Westend61/Getty Images
- なぜ多くの人が、オフィスに戻るのではなく、リモートワークを続けたがるのか、ピュー・リサーチ・センターのレポートが明らかにした。
- 新型コロナウイルスに感染する恐れが少なくなっても、リモートワークをする人が多いのは、この働き方を好んでいるからだ。
- リモートワークをする主な理由として、パンデミックによるオフィスの閉鎖を挙げる人の数は減少している。
新型コロナウイルスのパンデミックの間に、オフィスのスペースが減少したわけではなく、そろそろ社員が戻ってくると考える企業もあるだろうが、多くの社員はリモートワークの魅力に取り付かれている。
パンデミックはまだ終わっていないが、COVID-19への感染の恐れが、リモートワークをする主な理由ではなくなってきているようだ。むしろ、単にリモートワークが好きだからという理由で、この働き方を選択する人が増えている。
ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が行った調査のレポートによると、オフィスに行かないことを自ら選択した人が61%、オフィスが閉鎖されているか、利用できないためにリモートワークをしている人が38%だった。パンデミックの初期にはちょうどその逆で、オフィスが閉鎖されたためにリモートワークをしていると答えたのが64%、リモートワークをしたいからそれを選択していると答えたのが36%だった。
この調査は、2022年1月24日から30日にかけて、アメリカの成人1万237人を対象にしたものだ。その中の主に1つの仕事に就いている5889人の調査結果に基づいて、上述のリモートワークを選択した理由に関する分析が行われている。
さらに、オフィスへの通勤がすでに可能になったにもかかわらず、すべてあるいはほとんどの時間をリモートワークしている労働者にその「主な理由」を尋ねると、76%が単に「この働き方が好きだから」と回答した。2020年10月の調査で同様の回答をしたのは60%だった。また、「主な理由」として「新型コロナウイルスにさらされることへの懸念」と回答したのは、2022年1月の調査では42%で、2020年10月の57%と比較すると大きく減少した。
18歳未満の子どもを持つ労働者で「主な理由」として「子どもの世話」と回答したのは、2022年1月の調査では32%で、2020年10月の調査での45%と比較すると減少しているものの、まだ一定数の労働者がその理由でリモートワークをしていることがわかる。
ピュー・リサーチ・センターのリサーチ部門アソシエイトディレクターで今回のレポートの共同執筆者であるジュリアナ・ホロウィッツ(Juliana Horowitz)は、「多くの人がリモートワークをうまくやっていることが明らかになった」とInsiderに語っている。
「リモートワークへの移行が一気に進んだ2020年の時点からすでにその傾向が見られ、多くの人は、自宅で仕事をするために必要なものを揃え、締め切りを守り、生産性を上げ続けることは簡単だと考えていた」
また「現在もその傾向は続いており、多くの人がリモートワークは仕事と家庭のバランスを取るのに役立つものだと考え、パンデミック後も続けたいと考えているようだ」とホロウィッツは付け加えた。
オフィスでの仕事と同様、リモートワークにも利点がある
レポートによると、リモートワークが可能なアメリカの労働者のうち、2022年1月の調査で「すべてあるいはほとんどの時間をリモートワークしている」と回答したのは59%で、多くのオフィスが閉鎖されていた2020年10月の71%と比較すると低下している。リモートワークは育児と仕事を両立している親や、通勤時間を節約したい人にとって理想的な働き方かもしれない。今回の調査の回答は、他にもリモートワークのポジティブな点を指摘している。
パンデミック以前はほとんどリモートワークをしたことがなかったが、現在はしているという人のうち、リモートワークによって仕事とプライベートの両立が容易になったと回答したのは64%、困難になったと回答したのは16%だった。これは、仕事と生活を両立させようとしてきた労働者にとって朗報かもしれない。ホロウィッツも、ピュー・リサーチ・センターの他の調査に基づいて「パンデミック以前から、柔軟性や仕事とプライベートの両立は、労働者にとって非常に重要な課題だったことがわかっている」と述べている。
また同じく、リモートワークによって「仕事を終わらせ、締め切りを守ることが容易になった」と回答したのは44%で、彼らは生産性が高くなったと感じている。だが一方、10%の人は「困難になった」と回答した。FlexJobsが指摘するように、仕事の邪魔になるものが少なく、静かな空間がリモートワークの生産性を高めている。
しかし、60%が在宅勤務によって同僚とのつながりが薄れたと回答し、つながりが深まったと回答したのはわずか4%だった。だたし、ホロウィッツはピュー・リサーチ・センターの質問は、「つながり」が同僚との個人的なつながりなのか、他の何かなのかを詳しく説明していないと指摘している。今回の調査結果以外のリモートワークに関する否定的な意見としては、燃え尽き症候群や上司のマイクロマネジメント(過剰な監視)などがある。
リモートワークにはいくつかのマイナス面はあるものの、今回の調査やその他の調査によると、リモートワーカーはこの柔軟な働き方を続け、そのメリットを享受したいと考えていることがわかる。
ホロウィッツは、「アンケートで労働者が語ったことを考えると、将来の希望という点では、 雇用主がテレワークを許可している限り、そのメリットを享受していたいと考えているようだ」と述べている。
[原文:It's no longer about the virus — remote workers simply don't want to return to the office]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)