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- メタは「素早く行動し、破壊せよ」という古いモットーから必死に距離を置こうとしている。
- マーク・ザッカーバーグCEOは2月15日に、「素早く動け」を含む、新しい会社の価値観を発表した。
- 彼はまた、素早く動くことは「障壁を取り除くこと」でもあると述べた。
マーク・ザッカーバーグは2022年2月15日、フェイスブック(Facebook)からメタ(Meta)に名前を改めた会社の新しいコーポレートバリュー(会社の価値観)を発表した。
ザッカーバーグが説明した、従業員を「メタメイト(metamates)」と呼ぶことを含めた6つの項目のうち、最初に挙げられたのは「move fast(素早く動け)」だ。これは、同社の最初のモットーである「move fast and break things(素早く動き、破壊せよ)」を短くしたものだ。
ザッカーバーグは2014年に、これを「move fast with stable infrastructure(安定したインフラで素早く動け)」という、より目立たないものに変えている。
15日の投稿では「すばやく動け」とは「今日できることを来週まで待たずに、緊急性を持って行動すること」だと説明している。
「我々の尺度では、これはまた、障壁を整然と取り除くことによって、最優先の取り組みの速度を向上させるために継続的に行動することを意味する」
言葉としてはそれほど攻撃的ではないが、「障壁を取り除く」というのは、それを壊すのと同じように意味にも思える。
「素早く動き、破壊せよ」というモットーは、何年にもわたってフェイスブック(メタ)につきまとうことになった。同社がプライバシー、誤報、有害コンテンツに関するスキャンダルの波に直面する度に、批判する人々はこのモットーを原因として取り上げてきた。
同社は、責任ある企業であることを世間や議員に納得してもらうために、このスローガンから必死に距離を置こうとしている。公共政策担当バイスプレジデントのニック・クレッグ(Nick Clegg)は2021年9月、Axiosに対し、いわゆるメタバース技術の開発は、同社の古い考え方に反するものになるだろうと語った。
「今ではすっかり廃れてしまった『素早く動き、破壊せよ』というスローガンとは、ほとんど正反対だ」とクレッグは述べた。
ブランドコンサルティング会社のSuperunionのジム・プライヤー(Jim Prior)CEOは、Insiderに対して、メタ社が社会意識の高い企業であることを納得させたいなら、「素早く動け」を企業のDNAに残すことは賢明ではないと述べた。
プライヤーは「『素早く動け』が会社のコアバリューである場合、従業員に、徹底的に検討すべきだったのではないか、とか、決定を急ぐべきではなかったのではないか、と言うのは難しいだろう」と述べている。
そして「このような価値観を持っているのなら、メタは正確さ、あるいは責任感よりもスピードを重視していると思わざるを得ない」と付け加えた。
プライヤーはInsiderに対し、ザッカーバーグの投稿は、会社が変わろうとしていることを外部に納得させるのにはあまり効果がないだろうと語った。
「価値観は、社内のチームによって受け入れられ、実行されてこそ価値がある。公の場でそれを話すことは、単なる宣伝であり、社外の人々の認識に大きな変化をもたらすようなものではない」
「重要なのは、これらの結果、社内で何が起こり、それが会社の行動にどう反映されるかということだ」とプライヤーは付け加えた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)