも疑われ始めている。

そんな中、なぜ多くの人が意図的に空白期間を作っているのだろうか。

「履歴書に空白を作るキャリア」とは何か

履歴書

留学や職探しなど、一定期間あえて仕事から離れることを「履歴書に空白を作るキャリア」と呼んでみたい。

Shutterstock/umaruchan4678

今回の記事では、自主的な留学や大学院進学、単なるマイペースな職探しなど、一定期間、あえて仕事から離れる選択をすることを、履歴書に空白を作るキャリアと呼んでみたい。

人生100年時代の働き方・生き方を説く書として2021年10月に刊行された『LIFE SHIFT2』。本書では、これまでの「学習→仕事→引退」という3ステージのキャリア形成から、社会人としての約40年の間に、空白期間を設けてキャリアを形成するマルチステージの人生が主流になるべきだと主張している。

日本でも、新卒一括採用からジョブ型採用へと採用の潮流が変わりつつある。あらゆるところで、スキルや多様な経験を持った即戦力が求められている。

さらに、業界のトレンドの移り変わりは速くなり、職業やスキルの流行り廃りは刻一刻と変わっていく。

その中で、人々が社会に出ても安心できず、改めてスキルや経験を求めたり、あるいはそれらのうち自分の人生に必要なのはどれかを考える時間を求めたりするようになっているのではないだろうか。

履歴書に空白を作るキャリアを歩む人が増えているのも、そうした背景によるものだろう。

しかし、そうした人々の意識に対して、世の中は追いついているのだろうか? たとえ学び直しやキャリアを考える空白期間という有意義な時間を過ごすと決めたとしても、履歴書が空白になることに、不安を覚える人も多いのではないだろうか?

少なくとも、半年前の私はそうだった。

“履歴書の空白”には、不安がいまだつきまとう

頭を抱える女性

職務経歴書のブランクはキャリア形成に悪影響があるのだろうか。

Shutterstock/fizkes

私の場合の空白を作るキャリアは、「次の職場を決めるまでの小休止」だった。

長年本業と並行して副業をしていたが、情けないことに時間が足りずキャリアを見直さなければならないと感じていた。

しかし次のキャリアが思い浮かばず、じっくり考えたいと思い、副業をゆったりと続けつつ、会社を辞めて少し時間に余裕を持った生活をしてみようと思ったのだ。

そんなときに一番心に引っかかったのが、「職務経歴書にブランクがあるとキャリア形成に悪影響があるのだろうか」ということ。

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